この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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最終章:第二次新異世界大戦

ーーもふもふと行く新異世界珍道中ーー②

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「ところで、あなたが連れているその魔獣、見たことない種族ね」

「彼は【貌無き炉心】――世界を掻き立てるもの、メルトっていうの。わたしの一番の友達よ」「わう!」

「へえ」

 その温和な表情から一瞬だけメルトを品定めする冷たい視線が垣間見えた気がした。い、いいえ、きっと気のせいよね。

「メルトはそんじょそこらの魔獣とはもふもふが段違いでしょー。なにせ、この星の情熱を司っているんだもん」

 あ、今はどこか遠い国の守護神獣的なことしているんだっけ? なんか子ども達にすっごいもふもふ撫で回されててゴキゲンだったもんね。

「ねえ、その魔獣、私に預けてみない? お願い、大事にするから」

「は? 何言ってるの?」

「ばう?」

 メルトはわたしの友達だ。姿かたちなんて関係ない。お互いの情熱を文字通り全身全霊でぶつけ合って理解し合えた。だから、そんなくだらない提案がフーカから出てきたのが驚きだった。

「さっきのわたしの話聞いてた? 彼はわたしの友達なの、譲る譲らないなんてそれ以前の問題よ」

 わたし達は“始源拾弐機関”、この世界の始源たる理を司るものにして錯誤世界の秩序機能だ。……わ、わたしは希望を司っています! 一応言っとくね! と、とにかく、わたし達は、誰のものでもないし、誰かの下に付くものでもない。

 だから、わたしとメルトはただの友達だ。

「アナタだってその魔獣達を友達だって思っているんでしょ?」

「もちろんそうだけど、でも、レアな魔獣ならゲットしたいじゃない?」

「……もふもふこれくしょん、略して、もふこれ、だとでも言いたいの?」

「だってそういう世界観じゃないの? せっかくゲームみたいな世界に転生したんだからSSRで楽しみたいじゃん」

 彼女もまた、魔獣達をただの物としか、自身を着飾る生きた毛皮としか思っていなかった。ついさっき見えたはずの魔獣との絆はただのまやかしだったのか。

「この魔獣だってこの街に入荷したって聞いて、急いで来てやっと競り落としたんだから」

 彼女の用事ってそういうことだったのか。

 さっきまでの大人びた雰囲気はもうフーカからは感じられなかった。今そこには、欲しいものは何としてでも手に入れたい、そして、それを見せびらかして自慢したい、そんなわがままで横柄な子どもの姿しかなかった。

 彼女もまた転生者。どこかしらが壊れた人格破綻者。神の都合のいい駒の一つ。

 死んでしまったときだろうか、それとも、転生したとき? 抑えつけていた欲望のタガが外れてしまった。

 もしかしたら、転生者って、転生してしまったら理性だけが腐って、ただの欲望に忠実な獣になってしまうんじゃないだろうか。マジであの女神、余計なことしやがって。せめて、ヒトとしての尊厳を以てして逝かせてあげてよ。
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