縁は縁でも腐ってる

長澤直流

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◆參

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「なぜ……、何故に……」

 豊稔国。蒼城の離れで、勤めから帰って来た宗近は居るはずの者を見失って呆然と立ち尽くしていた。
 今朝方まで愛でていた愛し子が離れに居らず、さらに城内のどこを探しても見つからなかったのだ。
 宗近が喪失感に震え、ふと目線を下げると、そこには小さな紅い染みが二つ。

(血……痕――?)

 それは今朝方、宗近がここを去るまでには無かったものだった。
 宗近の頭が急激に冷えてゆく。
「――伊織っ!」
 宗近がそう叫ぶと、人影のなかった場所から一人の青年が姿を現した。
「美慶が……消えた。訳を知りたい。自ら去ったのであれば咎めはせぬが……理由を知りたい。誰ぞのかどわかしならば共に連れ帰ってこい。儂の愛し子に手を出すなど地獄を見せてくれるわ!」
 伊織は宗近に深く頭を下げると姿を消した。
「美慶、ああ……美慶、無事でいてくれ」
 宗近は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
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