この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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「え? ワタクシの名前は、小鳥遊 小烏丸。この世界における超絶美少女な女神様ですよ~、キャハッ☆」

 案外あっさりと、この超シリアス展開では信じられないほど気軽な口調で。でも、全然表情は笑っていなかった。

 ふらり、地面が隆起して小高い丘のようになったそこに佇んでいたのは、あまりにも場違いな真っ黒の少女。

 街の集会所で見かけた給仕さんの服装によく似ている。確か、メイドさんだっけ。でも、スカートはとっても短くて、黒いストッキングを腰に繋いでいるガーターベルトまで見えてるし、フリルがふんだんにあしらわれていて機能性なんて全く皆無。

 それにノースリーブだし、ささやかな胸元もがっつり開いていて、給仕なんてとてもじゃないけど出来なさそう。それに、エプロンもホワイトブリムも手首のカフスも全部、真っ黒。ついでのように持っている大きな箒すらも黒いんだから、完全に嘘っぽい。十中八九似非メイドだろう。

 ツヤのある長い黒髪をポニーテールにしていて、大地が揺れるたびそれがぴこぴこ跳ねている。

 その猫を思わせるような大きな瞳も真っ黒、いや、漆黒、の方が正しいかも。光さえも飲み込まれそうな黒に、今はまだ、悪戯っぽい輝きが辛うじて見える。

 わたしと同い年くらいの活発そうな少女。超絶美少女かどうかはわからないけど、かわいいのは確かにかわいい。

 そう、それをふまえたとしても、だから、ここにいるにしてはあまりにも場違いで、だけどきっと迷子とかじゃなくて。でも、だからといって他のどこにいても、集会所にいたとしてもそれはそれで違和感がありそうな。

 そんな異常な佇まい。

 でも、こんな少女が、神様?

 だって、このファッションメイド少女が神様だなんてとても思えない。わたしがいうのもなんだけど威厳のへったくれもない。たとえ、この大地揺れる苛烈な戦場において、かたやと何事もないかのようにその場に立ち、もう片方は地面に這いつくばっていたとしても。

「それで、そういうアナタはどちら様ですか~?」

「え、わ、わたしは……」

 言いかけて。わたしの中の何かが、明らかに警戒した。彼女に対して名乗ってはいけない。

 彼女は、敵、だ。

 わたしは怯える小動物みたいに、なぜかこの他愛もないはずの少女から目を離せず、動くこともできない。どうして、この少女の漆黒の瞳なんかを怖いと思うのだろうか。

「おい、駄女神、このガラクタもう粉々だけどよ、まだ壊し足りねえのか?」

 乱暴な声に、ハッと我に返る。

 疲弊しきってなんとか顔を上げて見上げた視線の先、そこにあったのは、巨大な甲冑……だったもの。その鉄塊は見るも無残に壊されている。そう、今もなお。ウソ、これが、これがもしかして……

 金属が軋み砕ける嫌な音が鳴り響く。

 今わたしの目の前で惨劇が行われている。数人の転生者がぐしゃぐしゃに踏み潰し、めちゃくちゃに突き刺し、粉々に砕いている。

 陰湿に、執拗に。

 もう、それには明らかに戦力は微塵すら残っていない、ただの壊れた鉄屑に成り下がっている。でも、それなのに、

「そうですね~、世界を守るもの、均衡を司るものである【軌条空論・紙一重】ですからね~、ま、もっとド派手に逝っちゃいましょう!」

 にっこり笑顔、軽い口調、まるで大切な人の大切な物を勝手に捨ててしまうような残忍さ。そうだ、これこそがいとも容易く行われるえげつない行為。

 転生者達はにやりと嗤うと、破壊活動を再開させる。いや、そんな大層なものですらなかった、彼らはただ、地面に散らばった屑鉄を踏み潰しているだけにすぎないのだから。

「やめて!」

 もはやほとんど悲鳴。でも、わたしがいくら叫んだって彼らは散らばる機械の破片を踏み潰すのをやめてくれない。彼らの下卑た嗤い声がきりきりとわたしを錯乱させる。
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