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白紙
ーー 縺みご縺斐m縺 ーー⑪
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「異世界神話創世は楽しめたかしら? 【かみごろし】?」
この声の主こそが、異世界を謳歌していた小烏丸を再び錯誤世界へと連れ戻した諸悪の根源。
「……おや、真のラスボスの登場ですか。楽しいわけないじゃないですか、だからぶっ壊してやったんですよ」
突如として消失した左腕の傷口を押さえつけながら忌ま忌ましげに小烏丸が振り返る、わたしもその視線の先を追う。
「ふふッ、ごきげんよう、キティ」
ふわり、その少女はまるで空から舞い降りてきたかのような優雅さでこの真っ白な地に降り立つ。たくさんのフリルで飾り付けられたかわいらしい水色の豪奢なエプロンドレスだけが、いや、それだけじゃない彼女を彩るきらびやかな色彩だけがこの世界から失われていなくて、だから、このキラキラ幼女こそがこの物語の主人公に見えてしまう。まさしく、彼女こそがこの舞台のプリマドンナ。
「ラ、ラフィーナ、どうして……?」
「あら、アナタはこうは考えなかったのかしら? どうしてこの世界の存在が異世界を知っているのかしら、って」
それは、確かに【外装起因機関・電葬経土・七人姉妹】が懸念していたことだった。小鳥遊 小烏丸が神である限りそれは矛盾している、と。
「で、でも、どうしてラフィーナが」
「ワタシったらとっても面白い物語が読みたいの。だから、その物語が面白くなるのならなんだってするわ」
たったそれだけのために真っ白だったわたしの世界に物語を、そして、小烏丸に異世界へと転生する力を与えたのか。
「でも、なんだかつまらないお話になりそうね」
何もない世界を見渡して、ラフィーナは至極残念そうに肩をすくめる。
「意味がわかりませんね。ぽっと出のアナタなんかがワタクシが創り上げた物語に口出ししないでいただけますか、“無神論者は貴方だけ(ロンリー・スペルピアス)”」
「あら、ワタシったらどうしようもなくこの物語の読者よ? 関係なくなくないわけがありはしないわ」
小烏丸のひび割れた左腕から強大な魔力の奔流、それは光すらないこの世界ではあまりにも眩しく、青白い光が集束し、そして、莫大な威力となってラフィーナに向かって放たれる。
しかし、それは途中で霧散して、何も起きない。
ラフィーナが何かをした様子はない。それはただ勝手に消えてしまったようにしか見えなかった。
「アナタが勝手にワタクシをこんなクソみたいな世界に召喚したから! ワタクシはただ、ただ主人公になりたかっただけなのにッ!」
ヒステリックにそう叫んだ小烏丸はその言葉とは裏腹に力なく壊れた左腕をだらりと下げる。はじめて見たかもしれない、彼女のそんな表情を。
「あら、必要悪はお話の中の悪者であることがその機能でしょ? それなら残念だけれども、アナタは決して主人公にはなれないわ」
「何だと?」
「だってそうじゃない? 今のアナタがしていることはただの逆恨み。それってただのわがまま。そんなのじゃあ、起承転結も序破急もあったもんじゃないわ」
「…………黙れよ、ただの読者に何がわかる」
「そんな感情にストーリー性を求めようとするから、この物語ったらちょっとおかしなことになっちゃったんじゃないのかしら?」
「うるさい! お前みたいな奴がいるから……!」
「いいえ、ワタシは何もしてないわ? ただ、アナタの物語を読ませてもらってるだけ」
「それが迷惑なんだ!」
「あら、じゃあどうすればよかったのかしら?」
「どうもこうもない! さっさとワタクシの物語から出て行け!」
「イヤよ、ワタシは別にこの物語を読むのを途中でやめたいわけじゃないもの。それにそれじゃあ何も解決しないでしょう?」
この声の主こそが、異世界を謳歌していた小烏丸を再び錯誤世界へと連れ戻した諸悪の根源。
「……おや、真のラスボスの登場ですか。楽しいわけないじゃないですか、だからぶっ壊してやったんですよ」
突如として消失した左腕の傷口を押さえつけながら忌ま忌ましげに小烏丸が振り返る、わたしもその視線の先を追う。
「ふふッ、ごきげんよう、キティ」
ふわり、その少女はまるで空から舞い降りてきたかのような優雅さでこの真っ白な地に降り立つ。たくさんのフリルで飾り付けられたかわいらしい水色の豪奢なエプロンドレスだけが、いや、それだけじゃない彼女を彩るきらびやかな色彩だけがこの世界から失われていなくて、だから、このキラキラ幼女こそがこの物語の主人公に見えてしまう。まさしく、彼女こそがこの舞台のプリマドンナ。
「ラ、ラフィーナ、どうして……?」
「あら、アナタはこうは考えなかったのかしら? どうしてこの世界の存在が異世界を知っているのかしら、って」
それは、確かに【外装起因機関・電葬経土・七人姉妹】が懸念していたことだった。小鳥遊 小烏丸が神である限りそれは矛盾している、と。
「で、でも、どうしてラフィーナが」
「ワタシったらとっても面白い物語が読みたいの。だから、その物語が面白くなるのならなんだってするわ」
たったそれだけのために真っ白だったわたしの世界に物語を、そして、小烏丸に異世界へと転生する力を与えたのか。
「でも、なんだかつまらないお話になりそうね」
何もない世界を見渡して、ラフィーナは至極残念そうに肩をすくめる。
「意味がわかりませんね。ぽっと出のアナタなんかがワタクシが創り上げた物語に口出ししないでいただけますか、“無神論者は貴方だけ(ロンリー・スペルピアス)”」
「あら、ワタシったらどうしようもなくこの物語の読者よ? 関係なくなくないわけがありはしないわ」
小烏丸のひび割れた左腕から強大な魔力の奔流、それは光すらないこの世界ではあまりにも眩しく、青白い光が集束し、そして、莫大な威力となってラフィーナに向かって放たれる。
しかし、それは途中で霧散して、何も起きない。
ラフィーナが何かをした様子はない。それはただ勝手に消えてしまったようにしか見えなかった。
「アナタが勝手にワタクシをこんなクソみたいな世界に召喚したから! ワタクシはただ、ただ主人公になりたかっただけなのにッ!」
ヒステリックにそう叫んだ小烏丸はその言葉とは裏腹に力なく壊れた左腕をだらりと下げる。はじめて見たかもしれない、彼女のそんな表情を。
「あら、必要悪はお話の中の悪者であることがその機能でしょ? それなら残念だけれども、アナタは決して主人公にはなれないわ」
「何だと?」
「だってそうじゃない? 今のアナタがしていることはただの逆恨み。それってただのわがまま。そんなのじゃあ、起承転結も序破急もあったもんじゃないわ」
「…………黙れよ、ただの読者に何がわかる」
「そんな感情にストーリー性を求めようとするから、この物語ったらちょっとおかしなことになっちゃったんじゃないのかしら?」
「うるさい! お前みたいな奴がいるから……!」
「いいえ、ワタシは何もしてないわ? ただ、アナタの物語を読ませてもらってるだけ」
「それが迷惑なんだ!」
「あら、じゃあどうすればよかったのかしら?」
「どうもこうもない! さっさとワタクシの物語から出て行け!」
「イヤよ、ワタシは別にこの物語を読むのを途中でやめたいわけじゃないもの。それにそれじゃあ何も解決しないでしょう?」
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