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最終章:第二次新異世界大戦
ーー この新異世界がゲームだと知っているのはオレだけらしい ーー②
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「さあ、準備完了、気が済むまで拳で語り合おうじゃない」
全ての異能は、そう、わたしがもらった機能すらも無効になった。
だから、この瞬間、頼りになるのは今までの冒険の中で獲得した経験値と、そして、己の拳のみ。……ふふっ、なんか武道家みたいね。
そういえば、自らの力だけで困難を乗り越える、なんて初めてかも。いつも誰かがいてくれて、いつも“始源拾弐機関”から授けてもらった機能が助けてくれる。
そう思うと、ほんの少しの怯えと、未知との遭遇に身震いしてしまう。
真っ白なわたし、【透明幻想・錯綜少女基底】ですらない、何も持たないただのキティはどこまでやれるのだろうか。もしかしたら、そんな物語だったかもしれない。
【外装起因機関・電葬経土・七人姉妹】――世界を形作るものは、そんな可能性を提示してくれたのかもしれない。そして、そんなことない、って可能性も。
「準備はいい? Are you ready?」
今この瞬間だけ余計なしがらみを解き放った。
そうしたら、なんだか身体が軽くなったような気がして、軽快に軽口などを宣いながら改めてキリエと対峙する。
キリエの装備も完全に初期に戻っている。布の服と錆びたナイフ。……そのゲーム、あまりにも序盤しんどくない?
自身の絶望的な変化にあたふたしているキリエは、今までそのいくつものチートスキルとすてーたすまっくすで楽々戦ってきたのだろう。だから、剥き出しの自身だけで戦うなんて思ってもみなかった。うん、そんな茫然自失な表情をしてる。
そして、ジリジリと張り詰めた緊迫の糸が限界まで引き延ばされて、プツリと切れ、わたし達は
「参りました!」
「……は? そんなんで許すはずなくない? この高まりに高まったボルテージをどうしてくれるの?」
あまりにも根性がなさすぎる。まだ何も始まってないぞ?
両手を挙げての完全降伏。
キリエにはありのままの姿を見せつけるだけの度胸がなかった。彼のカタチは確かに唯一無二、彼だけの特別なモノのはずなのに。
「だって、こんなのカッコ悪いじゃん! 女の子はみんな僕の味方になってくれるんじゃないのか!?」
「いや、それはその子次第じゃないの? わたしは無理、生理的に俺TUEEEEEは受け付けないの」
「くそおおおおおおおおお!!!!!」
404 not found
全ての異能は、そう、わたしがもらった機能すらも無効になった。
だから、この瞬間、頼りになるのは今までの冒険の中で獲得した経験値と、そして、己の拳のみ。……ふふっ、なんか武道家みたいね。
そういえば、自らの力だけで困難を乗り越える、なんて初めてかも。いつも誰かがいてくれて、いつも“始源拾弐機関”から授けてもらった機能が助けてくれる。
そう思うと、ほんの少しの怯えと、未知との遭遇に身震いしてしまう。
真っ白なわたし、【透明幻想・錯綜少女基底】ですらない、何も持たないただのキティはどこまでやれるのだろうか。もしかしたら、そんな物語だったかもしれない。
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今この瞬間だけ余計なしがらみを解き放った。
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そして、ジリジリと張り詰めた緊迫の糸が限界まで引き延ばされて、プツリと切れ、わたし達は
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