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「そうだ、少女よ、キミの名前を教えてくれぬか」
「え、あ、わたしは【透明幻想・錯綜少女基底】。神様には内緒ね」
【軌条空論・紙一重】が小烏丸を見据えながら唐突に。その不穏な質問になんだかイヤな予感がしながら、わたしは小烏丸に聞こえないように小さくそう答えた。どうして、今そんなことを聞くのかしら。そんなこと、この戦いが終わった後にでも、ゆっくりと…………あ。
「ありがとう、小さき少女よ。我が最期に守ったものの名を我が最果てへの手向けとしよう」
「そ、そんな! そんなつもりで教えたわけじゃ……」
「さあ、早く逃げるのだ!」
「ッ……!?」
【軌条空論・紙一重】の背中のバックパック、そして両足から爆風が噴射されて、吹き飛ばされながら叫んだわたしの声はもう届かない。これじゃあ、完全に死亡フラグじゃない! アナタの存在意義を負けイベントなんかにさせたくない!
だけど、だけど、わたしができることなんてたかが知れている。
【軌条空論・紙一重】の叫び声に反射的に駆け出す。地面は揺れて、躓きながら、怖くて怖くて、どうして、どうして、どうしてわたしは逃げ出そうとしているの!?
ただの敗走、主人公らしくない。わたしはあの盗賊に襲われた時から何も変わっちゃいない。
だけど、これは、どう見たって世界の命運を賭けた戦争だ。主人公らしくもない、怖くて身体も動かない、何の力もないわたしみたいなちっぽけな存在がどう足掻いたって何も変わるはずないじゃない!
ふと、振り返る。
最大出力でなんてことないはずのただの少女へと突撃する機械巨人。傍から見ただけでは圧倒的な戦力差。唸りを上げて振り抜いた拳は少女の身体よりも遥かに大きく、その鉄拳を喰らったならただでは済まされない。……その少女がホントにただの少女であったなら。
「“神憑く口撃!(イヴィル・ディヴェード)”」
しかし、この少女、小烏丸は、神を騙るものだ。彼女に普通の描写は通用しない。
当たれば致命傷どころか塵すらも残らないはずの攻撃を片手だけであっさりと受け止める小烏丸、そして、ばぎん、なぜか触れたところから左腕が一瞬で砕け散る。【軌条空論・紙一重】の巨体が空中へと弾かれる。が、粉々に砕けた左腕、崩れる体勢に構わず右の鉄拳を振り下ろす。がしゃり、今度は右腕の変形、青い炎が盛大に噴射している。
「鬱陶しいですね、〝回顧回顧懐古の修身神(クロノスタシス・デヴォティオ・モデルナ)‟」
小烏丸は何もしなかった、そう、今度は片手を上げることすらも。ただ、小さなため息をひとつ吐いただけ。それなのに、その上空から降って狂う隕石の如き拳は少女の目の前で不可解に静止し、その拳だけをその場に留めながら本体は盛大に不時着してしまう。
「まだ終わらぬ!」
ばぎんッ、その場に固定された右腕を自ら破壊し、両足からの炎の噴射、後退。
さらなる変形、がしゃりがしゃり、砕けた左腕と共に両腕を再構築、両拳を小烏丸に突き出し、両腕ごと射出! 爆音と超高速回転が青き炎を伴って猛スピードで真っ直ぐに迫り狂う様はまるで、彗星。
しかし、それでも、小烏丸は動かない。
「“障らぬ神にも祟られろ(ブリンガー・オブ・コラテラルダメージ)”。いやー、まいったなあー、これじゃあ、やっぱり、とってもすごーいワタクシの異能力披露会になっちゃうじゃん」
ふんわりと、花でも愛でるかの如き忌々しさで、自らを打ち砕かんと爆走する両拳を撫でる。と、それは、まるで時間が切り取られたかのように一瞬で向きを変えて【軌条空論・紙一重】の元へと戻っていく。
ほとんど転倒していた体勢だった【軌条空論・紙一重】はそれを防御できない。まともに身体のど真ん中に直撃、爆発。爆炎とともに地面に叩き伏せられた。
「【軌条空論・紙一重】!? そ、そんな……!」
瓦礫と噴煙に包まれる機械鎧を絶望的に見つめる。そんな、こんなに強くて大きな【軌条空論・紙一重】でさえ、こんな少女相手に何もできずに倒された。神様とは一体何なの?
「まだだ!」
「いえ、終わりです」
噴煙の中から瓦礫を巻き上げて何度でも立ち上がる機械鎧に対し、子烏丸はうんざり吐息。地震と先ほどの戦闘で荒れ果ててしまった大地を、すたすたと軽やかに歩む。
「ーー“形骸神無し(かたかむな)”」
「え、あ、わたしは【透明幻想・錯綜少女基底】。神様には内緒ね」
【軌条空論・紙一重】が小烏丸を見据えながら唐突に。その不穏な質問になんだかイヤな予感がしながら、わたしは小烏丸に聞こえないように小さくそう答えた。どうして、今そんなことを聞くのかしら。そんなこと、この戦いが終わった後にでも、ゆっくりと…………あ。
「ありがとう、小さき少女よ。我が最期に守ったものの名を我が最果てへの手向けとしよう」
「そ、そんな! そんなつもりで教えたわけじゃ……」
「さあ、早く逃げるのだ!」
「ッ……!?」
【軌条空論・紙一重】の背中のバックパック、そして両足から爆風が噴射されて、吹き飛ばされながら叫んだわたしの声はもう届かない。これじゃあ、完全に死亡フラグじゃない! アナタの存在意義を負けイベントなんかにさせたくない!
だけど、だけど、わたしができることなんてたかが知れている。
【軌条空論・紙一重】の叫び声に反射的に駆け出す。地面は揺れて、躓きながら、怖くて怖くて、どうして、どうして、どうしてわたしは逃げ出そうとしているの!?
ただの敗走、主人公らしくない。わたしはあの盗賊に襲われた時から何も変わっちゃいない。
だけど、これは、どう見たって世界の命運を賭けた戦争だ。主人公らしくもない、怖くて身体も動かない、何の力もないわたしみたいなちっぽけな存在がどう足掻いたって何も変わるはずないじゃない!
ふと、振り返る。
最大出力でなんてことないはずのただの少女へと突撃する機械巨人。傍から見ただけでは圧倒的な戦力差。唸りを上げて振り抜いた拳は少女の身体よりも遥かに大きく、その鉄拳を喰らったならただでは済まされない。……その少女がホントにただの少女であったなら。
「“神憑く口撃!(イヴィル・ディヴェード)”」
しかし、この少女、小烏丸は、神を騙るものだ。彼女に普通の描写は通用しない。
当たれば致命傷どころか塵すらも残らないはずの攻撃を片手だけであっさりと受け止める小烏丸、そして、ばぎん、なぜか触れたところから左腕が一瞬で砕け散る。【軌条空論・紙一重】の巨体が空中へと弾かれる。が、粉々に砕けた左腕、崩れる体勢に構わず右の鉄拳を振り下ろす。がしゃり、今度は右腕の変形、青い炎が盛大に噴射している。
「鬱陶しいですね、〝回顧回顧懐古の修身神(クロノスタシス・デヴォティオ・モデルナ)‟」
小烏丸は何もしなかった、そう、今度は片手を上げることすらも。ただ、小さなため息をひとつ吐いただけ。それなのに、その上空から降って狂う隕石の如き拳は少女の目の前で不可解に静止し、その拳だけをその場に留めながら本体は盛大に不時着してしまう。
「まだ終わらぬ!」
ばぎんッ、その場に固定された右腕を自ら破壊し、両足からの炎の噴射、後退。
さらなる変形、がしゃりがしゃり、砕けた左腕と共に両腕を再構築、両拳を小烏丸に突き出し、両腕ごと射出! 爆音と超高速回転が青き炎を伴って猛スピードで真っ直ぐに迫り狂う様はまるで、彗星。
しかし、それでも、小烏丸は動かない。
「“障らぬ神にも祟られろ(ブリンガー・オブ・コラテラルダメージ)”。いやー、まいったなあー、これじゃあ、やっぱり、とってもすごーいワタクシの異能力披露会になっちゃうじゃん」
ふんわりと、花でも愛でるかの如き忌々しさで、自らを打ち砕かんと爆走する両拳を撫でる。と、それは、まるで時間が切り取られたかのように一瞬で向きを変えて【軌条空論・紙一重】の元へと戻っていく。
ほとんど転倒していた体勢だった【軌条空論・紙一重】はそれを防御できない。まともに身体のど真ん中に直撃、爆発。爆炎とともに地面に叩き伏せられた。
「【軌条空論・紙一重】!? そ、そんな……!」
瓦礫と噴煙に包まれる機械鎧を絶望的に見つめる。そんな、こんなに強くて大きな【軌条空論・紙一重】でさえ、こんな少女相手に何もできずに倒された。神様とは一体何なの?
「まだだ!」
「いえ、終わりです」
噴煙の中から瓦礫を巻き上げて何度でも立ち上がる機械鎧に対し、子烏丸はうんざり吐息。地震と先ほどの戦闘で荒れ果ててしまった大地を、すたすたと軽やかに歩む。
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