この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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4章:荳也阜縺ッ繝ッ繧ソ繧ッ繧キ縺ァ蜃コ譚・縺ヲ縺?k?

――わたしだけレベルアップしないのに、新異世界最強ギルドマスターのハーレムの一員に!?――②

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 すると、というか、案の定。

「大丈夫かい、そこのお嬢さん」

 あらま、随分と緊張感ないな。そのまだあどけなさの残る少年の声に、非演技派のわたし達の方が少しだけ緊張してしまう。というか、お嬢さん、って呼ばれるのは別にいいんだけど、やっぱりそこはかとない下心が垣間見えてしまうとなんか不快だな。

「こんなのぼく達に任せてよ」

 その少年はどこにでもいそうな、いたってごく普通の見た目で、わたしよりも年下くらいで、同じ年の子どもと比べても少し小柄。人懐っこそうな無邪気なロマンスグレーの瞳、栗色の少し長いふわふわした髪、服装も街で見かけるようなもので、特に防具なんかもしてなくてとてもカジュアル、それが逆に不思議な感じ。だって……

「さ、お手軽なサブクエストを始めよっか」

 その小さな手に持つは、斧のように見える奇妙な形状の武器の刃。

 その重厚な直刃が据え付けられている箇所にはおそらく、元々は爪弾くための絃が張られていたのであろう。その少年の身の丈よりも遥かに巨大なる漆黒の骨を組み上げて形作られた禍々しい竪琴は、今はそこに巨大な刃と柄を取り付けられて無理矢理武器にされていた。

 この異質な武器こそがきっと、【超弦骨格暫定式・波動帝國】の成れの果て。ああ、見るも無残なその姿に、思わず息を呑んでしまう。これじゃあ、音なんて奏でられるはずがない。

 そんな超巨大な武器を軽々しく振り回すまだあどけなさも残る少年の姿に、やはり彼もまた、まぎれもなく転生者なのだということを思い知らされる。

 そうか、この少年こそがマナカだ。

 それに、その不似合な武器と共になんだか奇妙なのが彼の取り巻きだ。転生者の少年の護衛にしてはなぜか結構な人数がいる。くっ、ここでの暗殺は分が悪そうかな。「ダメ、まだ早い」「う」ちっ、バレたか。

 取り巻きには人間もいればエルフに、あの耳と尻尾は獣人かな、それに天使や悪魔もいるんだから、この世界にいる種族の説明なんて不要じゃない、って思ってしまう。それに、彼女達はみんなとんでもない美少女だ。え、えぇ~、この中に入るの、わたしの精神衛生上無理すぎるんだけど。

 もちろん彼女達も一応はマナカと一緒に戦っている、ようだった……けど?

 だけど、彼女達がしているのは、明らかに意味はなさそうな必殺技を叫んだり、どうでも良さそうな攻撃魔法を撃ち出したり、全く効果なさそうな強化魔法をマナカにかけてあげたりしているだけ。なんだったら勝手にピンチになってたりする、もちろんメルトは何もしていない。彼女達は完全に意味がないどころか、なんだったら足手まといだった。なんで、最強無敵の転生者に、こんなお荷物としか思えないようなパーティが必要なんだ?

 なんだか意味不明なその様子をキョトンとしながら眺めていたけれど、あ、わかっちゃったわ。「マジか……」思わず、ぼそりと。

 彼女達はただの盛り上げ役なんだ。

 マナカが気持ちよくなれるように戦いを派手に演出しようとしているだけだ。だって、あっという間に終わってしまったら見せ場ないもんね。それを自覚しているのかどうかは、真剣そのものな彼女達の表情からは全く読み取れなかったけど。……おバカなのかな?

 というか、マジでただただハーレムの中でちやほやされたいだけなのか。気持ち悪いな、コイツ。颯爽と美少女のピンチを救うその姿に寒気が走る。

 ここでメルトと協力して倒してしまいたい。イライラがどんどん溜まっていく。この鬱陶しい取り巻きごと焼き尽くしてしまいたい。……あれ、やっぱりちょっと衝動的になってる?

 でも、メルトもジーナも自らの役割をちゃんと演じている。ここでわたしがヘマするわけにはいかない。それに、メルトにいたっては、たとえ無傷だとしてもマナカや取り巻きの攻撃を一身に受けまくっている。その姿になんだかわたしまで痛みを感じてしまう。

 だから、わたしはただの新米冒険者、そう、今はそれに徹しよう。あとできっとメルトの無念は晴らす。い、いや、メルトは死なないし、むしろただの私怨だけど。
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