この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね！？ ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

4章:荳也阜縺ｯ繝ｯ繧ｿ繧ｯ繧ｷ縺ｧ蜃ｺ譚･縺ｦ縺?ｋ?

新異世界ハーレムぶち壊し！⑧

　間髪入れずに振り回す大質量。もうわたしの力じゃ制御不能。両手を床に、右足側も変形。両足の機構が合体、いや、本来の姿を少しずつ復元しながら。回転が増すごとに機構はさらに複雑さと強大さを増していく。奇怪なる機械の様相。もはや玉座の間には収まらず。絶え間なく存在定義を書き換えられて破壊と再生を繰り返す城。

　遠心力に任せて逆立ち、腰を捻り回転、旋風を巻き起こす脚。機構は鎧のようにわたしの両足を太もも近くまで覆いながら、変形と巨大化を際限なく繰り返す。第二関節まで顕現すれば、それは天地を隔てる可変橋梁の如く。

　この指の機能と機構は長大で、だけど、鞭のようにはしならない。ほんの少し指先が触れるだけ。

　そう、本来ならば、たとえそれだけだとしても十分なはずなんだ。

　それなのに。

「それにしてもエロい攻撃だな、誘っているのかい？」

　コイツにはわたしの下着しか見えていないのか？　女の子を何だと思っているのか、いや、なんとなく予想はつくし、それは反吐が出そうなほど最悪なものだったから考えないようにする。とにかく、今は怒りに任せて無心で回転。

　マナカは武器もなく、しかし、その恐るべき身体能力のみで立ち回り、ギリギリで、いや、余裕の笑みすら浮かべながら軋み、唸りを上げる指先を回避する。

　至極無感動で今まさに曝されている猛攻すら自分自身のことでないかのように客観的に。いや、わたしの攻撃など絶対に当たらないとでも思っているのだろう。

　転生者は皆、一度は死んだ身で命など惜しくはないのだ。

　だからこその舐めプ、だからこその倫理観の欠如、だからこその自身を含めた生命の捉え方の軽々しさ、そして、だからこその圧倒的主人公適正。なんて忌々しいのかしら！

「こんなに苦戦するとはね、久しぶりに楽しめそうだ！」

　楽しげなマナカと、全然全くさっぱり楽しくなんてなるはずがないどころかむしろイライラばかりが募っていくわたし。なんだ、この余裕は。あまりにも不自然じゃないか？　何か奥の手でもあるのか？　あの黒斧にはどうやったって届かない。それなら。いやいや、疑心暗鬼を振り払う。さっきからただでさえ惑わされている、今さら何を迷う必要があるんだ。

　心を掌握するマナカの異能は、未だ完全な心を持たないわたしには効かない。だけど、中途半端かもしれないけど、わたしだって確かに心を持っているはずで、そのわずかな情緒に常時発動型の強烈な庇護欲が潜り込む。タネも仕掛けもわかっているはずなのに、抗うのに思考がブレる。足が止まりそうになる。

　だけど、もう回転は止まらない。端から制御する気もなし。わたしはもうほとんど指先に振り回されているだけ。機構の展開は進み、もはや玉座の間に躱す場所なんてない、この靴は完全に屋外用。力任せばっかりで頭なんか使っている様子もない転生者の秘策なんて、あってもなくても関係ない。