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対立→■■■→再演
―― 【心励起/仇多羅急行】 ――②■■
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「ねえええええ、そこの素敵な列車さあああああん、ワタシも乗るわあああああいやああああああああ!!!!!」
「ガッ!?」
緊迫してるのかしてないんだがわからないけど、変に張り詰めた空気を突き破る騒々しい衝撃!
このキーキー甲高い叫び声の主は、はたしてわたし達の救世主となりえるのかしら!?
この列車への乗客はまともに乗車しないし、とにかくド派手かつ唐突に飛び込んでこなくちゃいけない決まりでもあるのだろうか。あ、わたしも完全に無賃乗車だけど、そのことは置いといてもろて。
列車の天井を突き破って超高速で飛来した何かが、リョウガの頭部に直撃。そのままリョウガの頭部を身体ごと床にめり込ませる。
砕けた破片と埃が激しく舞い上がり、反射、わたしと【心励起/仇多羅急行】はしゃがみ、両手で頭を覆う。ばらばらと破片がわたしの腕に当たる。でも、そんな痛みよりも、驚きと困惑の方がよっぽど強い。
「な、何なのよ!?」
ユノの悲鳴、混乱した叫び声が聞こえた。
すぐに破片の襲撃は凪ぎ。
おそるおそる顔を上げる。目の前の床は辛うじて底が抜けることはなかったが、まるで隕石が衝突したかのように大きくひしゃげて、その凄まじい衝撃で周りの座席も壊れるか盛大に吹き飛んでいた。
そんな破壊と混乱がもたらした意味不明な爆心地に佇んでいたのは……
「ごめんなさいね、こんなに騒がしく乗り込んでしまって。でもね、いくら呼びかけたってこの列車ったら全然停車してくれないんですもの」
「ま、こちらこそごめんなさいね、停車駅はもう30年先なのよ」
「ラ、ラフィーナ!?」
「あら、お久しぶりね、どこかのだれかさん?」
まるで舞踏会のステージに立っているプリマドンナの如く、とっても優雅に。今一番ごちゃごちゃしてる状況なんですけどね。
そこには、そのレースがふんだんにあしらわれた豪奢な水色のスカートを少しだけ摘み上げてふんわりとお辞儀なんかしている少女の姿。ねえ、その足下にリョウガがめり込んでるんですけど?
「……おい、ガキ……」
ラフィーナの足下から唸りにも似た声が不気味に響く。あれだけの衝突を頭部に思いっきりくらってなおリョウガは生きている。すると、ラフィーナは両手を口に当て、
「まあ! とっても欲張りなワタシの足ったらお空を走るだけじゃ満足できずにお喋りまでしはじめたのね! でも、これ以上あなたのわがままになんて付き合ってられないわ!」
「ね、ねえ、ラフィーナ、そこから離れた方が……」
「でも、それにしたって、もっとかわいい声でお喋りしてくれなきゃお話相手にはならないわね」
と、ちょっぴり残念そうに自分の足を見下ろした。相変わらずわたしの話なんて聞いちゃいないし、うきうき楽しそうなのも変わらないし、ついでに言えば周りも、いや、自身の状況さえ気にしちゃいないのもいつも通り。
「この足を、どけろ……!」
壊れた床、もとい瓦礫の山の中からがらりと腕が伸び、ラフィーナの足首を掴む。
「あら? アナタったらそんなところで何をしているのかしら?」
ラフィーナからしたらホントに突然床から腕が生えてきたように見えたのだろうか。キョトンとしながらその腕を眺める。「それにしたってレディの足を掴むなんて失礼ね」と、今は少し観点がずれた怒り、それでも、ラフィーナが慌てる様子はない。
「ああああああああああ、クソガキ、どけ!!」
「ねえ、ラフィーナ! そこから離れて!」
リョウガの獣じみた叫び声、その憤怒に呼応する、そのラフィーナの足首を掴んでいた右手が突然赤みを帯びた激しい光を放つ。これはちょっとまずいんじゃない!?
「まあ、ぴかぴか光っているっていうのに、こんなにも綺麗じゃないものなんて初めて見たわ」
「ガッ!?」
緊迫してるのかしてないんだがわからないけど、変に張り詰めた空気を突き破る騒々しい衝撃!
このキーキー甲高い叫び声の主は、はたしてわたし達の救世主となりえるのかしら!?
この列車への乗客はまともに乗車しないし、とにかくド派手かつ唐突に飛び込んでこなくちゃいけない決まりでもあるのだろうか。あ、わたしも完全に無賃乗車だけど、そのことは置いといてもろて。
列車の天井を突き破って超高速で飛来した何かが、リョウガの頭部に直撃。そのままリョウガの頭部を身体ごと床にめり込ませる。
砕けた破片と埃が激しく舞い上がり、反射、わたしと【心励起/仇多羅急行】はしゃがみ、両手で頭を覆う。ばらばらと破片がわたしの腕に当たる。でも、そんな痛みよりも、驚きと困惑の方がよっぽど強い。
「な、何なのよ!?」
ユノの悲鳴、混乱した叫び声が聞こえた。
すぐに破片の襲撃は凪ぎ。
おそるおそる顔を上げる。目の前の床は辛うじて底が抜けることはなかったが、まるで隕石が衝突したかのように大きくひしゃげて、その凄まじい衝撃で周りの座席も壊れるか盛大に吹き飛んでいた。
そんな破壊と混乱がもたらした意味不明な爆心地に佇んでいたのは……
「ごめんなさいね、こんなに騒がしく乗り込んでしまって。でもね、いくら呼びかけたってこの列車ったら全然停車してくれないんですもの」
「ま、こちらこそごめんなさいね、停車駅はもう30年先なのよ」
「ラ、ラフィーナ!?」
「あら、お久しぶりね、どこかのだれかさん?」
まるで舞踏会のステージに立っているプリマドンナの如く、とっても優雅に。今一番ごちゃごちゃしてる状況なんですけどね。
そこには、そのレースがふんだんにあしらわれた豪奢な水色のスカートを少しだけ摘み上げてふんわりとお辞儀なんかしている少女の姿。ねえ、その足下にリョウガがめり込んでるんですけど?
「……おい、ガキ……」
ラフィーナの足下から唸りにも似た声が不気味に響く。あれだけの衝突を頭部に思いっきりくらってなおリョウガは生きている。すると、ラフィーナは両手を口に当て、
「まあ! とっても欲張りなワタシの足ったらお空を走るだけじゃ満足できずにお喋りまでしはじめたのね! でも、これ以上あなたのわがままになんて付き合ってられないわ!」
「ね、ねえ、ラフィーナ、そこから離れた方が……」
「でも、それにしたって、もっとかわいい声でお喋りしてくれなきゃお話相手にはならないわね」
と、ちょっぴり残念そうに自分の足を見下ろした。相変わらずわたしの話なんて聞いちゃいないし、うきうき楽しそうなのも変わらないし、ついでに言えば周りも、いや、自身の状況さえ気にしちゃいないのもいつも通り。
「この足を、どけろ……!」
壊れた床、もとい瓦礫の山の中からがらりと腕が伸び、ラフィーナの足首を掴む。
「あら? アナタったらそんなところで何をしているのかしら?」
ラフィーナからしたらホントに突然床から腕が生えてきたように見えたのだろうか。キョトンとしながらその腕を眺める。「それにしたってレディの足を掴むなんて失礼ね」と、今は少し観点がずれた怒り、それでも、ラフィーナが慌てる様子はない。
「ああああああああああ、クソガキ、どけ!!」
「ねえ、ラフィーナ! そこから離れて!」
リョウガの獣じみた叫び声、その憤怒に呼応する、そのラフィーナの足首を掴んでいた右手が突然赤みを帯びた激しい光を放つ。これはちょっとまずいんじゃない!?
「まあ、ぴかぴか光っているっていうのに、こんなにも綺麗じゃないものなんて初めて見たわ」
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