この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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最終章:第二次新異世界大戦

ーー この新異世界がゲームだと知っているのはオレだけらしい ーー①

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 黒衣の黒き黒騎士、キリエ・シノヤは、闇と光の双剣を持っていて最強に見える。

 なんとなくだけどさ、わたし、キザったらしいくせに妙に下手に出ているようで実のところ実力を隠しつつの謎の上から目線な彼のことは好きになれなさそうなんだよね。

「VRMMOで最強のチートスキルを持つこのオレに勝てるかな?」

 その二つ名が表すように彼は細身の真黒な鎧に黒い外套を纏っていた。その闇夜のような出で立ち、そのツンツンとした黒髪はしっかりと丹念にセットされているようだ。

「“神の誤り(ザ・チーターマン)”はオレがプレイしていたゲームのチートを使えるようになる。ふ、これもチートスキルだな」

 さっきからチートチートうるせえけど、それってつまりズルってことですよね。そんなにほめられたものでもないし、もちろん自慢できるようなものでもないと思うんだけど。せめてそれがバレないようにこそこそしといてもろて。

 ま、こういう輩はうっかり自分だけが授かった特別な力、っていうのは見せびらかしたいものなんだろう。バグばっかりでデバックガバガバなんてBGMだけがやたらとハイクオリティなとんだクソゲーなのかもしれない。

「オーケー、それならわたしも全力でやってやろうじゃない。はたして、引きこもりのゲーマーがチートスキルもすてーたすまっくすも無しのステゴロガチンコ勝負でわたしに勝てるかな?」

 ……ん? いや、ちょっと待てよ、わたしもただの女の子だぞ? 煽り散らかしたはいいけど、これで負けたらシャレにならんぞ?

「外因衛星、マルドゥック・アーカム・ヴェロシティ」

 それは、なにものでもない、なんにでもなれるもの。腰のスーパーマイクロバッグが青白く光り輝き、無機質なフィールドを形成する。

 ここは、全ての異能とすてーたすまっくすによる身体強化を無効化する。

 わたしの全ての色彩は真っ白になる。肌も血も無機質な白磁のように。似合っていなかった黒と金の髪も今だけは真っ白。ワンピースも下着もなくなったけど、かろうじてあのボロボロの布切れだけは纏っていたからギリギリセーフ。

 ふふ、こんな格好、物語の始まりみたいね。

 何も持たないからこそ、何にでもなれたはずの、無色透明なわたし。

 もっと何かできたかもしれない、もっと素敵な物語でカッコいい主人公として活躍できたかもしれない。

 でも、たとえそうだとしても、今のわたしも結構気に入ってるの。

 あまりにも主人公っぽくなくて、どう見ても無様で、進むべき道は間違いだらけだったかもしれない。

 だけど、今のわたしだって、わたしにしか彩ることのできない色で染まっている。
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