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目的、この物語のテーマ
―― 【飢餓之太刀・饗宴姫】 ――⑩
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少女は私を見る。その眼差しは鋭く、あからさまな敵意が少女のかわいらしい顔を醜く歪ませていた。その金と黒で分けられた髪色はその醜い憎悪にはお似合いだけど。ああ、なんて可哀想なのかしら、早く私を愛せるようにしてあげなきゃ。
「私は異能だとは思っていないけどね。この力は元々私が持っていたもの、そう、私の才能に他ならないわ」
そう、きっと彼女には何もわからないでしょうね。だから、私は懇切丁寧に説明をしてあげる。わたしは、定義指針と外因衛星だけを展開する。……え?
「この物語を私のための物語にするの、」
「は?」
なんだ、今のは。これはわたしの物語だぞ。こんなのがずっと続いたら物語どころか作品そのものが破綻してしまう。これはわたしの私の物語よじゃなくなってしまう。……クソ、干渉してくる!
「たとえ、それが物語の出来を悪くしても、私の自己満足でも、それでもいいの。だってそうでしょ、私は決して失敗しないし、誰からも愛され、誰からも理想とされるんだもの」
ぎしり、現実改変に抗っていた機構翼が軋む。ばちり、防壁にノイズが走る。こんなことがあり得るの!? 物語そのものに干渉する異能なんて、それは全ての物語に、いえ、物語を綴る全ての者に対する冒涜だ!
「それなら、その物語は大団円でしょ?」
だけど、それをメアリーは簡単にやらかそうとしている。これはどう考えてもまずい。物語としてホントに破綻してしまう。この世界だけじゃない、この物語の何もかもがここで終了してしまう。
無邪気にほほ笑むだけのメアリーに、この世界を壊してやろう、なんて悪意は一切感じられない。だけど、彼女は自身に都合のいい世界だけを創り上げようとしている。一番質が悪い相手。
「何もしないくせに主人公だなんて、なんて虫のいい話かしら」
「いいえ、私の物語はこれから始まるの、きっと胸躍る大冒険よ」
メアリーに目的や、物語のテーマなんてない。
わたしは必死にそれを探してきたんだ、そんなの認めたくない。
だけど、メアリーは違う。彼女だけがハッピーエンドなら、世界観もストーリーも情緒も登場人物さえもどうでもいい。そこには不純物がない。自己満足の塊。存在すべき世界すら破壊する最強の願望。
彼女のための世界。彼女が何の苦労もなく無条件で愛されるだけの世界。たったそれだけの気持ち悪い物語になってしまう。
新世界を創世する、という目的を持っている女神の方がある意味でまだマシかもしれない。彼女を評価する日が来ようとは思ってもみなかった。
「私は異能だとは思っていないけどね。この力は元々私が持っていたもの、そう、私の才能に他ならないわ」
そう、きっと彼女には何もわからないでしょうね。だから、私は懇切丁寧に説明をしてあげる。わたしは、定義指針と外因衛星だけを展開する。……え?
「この物語を私のための物語にするの、」
「は?」
なんだ、今のは。これはわたしの物語だぞ。こんなのがずっと続いたら物語どころか作品そのものが破綻してしまう。これはわたしの私の物語よじゃなくなってしまう。……クソ、干渉してくる!
「たとえ、それが物語の出来を悪くしても、私の自己満足でも、それでもいいの。だってそうでしょ、私は決して失敗しないし、誰からも愛され、誰からも理想とされるんだもの」
ぎしり、現実改変に抗っていた機構翼が軋む。ばちり、防壁にノイズが走る。こんなことがあり得るの!? 物語そのものに干渉する異能なんて、それは全ての物語に、いえ、物語を綴る全ての者に対する冒涜だ!
「それなら、その物語は大団円でしょ?」
だけど、それをメアリーは簡単にやらかそうとしている。これはどう考えてもまずい。物語としてホントに破綻してしまう。この世界だけじゃない、この物語の何もかもがここで終了してしまう。
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「何もしないくせに主人公だなんて、なんて虫のいい話かしら」
「いいえ、私の物語はこれから始まるの、きっと胸躍る大冒険よ」
メアリーに目的や、物語のテーマなんてない。
わたしは必死にそれを探してきたんだ、そんなの認めたくない。
だけど、メアリーは違う。彼女だけがハッピーエンドなら、世界観もストーリーも情緒も登場人物さえもどうでもいい。そこには不純物がない。自己満足の塊。存在すべき世界すら破壊する最強の願望。
彼女のための世界。彼女が何の苦労もなく無条件で愛されるだけの世界。たったそれだけの気持ち悪い物語になってしまう。
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