この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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対立→■■■→再演

――   【心励起/仇多羅急行】         ――⑤

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「……で、ユノ、アナタが最後、ね」

 そして、ほんの一息、呆れて小さくため息を吐いたわたし達の視線は、消失していくリョウガのことを助けようともせずに、ただ座席の陰に隠れていたユノへと向かう。

「い、いや、来ないで……、く、来るなよ、オレは……」

「あら、アナタも男の子だったの?」……も?

 口調がブレブレやないか。というか、そんな恐ろしい魔物みたいに言わないでよ。まるでわたし達の方が悪者じゃない。だれがなんと言おうとこの物語の主役はわたし……のはず。

「だって、こんなことになるなんて思わなかったんだ、女神は簡単なクエストだって言ってたんだ。ただこの列車を壊せばいいんだって」

 おいおいおいおい、そんなに簡単に殺されてたまるか。

「み、見逃してくれ、オレの力は “不死神賜死(あじゃらか・もくれん・てけれっつのぱー)”、自分と対象がただ死ななくなるだけなんだ、何の力もないんだ!」

 いや、それ、めちゃくちゃ強いじゃん。実質不死身じゃん。それで無能気取りって欲張り過ぎでは?

「オレはただ美少女になりたかっただけなんだよ」

「ま! わかるわよ、その気持ち!」……わたしにはちょっとわからないけど。

「アナタ、それで美少女になったつもりかしら? ワタシにはちょっと、その、ごめんなさいね、せっかく生まれ変わったっていうのに美少女なんて影も形も見当たらないわ?」

 ラフィーナには珍しく、歯切れ悪く、おずおずと、ちょっとだけ申し訳なさそうに。う、うん、確かにユノがかわいいのは見た目だけで中身はホントにイヤなヤツだもんね。

「戦いなんてホントはしたくない、オレはただ……」

「でも、アナタ、アタシのかわいい乗客に魔法陣を向けていたじゃないの」

「それに、リョウガやアヴァリスは異能の他に、すてーたすまっくす? っていうのを与えられていたわ。アナタは?」

「う、そ、それは……」

「ねえ、わたしやあなたがどんな力を持っているかは関係ないの。わたしは、その力をどう振るうかだけが問題なんだと思うよ」

 ただ、くだらない承認欲求を満たすだけの悲しき怪物のためだけに、わたしの物語をめちゃくちゃにして、登場人物を簡単に殺そうとする。そんなのは、この世界でちゃんと生きているわたし達からしたらたまったもんじゃない。ただただ迷惑この上なく、この世界にとっての害悪でしかない。

「ク、クソッ、こ、この世界はオレ達が好きにしていい世界じゃなかったのかよ!」

 もはやヤケクソの様相で叫ぶ。ユノは魔法陣を全身に纏いながら、わたしへと、いや、【心励起/仇多羅急行】へと向かっていく。しまった、【心励起/仇多羅急行】が戦っているところは見ていない、戦うことなんて出来ないのかも!

「悪質な乗客は乗車拒否よ!」

 ばちこんッと強烈なビンタが炸裂! 首が吹き飛んでしまうんじゃないかっていうほどの衝撃に、すてーたすまっくすなはずのユノの身体がきりもみ回転で灰色都市が乱立する車両に突っ込んでいく。「あ……」なんとなく察した。

「素敵なレディを目指すアナタには見込みがあるかもしれないわ。時間はたっぷりあげるからその街でゆっくり自分を見つめ直しなさい」

 【心励起/仇多羅急行】がそう言うと、ぴしゃりと車両の扉が閉まり、ゆっくりと立ち上がろうとしていたユノが魔法陣ごと静止する。そう、まるで、時間が止まってしまったかのように。

 動く気配はない、そうだ、この感じはあの動かない乗客と一緒だ。

「他人の力でお手軽に連れて来てもらっておいてそんな都合のいい話があってたまるか。自分が好き勝手したいなら、そういう世界を創ることね」

 こんな言葉が固まったままのユノに聞こえているかなんてわからない。でも、なんとなくこれだけは言っておきたかった。他力本願はわたしだってそうなんだけど、うん、自戒の念も込めつつ、ね。


 ーー          ーー
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