この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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対立→■■■→再演

異世界神話を裂きし少女

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「そうね、まあ、確かにアナタにはもううんざり。ちょっとくらいならいいよね」

 切なく吐息。

「ラフィーナと【心励起/仇多羅急行】はちょっと座席にでも座ってて」

 なんとなく強い口調になってしまって、う、ちょっと申し訳ないな、と思いつつ。ふたりがその圧にそっと着席するのを横目で視認。

 どろり、漆黒のワンピースが不可解に揺れる。虹色の瞳が真っ直ぐにリョウガを見据える。

「魔剣、アヴァルギリオン」

「ああ? おい、太刀筋からして剣を全く使いこなせてねえのに所持してるような見たまんまヒョロいただのバカなド素人がなにを」

 リョウガが何かギャーギャー喚いていたけど、もう構うことなく。この車両ほどもある強大な漆黒の大剣を真横に振り抜く。その禍々しさすら感じる強大さに反して、大剣はあまりにも軽やかな漆黒の軌跡を描く。

 わたしは剣士じゃない。それでも、この魔剣を振るうのにそれはほんの些末なことだ。

「は?」

 リョウガの両腕が跡形もなく消し飛んだ。

 車両は剣撃の軌跡から上下に割けて、上半分はあっという間に吹き飛んでいった。

 猛烈な砂嵐が吹き込んでくる。「ま、アタシをこんなにしちゃって!」「ご、ごめんね」などと会話している間に、まるで細かいレンガを積み上げるように車両はまた元通りになった。

 そう、もうリョウガのことは何も怖くはなかった。あのとき、ぺらぺらと得意面で饒舌に話してくれたおかげで、リョウガの神剣がただの想像の産物だってわかったから。

 そう、それなら、最強の神剣を出力しているだけの腕を消し去ってしまえばいいだけだから。

「あ、あ、あ、オレの腕が……」

「ねえ、ド素人さん、あなたの大事な剣、なくなっちゃったね」

 リョウガは、消失してしまった肘から先を見つめながら、混乱し何も考えられないようだった。もう、わたしの声すら届いていないみたい。自身の両腕があった箇所から噴き出す鮮血だけを呆然と見つめているだけ。

「あなたの想像力なんて大したことないのね」

 だって、腕がなければその腕自体を出力すればいいはずなのに。そんなこともできないほど、彼には想像力がないみたい。わたしは彼の思考まで断ち切ってはいない。

 明らかに彼には不似合いな、身の丈に合っていない、だったら、ただの最強の剣をもらえばよかったのに、そんな宝の持ち腐れな異能なんて要らないんじゃないかな。今のところ剣しか想像できていなかったみたいだし。なんでも作り出せるってすごい力なのに。

「女神様に与えてもらったご自慢のすてーたすまっくす? なんでしょ?」

 自分でも無自覚だったけど、どうやらわたしはすごく怒っていたみたいだ。

 リョウガは完全に無防備のまま突っ立っているだけ。どんだけ頭平和なんだ、脳みそにお花畑でも咲き乱れているのかい? 死は逃げの手段じゃないぞ?

 もはや対話不能、いや、初めからわたしの話なんて聞いちゃいないか。乱雑に、感情に任せて振り回す魔剣が、その一太刀ごとに空間ごとリョウガの身体を刻んでいく。

「え、どうしたの、再生しないの?」

 もう、リョウガには戦う意思も、身体もほとんど残されていない。虚数に切られた身体に痛みが伴うのかわからないけど、彼の表情はずっと呆然としたまま。もしかしたら転生前の彼は感情表現が苦手だったのかもしれない。周囲に当たり散らすことしかできなかったのかもしれない。なんて不憫なのかしら。ま、こんなヤツの過去なんて知ったこっちゃないけど。

「それじゃあさようなら。また転生できるといいわね」

 どろり、わたしは魔剣をワンピースに戻す。

 ぽとりと落ちたのは、もはやどこの部分かもわからないような小さな肉片だけ。顔の一部ではないことだけは確かね、不快なものは真っ先に斬り落としたから。そして、それすらも、スカートがぬるりと蠢いて虚空へと消し去った。

「あら、女の子を怒らせちゃうとこうなるって知らなかったのかしら。まだお子様だったのね、あの子」

「たぶんまた転生したって学習なんてしないんじゃないかな、ずっとそうだったみたいだし」

 大した感慨もなく、ただ義務的な作業をやり終えてうんざり吐息。

 人生ナメてるとしか思えないような相対評価超激甘主人公なら、性格最悪の自信過剰転生者のリョウガにだって救済措置もあり得たのかもしれない。

 だけど、どこからどう見たって彼には救われるべき情状酌量の余地が全くさっぱりこれっぽちもない。ま、生きていたって八つ当たりでこの列車の乗客に攻撃しそうだし、わたしもイラついてたし、消し去って正解かも。
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