この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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■■■■■■■■■→戦闘描写

■■【貌無き炉心】■■②

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 それは一筋の光明。小さく揺れる赤い光。

 それは松明のようにゆらゆらと。

 無意識に這い進む速度が上がる。光、光がある!

 そして、わたしはすぐに、それが希望の光なんかじゃないって気づく。

「……ウソでしょ」

 愕然と、小さく囁いたわたしの声に、それらが一斉に振り返る。ゆらり、眼光、炎が弾ける。

 それは、燃え上がる獣の群れ。

 真っ黒だった景色が、今度は真っ赤に塗り潰された。

 姿形はみんなバラバラで、大きいものや小さいもの、四足歩行のものから二本の足で立つもの、翼を持っていて広大な地下空間を飛び回るものもいる。共通している特徴は、それらが轟々と音を立てながら激しく燃え上がっていて、燃えがらのように真っ黒な体をしていること。

 そして、そのどれもがわたしに対して明らかな敵意を向けていたことだ。唸り声(そう、これはきっと唸り声だ、何かが燃える音じゃない)が、四方八方から聞こえる、木霊する、響き渡る。

 とても数えきれるような小さな群れじゃない。今も闇の中から生じて次々と増えているような気さえする。わたしの存在以外の全てがこの業火の群れに飲み込まれていく。

 彼らは何者だ? 魔物? わたし達の足下の遥か下でこんなものが地下空間を闊歩していたの?

 動揺、混乱するわたしの問いに答えてくれそうなものはいない。試すまでもなく話は通じない。彼らは理性より本能で生きている。

 明らかに飢えているか、あるいは縄張りへの侵入者に憤怒している。唸る度、噛み締めた口からちらちらと炎が零れ出る。燃え盛る彼らの炎だけがこの光も届かない深い地下空間を照らす。

 どうやったって素直に通してくれるような相手じゃない。引き返す退路もない。

 わたしはもっとわたしの物語を綴りたい。

 なら、押し通るしかない。

 わたしはゆっくりと立ち上がる。

「どいて、わたしはまだ終われないんだ」

 ぬるり、ワンピースの変容。

 右耳のピアスを引き抜く。

 コルセットが変形して黒い翼がばさりと腰の辺りで羽ばたく。一枚一枚が重厚な黒鋼の羽で構成された巨大な翼。そんなものがわたしの身体を地下空間の空に浮かばせているのを少し奇妙に思う。そっか、この黒翼がわたしを遥かなる落下から救ってくれたんだ。ああ、まるで彼のように心強い。

「世界を守るための翼、トイヒーロー。うん、かっこいいじゃない」

 右手に魔剣、左手に星槍を構える。

 ……チケット・ゥ・ライド、そして、わたしは加速する。不本意ながら好き嫌いしている状況じゃない。

 これは明らかに総力戦だ。

 加速、空気は重く、足取りはさらに重い。まるで泥の中にいるみたいに。



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