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■■■■【■■■■・■■■】 ■■②
しおりを挟むぬるり、ワンピースが翻って漆黒の虚数空間が開かれる。みんな消し去って!
巨大化した魔剣が黒い粘泥の津波のように周囲を飲み込む。さすがの転生者達でも、触れたら虚無へとさらわれてしまう突然の濁流にはなす術もなく。
訪れる、仮初めの静寂。
一体彼らの何がこんな残虐な行為をさせるのか。
この世界に破壊をもたらす彼らの正義とは何なのか。
対話をしようともしない彼らと一体何をわかり合えるのか。
「おや? ひどいことをしますね、ワタクシがせっかくコツコツ用意した転生者をこんなにあっさりと倒しちゃうなんて~」
その言葉とは裏腹に、小烏丸には何の感慨もないようで、慌てる様子もなく、次の標的を定めているかのように、“せっかくコツコツ用意した転生者”なんて全くもって意に介さずに遠くではしゃぎ回っている【天変界位】を無感動に眺めているだけだった。わたしのことなんて見向きもしていない。
「【軌条空論・紙一重】は均衡を司るもの。一対一でしか真価を発揮できない欠陥だらけのシステム、出来損ないの抑止力。常に対峙する相手と同等のステータスとなるために、全員で突撃して誰かひとりの相討ち覚悟でかかれば壊すのは容易いんですよ、」
訊いてもいないのに楽しそうに、饒舌に語る。他愛もない稚拙な戦術がたまたま上手くいっただけなのに。だってそうでしょ、いくら神様だからって、この世界の根源たる錯誤世界秩序機能、“始源拾弐機関”の機能なんて知ってるはずないのに。彼女が全知全能だなんてとてもそうは思えない。
「ありふれた職業で異世界転生や最弱種族を希望するバ……頭の弱い者ももちろんいますからね」
そんな転生者の繊細な機微なんてどうでもいい。転生した彼らが最強でも最弱でも、この世界に住まうわたし達にとっては、言葉が通じるだけで対話もできないただのはた迷惑な異邦人でしかない。
「世界の脅威が一つしかないなんて思い上がりもいいところですよね~、ホント」
意味がわからない、状況がわからない。
きっとわたしはわたしの物語を壊し続けている諸悪の根源と対峙していて、それなのに完全に丸腰で体力も尽きかけている。真のラスボスとの邂逅は万全の態勢で挑みたかったのに。
だけど、どんなに絶望的な状態だったとしても、そこに転がっている【軌条空論・紙一重】の破片を弄ぶことも、無邪気に世界を楽しんでいるだけの【天変界位】を傷つけることも、そんなことさせてたまるか。わたしはふらふらしながら立ち上がる。
「……どうしてこんなことをするの? アナタはこの世界の神様なんでしょ? それなのに……」
「え、何言ってるんですか、これは神による世界創造の物語ですよ? 古きものども、時代遅れのシステムを壊して新しい秩序を創り上げる。これは万物創世の神であるワタクシのための物語なのですよ」
あっさりと。
なんだそれ。わたしの物語を勝手に変えるな、わたしはまだ、この世界を楽しんでいないんだぞ。わたしの物語はこれからなんだぞ。
それに、“始源拾弐機関”は世界の基幹となるシステムであって、簡単に壊したり入れ替えられたりできるようなものではないはずだ。たとえできたとしても、そんなことをしてしまったら、もうこの世界も世界観も破綻してしまう。
そうなったらこれはもうわたしの物語じゃなくなってしまう。
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