この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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最終章:第二次新異世界大戦

ーーもふもふと行く新異世界珍道中ーー③

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「彼らはアナタのアクセサリーじゃない、この魔獣達だってちゃんと生きている」

「ぐるう」

 低い唸り、メルトの白い毛が逆立つ。さっきまでの穏やかな雰囲気から一転、今この場は互いの思惑と怒りと譲れない熱でピンッと張り詰めている。この緊迫がいつ灼き切れてしまうか誰にも予想できない。

 怯えてフーカの後ろに隠れる獣とこの緊張感にあてられて威嚇する獣。

 そのどちらも主人であるフーカのことを信頼している。そのことがわたしの胸をぎゅっと締め付ける。フーカがあの子達をどう扱おうとこの子達にとっては彼女こそが唯一の拠り所なのだ。

 だけど、フーカは、不安げに彼女に寄り添い、その顔を見上げる魔獣の一匹を無視して笑う。

「この子達がレアなのはなにも、もふもふだから、って理由だけじゃないのよ?」

 彼女はそっと黒毛の魔獣の大きな頭に右手をのせる。その魔獣は思慮深ささえ感じる青い目でフーカを見つめるけど、彼女はそれにすら気付いていない。もう、彼女はもふもふの魔獣を愛でるもふもふ愛好家じゃない。

 彼女は、必要ない殺生までするただの毛皮収集家だ。

「この子達、とっても強いんだから」

 魔獣の頭にのせていた彼女の手のひらから魔力による発光、苦しそうに呻く黒毛の魔獣。それが彼女の異能の真の姿。

 つまり、魔獣を使役する異能。

 正しく使うことができれば彼らとだって仲良くなれる異能なのに。醜悪な自己顕示のためだけに見せつけられるのはなんて不快なのかしら。

「アナタがその魔獣達をホントに愛しているなら、ホントに友達だと思っているならわたしは何も言わない。だけど、アナタの言葉には彼らに対する情熱がない」

 苦しそうに噛み締めた赤黒く大きな口からぼたぼたとよだれを垂らし、血走った白目をこちらに向けている変わり果ててしまった黒毛の魔獣を悲痛に睨む。

「……メルト、息が詰まりそうね」

「わうん」

 ふつふつと沸き上がる怒り。わたしに流れる灼血が呼応する。髪は獣のように逆立ち。びりびりと大地が焼き焦げる。肌は赤熱し、そして、視界も思考も真っ赤に染まる。

 ああ! これこそが、憤怒!

 炎上する一人と一匹。灼熱の共闘。星の核の業火を奴に。万象一切を焼き尽くせ。

「メルト! 熔けてしまいそう!」

「がああああああああああッ!!!!」


 ーーNow hold me in your arms……
            ……just kidding!
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