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■■■■■■■■■→戦闘描写
■■【貌無き炉心】■■⑤
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――加速。獣心覚醒。
僅かに動きが遅くなった魔獣を超高速で駆け回りながら引き裂き続ける。閃光の如く。この速さは制御不能。敵は全方位、問題なし!
ふわふわと浮遊していた瓦礫はもはやその場に固定されている。細かい砂礫すら超加速の中で触れれば身体は傷つき鋭く皮膚に突き刺さる。ああ、どうやらわたしは血を流さない。
もちろん痛みはある、わたしだって一応ヒトのカタチをしたものだ。今はそれだけが、この痛みだけが、わたし、という存在をかろうじて定義している。
それでも止まることはできない。少しでも立ち止まってしまったらもう動けない。もう夢見る少女じゃいられない。
ぎしりみしり、身体が軋む。限界なんてもうとっくに超えてるんだ。なら動き続けるしかないじゃないか。
そうだ、この戦いが終わったらわたしは……
ぴしり――
身体がひび割れる音がした。「は?」なんで、こんな時に?
過負荷の変身、明らかな許容オーバー。わたしの身体がこんなに脆いなんて。まるで白磁のように、ガラスのように、氷のように砕けていく。それでも戦いは終わらない。わたしの戦いはこれからだ。
黒爪と炎爪が衝突、弾け、基底世界ごと獣の身体を三等分に消し去る。振り下ろした炎熱の軌跡だけが赤く残されて、そして儚く散る。
ばさり、大きく黒翼を広げ超低空飛行、一気に突撃。狙うはわたしを殴り飛ばしやがったあの強大な魔獣。一直線に翔ける、わたしに群がる獣を星槍と魔剣で引き裂きながらなおも加速! 自身がどうなろうと知ったこっちゃない。皮膚が裂かれ肉が焼け焦げて骨が砕かれたってアイツは倒す。あれはわたしの獲物だ!
あの巨大な炎拳が今度はわたしを叩き潰そうと真上から振り下ろされる。まるで隕石。でも大丈夫、今のわたしなら見える、わたしの方が速い。
黒翼の向きを変える、ギリギリで回避、「ッ」炎が頬を掠める、灼ける、けどもう気にしてなんかいられない。巨大な拳は大地にめり込み衝撃で地面はめくり上がって、クレーターを形成する。わたしは黒爪を突き立ててなんとかその場に踏みとどまる。衝撃に耐える。また弾き飛ばされてたまるか。
無様に咥えた星槍、ロンギヌスを振り回す、めちゃくちゃな槍撃軌道、その穴穿つ切っ先に触れた巨腕が乱雑に抉り取られ、切り落とされたその場に静止。
巨躯、燃え盛る咆哮、それは痛み? 激昂? それとも、もしかして昂揚?
わたしは大地にめり込んだままの巨獣の右腕を翔け上がり、そして、右肩を蹴って大きく跳躍。「グッ……」両足が燃える。くるり、空中で両足を蹴り上げ身体を捻る。無理矢理足の炎を鎮火、体勢変更、頭を真下へ向ける、煌々と輝く虹色の視線の先には、わたしを爛々と睨み付ける魔獣の灼眼。ばさり、一度だけ黒翼を素早く羽ばたかせると、そのまま魔獣に向かって落下、星槍を構えて急速突撃。
憤怒に燃える魔獣の眼、大地を揺るがす咆哮と共に振り上げられる左腕、超高速、空気を焼き焦がしながら迫り狂う。
激突寸前の邂逅、にやりと噛み締めた口角が上がり、なぜか笑んでいると気づく。
僅かに動きが遅くなった魔獣を超高速で駆け回りながら引き裂き続ける。閃光の如く。この速さは制御不能。敵は全方位、問題なし!
ふわふわと浮遊していた瓦礫はもはやその場に固定されている。細かい砂礫すら超加速の中で触れれば身体は傷つき鋭く皮膚に突き刺さる。ああ、どうやらわたしは血を流さない。
もちろん痛みはある、わたしだって一応ヒトのカタチをしたものだ。今はそれだけが、この痛みだけが、わたし、という存在をかろうじて定義している。
それでも止まることはできない。少しでも立ち止まってしまったらもう動けない。もう夢見る少女じゃいられない。
ぎしりみしり、身体が軋む。限界なんてもうとっくに超えてるんだ。なら動き続けるしかないじゃないか。
そうだ、この戦いが終わったらわたしは……
ぴしり――
身体がひび割れる音がした。「は?」なんで、こんな時に?
過負荷の変身、明らかな許容オーバー。わたしの身体がこんなに脆いなんて。まるで白磁のように、ガラスのように、氷のように砕けていく。それでも戦いは終わらない。わたしの戦いはこれからだ。
黒爪と炎爪が衝突、弾け、基底世界ごと獣の身体を三等分に消し去る。振り下ろした炎熱の軌跡だけが赤く残されて、そして儚く散る。
ばさり、大きく黒翼を広げ超低空飛行、一気に突撃。狙うはわたしを殴り飛ばしやがったあの強大な魔獣。一直線に翔ける、わたしに群がる獣を星槍と魔剣で引き裂きながらなおも加速! 自身がどうなろうと知ったこっちゃない。皮膚が裂かれ肉が焼け焦げて骨が砕かれたってアイツは倒す。あれはわたしの獲物だ!
あの巨大な炎拳が今度はわたしを叩き潰そうと真上から振り下ろされる。まるで隕石。でも大丈夫、今のわたしなら見える、わたしの方が速い。
黒翼の向きを変える、ギリギリで回避、「ッ」炎が頬を掠める、灼ける、けどもう気にしてなんかいられない。巨大な拳は大地にめり込み衝撃で地面はめくり上がって、クレーターを形成する。わたしは黒爪を突き立ててなんとかその場に踏みとどまる。衝撃に耐える。また弾き飛ばされてたまるか。
無様に咥えた星槍、ロンギヌスを振り回す、めちゃくちゃな槍撃軌道、その穴穿つ切っ先に触れた巨腕が乱雑に抉り取られ、切り落とされたその場に静止。
巨躯、燃え盛る咆哮、それは痛み? 激昂? それとも、もしかして昂揚?
わたしは大地にめり込んだままの巨獣の右腕を翔け上がり、そして、右肩を蹴って大きく跳躍。「グッ……」両足が燃える。くるり、空中で両足を蹴り上げ身体を捻る。無理矢理足の炎を鎮火、体勢変更、頭を真下へ向ける、煌々と輝く虹色の視線の先には、わたしを爛々と睨み付ける魔獣の灼眼。ばさり、一度だけ黒翼を素早く羽ばたかせると、そのまま魔獣に向かって落下、星槍を構えて急速突撃。
憤怒に燃える魔獣の眼、大地を揺るがす咆哮と共に振り上げられる左腕、超高速、空気を焼き焦がしながら迫り狂う。
激突寸前の邂逅、にやりと噛み締めた口角が上がり、なぜか笑んでいると気づく。
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