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4章:荳也阜縺ッ繝ッ繧ソ繧ッ繧キ縺ァ蜃コ譚・縺ヲ縺?k?
新異世界ハーレムぶち壊し!④
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「ははは、キミみたいなモブが何を言おうとね、」
小さくため息を吐き、また嘲笑うかのように小さく口角だけを上げたマナカに、わたしの言葉が届いているはずがなかった。それはそう、マナカとの会話なんて最初からそうだったんだから。彼は誰の話も聞いちゃいない。
こうやって対峙してなお、わたしのことなんて聞き分けのない子どもでしかないとまだ思っている。
「ぼくはクソみたいな最弱能力の最弱転生者から成り上がったんだ、ぼくを役立たずだと思って嘲笑ってた奴らはみんな後悔しているだろうね」
ほら、また独りよがりの自分語りだ。もううんざり。今さら敵の悲壮な(きっと悲壮じゃない)過去回想なんて聞きたくもない。話の展開としてこんなにひどいものはない。
「“嗚呼、その忌まわしき愛こそが彼の気高き精神を壊すのだ(あいあいパラソル)”なんて、ただ人の心を壊すための能力さ。あのクソ女神め、こんなの無差別破壊兵器をもらうよりひどい」
「使っちゃってるじゃん」
「これは制御不可能なんだよ。ぼくはラブコメ時空なら最強だったのに、異世界転生物じゃパーティの和を乱す厄介者さ」
抗いがたい彼に対する異常なまでの強烈な庇護欲はそういうことだったのね。人の心をいとも容易く掌握してしまう異能力。シンプルかつ強力なその能力は、確かにどんなに最強の転生者であっても敬遠されてしまうのかも。最強でもなんでも、彼に心を奪われてしまったらそれでおしまいなんだもん。
ジーナが言っていたのはこの異能のことか。それにしても、ジーナは何で大丈夫だったのだろうか、やっぱり魔法的な防御か、それとも、電気系統の魔法は何か洗脳系の異能力に対するカウンターができるのだろうか。
わたしが耐えられたのはきっと、心がまだ未完成だからだ。
この世界に墜ちてきたわたしは錯誤世界秩序機能としての心身しか持ち合わせていない。今回はそれでなんとかなったけど、なんだか複雑な気分だ。
わたしがまだ心を持っていない、なんて。
これだけの冒険と出会いと時間(ずっと眠っていた時間も結構あるけど)を経て、わたしはまだこの物語の主人公になりきれていない。なんだか勝手にそう思ってしまう。主人公が主人公だる所以っていったい何なんだろう。わたしには何が足りないんだろう、友情、努力、勝利?
「だからこそ、ぼくはこの能力を最大限に利用できるような環境を作ったのさ。そう、ぼくのためのハーレムをね」
そして、目の前には、他の物語だったら、そう、数多の雑多な異世界転生系だったら紛れもなく主人公じみたイカレサイコクソ野郎。
「あの駄女神が授けやがった最強の異能だ、どうせなら使わない手はないでしょ?」
そうやって、このお城と城下の惨状を作り上げたわけだ。わかりやすく行き当たりばったり。しかも、自分の信念すらも持ち合わせていないから、さっきまで憎んでいたはずの異能までも簡単に振りかざしてしまう。
だから、こいつらはキライ! 何の信念もないようなやつらに踏みにじられるほど不快なことはない。
「現実世界でもこの世界でも僕の能力を認めない奴はみんな無能のバカどもさ」
「アナタはいつもそうやって、自分じゃなくて、他人や環境のせいにしていたのね」
かしゃりとブーツが軋む、無機質なその音は分厚い真紅のカーペットでマナカには聞こえていないみたい。どうやら、彼はわたしが武器を手放したことを、降参の意と捉えていて、わたしのことを語るに落ちたのだと思っているらしかった。
残念だけどわたしはまだ戦意を失っていない。何も成していない両手には何も持っていないかもしれないけど、わたしが授かった力は未だ健在。
小さくため息を吐き、また嘲笑うかのように小さく口角だけを上げたマナカに、わたしの言葉が届いているはずがなかった。それはそう、マナカとの会話なんて最初からそうだったんだから。彼は誰の話も聞いちゃいない。
こうやって対峙してなお、わたしのことなんて聞き分けのない子どもでしかないとまだ思っている。
「ぼくはクソみたいな最弱能力の最弱転生者から成り上がったんだ、ぼくを役立たずだと思って嘲笑ってた奴らはみんな後悔しているだろうね」
ほら、また独りよがりの自分語りだ。もううんざり。今さら敵の悲壮な(きっと悲壮じゃない)過去回想なんて聞きたくもない。話の展開としてこんなにひどいものはない。
「“嗚呼、その忌まわしき愛こそが彼の気高き精神を壊すのだ(あいあいパラソル)”なんて、ただ人の心を壊すための能力さ。あのクソ女神め、こんなの無差別破壊兵器をもらうよりひどい」
「使っちゃってるじゃん」
「これは制御不可能なんだよ。ぼくはラブコメ時空なら最強だったのに、異世界転生物じゃパーティの和を乱す厄介者さ」
抗いがたい彼に対する異常なまでの強烈な庇護欲はそういうことだったのね。人の心をいとも容易く掌握してしまう異能力。シンプルかつ強力なその能力は、確かにどんなに最強の転生者であっても敬遠されてしまうのかも。最強でもなんでも、彼に心を奪われてしまったらそれでおしまいなんだもん。
ジーナが言っていたのはこの異能のことか。それにしても、ジーナは何で大丈夫だったのだろうか、やっぱり魔法的な防御か、それとも、電気系統の魔法は何か洗脳系の異能力に対するカウンターができるのだろうか。
わたしが耐えられたのはきっと、心がまだ未完成だからだ。
この世界に墜ちてきたわたしは錯誤世界秩序機能としての心身しか持ち合わせていない。今回はそれでなんとかなったけど、なんだか複雑な気分だ。
わたしがまだ心を持っていない、なんて。
これだけの冒険と出会いと時間(ずっと眠っていた時間も結構あるけど)を経て、わたしはまだこの物語の主人公になりきれていない。なんだか勝手にそう思ってしまう。主人公が主人公だる所以っていったい何なんだろう。わたしには何が足りないんだろう、友情、努力、勝利?
「だからこそ、ぼくはこの能力を最大限に利用できるような環境を作ったのさ。そう、ぼくのためのハーレムをね」
そして、目の前には、他の物語だったら、そう、数多の雑多な異世界転生系だったら紛れもなく主人公じみたイカレサイコクソ野郎。
「あの駄女神が授けやがった最強の異能だ、どうせなら使わない手はないでしょ?」
そうやって、このお城と城下の惨状を作り上げたわけだ。わかりやすく行き当たりばったり。しかも、自分の信念すらも持ち合わせていないから、さっきまで憎んでいたはずの異能までも簡単に振りかざしてしまう。
だから、こいつらはキライ! 何の信念もないようなやつらに踏みにじられるほど不快なことはない。
「現実世界でもこの世界でも僕の能力を認めない奴はみんな無能のバカどもさ」
「アナタはいつもそうやって、自分じゃなくて、他人や環境のせいにしていたのね」
かしゃりとブーツが軋む、無機質なその音は分厚い真紅のカーペットでマナカには聞こえていないみたい。どうやら、彼はわたしが武器を手放したことを、降参の意と捉えていて、わたしのことを語るに落ちたのだと思っているらしかった。
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