この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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――    【飢餓之太刀・饗宴姫】     ――⑦

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「おい、デカブツ、てめえが旧支配者かって聞いてんだよ」

 口調は全く違えど、その不遜な態度は相変わらず。これこそが彼の本性で、あの笑顔の仮面が剥がれ落ちて化け物じみた今の姿の方がまだ、彼の人間性を垣間見ることができる。なんて皮肉なのかしら、人間性を得たはずの彼はまるで心のままに姿を変えられた野獣そのものだ。

「貴様に答える義理はない」

 そんなアヴァリスに対して、観測機の口調は相変わらず硬質で無機質な人工音声そのものだった。それでも、なんとなくアヴァリスに対する怒りのようなニュアンスは伝わってきた。そう、観測対象であり、いや、それ以上に自身を慕う小さな少女に危害を加えられたのだ、たとえ彼が機械だったって関係ない、怒って当然だ。

 彼の機能は停止したって聞いていた。だから、この身体の奥に響くような地鳴りは地震なのかと思った。

 まるで、山の隆起。

 そうか、彼が動けなかったのは壊れていたからじゃない、彼の巨体に覆いかぶさるように堆積した土の上に成長したこの森を壊したくなかったからだ。なんて優しい機械なんだろうか。

 ほとんど大部分が土に埋もれていた彼が立ち上がると、それは長身であるはずのアヴァリスの背丈よりも、いや、もしかしたらこの森の一番高い木よりも大きいのではないかと思うほどの、見上げるような大巨人が姿を現す。土まみれで錆び付いてはいるけど、あの時の【軌条空論・紙一重】みたいだ。

 彼もまた、わたし達を守ってくれようとしている。だけど、今度はなんだかあの時とは違う。

 彼は決してアヴァリスに負けたりしない。そんな確信があった。

「なら、バラバラにしてから吐かせてやるよ」

 しかし、そんな彼を見上げてなお、不敵な笑みを浮かべるアヴァリス。よっぽど自信があるのだろうか。ぐちゃり、黒ずんだ異形の右腕を身体の後方に引き絞る。

 彼がどんな異能を使うのか全く予想がつかない。

「き、気を付けて、観測機さん! アヴァリスは転生者で、何かおかしな異能を使うはずよ!」叫んどいて、これじゃあ何一つもアドバイスにならない。

「問題ない、彼らからできる限り離れろ」

 唸り声のような機械音、ゆっくりとその土まみれの右腕を高々と掲げる。その堂々たる姿は、あたかも偉大なる英雄の功績を讃えるべく盛大に建てられた巨像みたいだ。
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