この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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設定(≠核心)

―ーLIVE:【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】&【    】feat.           ――⑮

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 まあ、わたしが主人公っぽくないのは重々承知している。なんたって、個性の塊である最強の転生者や神様がバンバン出てくるんだもん。そりゃあ、無能力無個性の極みであるわたしの存在なんて霞んじゃうに決まってる。

「彼女の機能はもはや神を超越しているわ」

 そんな馬鹿げた観測結果が【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】から発せられること自体全く信じられなかった。は? 神を超越する? なんだ、その主人公じみた設定は。そんなすごい設定付けられちゃったら、設定も定まらないまま墜ちてきたわたしの立場がまるで無くなっちゃう。

「小鳥遊 小烏丸、という存在は、この世界とは別の異世界神話創世少女なのかもしれません」

 それじゃあ、やっぱり彼女こそ主人公にふさわしいってことぉ!? わたし達が対峙していたのは紛れもない主人公で、それなら、やっぱりわたし達の方こそがこの世界における悪者じゃない。

 そんなの理不尽だ。勝手にわたしの物語を改変して主人公面するなんてあんまりだ。そんなのってないじゃん。元主人公のわたしのことも見捨てないでほしい。

「あ、そういや、キミは女神と直接会ってるんだよね、どうだった、実際に対峙してみた印象は」

 いやいや、わたし達の敵についてそんなにラフに訊く? あの時の紅茶、どんな味だった? くらい気軽じゃない?

 まあ、でも、確かに小烏丸を客観的な観測ができない彼女達にとって、これは結構有益な情報なのかもしれない。

「そうね、あの女神はただひたすら真っ黒で、容赦なくて、なんだか彼女の描写だけがおかしくて、そう、【軌条空論・紙一重】と戦っている時でさえ全然本気なんて出していないみたいだった」

 あの転生者にも似た、しかし、そのどれもが致命的な異能の数々、不自然極まりない彼女に対する描写、そして、均衡を司る【軌条空論・紙一重】すらも容易く圧倒する力量差。

 そのどれもが神に匹敵する、いや、神をも超越する力、そう思い知らされるような対峙だった。

 だけど、そんな彼女に何かたとえようもない違和感もあった。

「そういえば、【軌条空論・紙一重】が何かを見て、そしたら小烏丸はすごく嫌がって離れたんだよ」

「【軌条空論・紙一重】は均衡を司るものだ。世界の均衡を崩そうとするものと対等となる彼の機能には、対象の詳細を知ることができたのかもしれないわね」

「そこで、小烏丸の正体を見たのかも」

 あの時の小烏丸の様子だけは何か違っていた。何かを恐れているような、それを隠そうと取り繕うような。世界そのものを作り変えようとするような、絶対的な力を有するはずの神が今さら自分の正体を見られたからって、そんなことで狼狽える?

 小鳥遊 小烏丸の正体こそが、この壊れてしまった物語を元に戻すための鍵になるかもしれない。

 彼女はラスボスだ。

 だから、彼女とは必ずまた対峙しなければならない。

 その時、わたしは神からこの世界を取り戻すことができるのだろうか。

 彼女の正体を知ることこそがわたしが神に対抗できる唯一の手段なのかもしれない。

「それにしたってノーヒントよね」

「ま、結局はキミがまだ出会っていない“始源拾弐機関”の物語を探しながら地道に伏線を回収していくしかないさ」

「……メタ発言も極まるとちゃんと章として機能してるように錯覚しちゃうから良くないね」
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