この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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        白紙        

ーー  縺九∩縺ごろし  ーー⑩

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 それが彼女がこの世界を壊す理由。

 もしかしたら、この錯誤世界でも万能な最強転生者として無双できるっしょ、とでも思っていたのかもしれない。

 だけど、この“始源拾弐機関”が司る錯誤世界、ミスティカエラでは、必要悪、という自身の忌まわしい機能がそれをさせてくれなかった。

「さあ、甘ったるいピロートークもそろそろやめましょう。アナタもそろそろ消えてください、ワタクシにはアナタのちっぽけな希望は少し眩しすぎます」

「ふふ、意外とウブなのね、裸を見るのははじめてかしら?」

「ロリコンならまだしも、ワタクシに色仕掛けなら無駄ですよ、自分にそんなに魅力があると思って……」

 善悪を司るあの光線は確かにこの世界に撃たれた。ようやく、それを確信した。

「…………何をした?」

「キャッ」

 小烏丸はわたしを突き飛ばすと、その体勢からは信じられないほど遠くまで跳躍して距離を取る。

 というか、時間加速すら意味がないならいつまでも裸でいる必要もない。さっさと下着だけは着ける。クッソ恥ずかしかった!

 びしり、近くなのか遠くなのか、とにかく真っ白なだけの空間に亀裂が走り、それが次第に大きく広がっていく。びしりびしり、そのガラスが割れるような耳障りな音がどんどん大きくなっていく様を小烏丸も、そう、わたしも不安に見つめる――

「“聖杯、そして渦、第八は何を掴む?(グッバイ、マイ・スイートメモリーズ)”!」

 その破損に耐えきれずに砕け散った空から響き渡るのは、喚くような笑うような歌うような楽しむような声だった。キーキー甲高い叫び声はこの陰鬱な世界によく響く。

「え?」予想外の事態に思わず声が出る。

 白い世界がまるで本のページを乱暴に破るように引き裂かれる。大地が揺れるような衝撃はなかった。だけど、目の前で起きた不可解な現象に思わず体勢を崩してしまう。確かにこの世界を壊そうとした。だけど、こんなはずじゃ……

「ああああああああああ!!!!」

 破り取られた空間に巻き込まれた小烏丸の左腕が千切れ飛ぶ。血は出ない、その代わり、彼女の左腕はまるで、そう、陶器の人形が割れてしまったかのように砕け散った。メルトと出会う前の、熱のないあの時のわたしみたいだ、錯誤世界秩序機能としてのツクリモノでしかなかった空っぽのわたしと。
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