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【家宝の槍と畳の穴】肆
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料理人が美慶の体を労り、夕餉は消化の良い雑炊であった。
昼間の情事を察せられ恥ずかしくも、その雑炊が体に染み渡り美慶は目元を滲ませた。
ただ、そんな心情の美慶の横で何事もなかったかのように普段通りの御膳にがっつく総満が少し憎らしく感じ、美慶は少し棘のある声音で総満に語り掛けた。
「私は考えを改めたのでございます。このままなし崩しに度量を超えて御前様の御相手を続けてしまっては、心身共に破綻致します故――」
美慶がそう言うと総満は片眉を上げて美慶を一見した後、瞼を閉じて悪びれも無く飄々と言った。
「此度城を離れて如何に其方に負担をかけていたのか思い知ったわ。この件については後々話し合いの上で改めようぞ。じゃが、今日に至っては、今更変えることなど出来ぬ。安心して抱き潰されよ」
「――まだ、足りぬと申されますか! 安心などとても出来ませぬっ!」
そう美慶が抗議したが、総満はくつくつと笑うだけで結論は覆らなかった。
夕餉の後、総満は宣言通り美慶を抱き潰すまで体を貪り続けたのだ。美慶は気を失い、次の日は全身の筋肉痛と人に閨事を見られた心労で熱を出し、丸一日寝込むこととなった。
一方、味を占めた総満は美慶がちょっとでも回復すればちょっかいを出し、全快する前に再び抱き潰すということを繰り返しだした。
話し合いなど端から無理なのだ。どこまで行っても平行線なのだから。
美慶が再び総満から逃げるようになるのも致し方ないことだった。
故に、たとえ美慶が朝餉のときに姿をくらましていようが、奥から出さえしなければ誰も彼を咎めたりはしない。
総満からの責め苦ともいえる重い寵愛を受ける美慶を不憫に思い、小姓達は彼の食事や身の回りの備品など、すぐ整うよう以前よりも気を遣うようになった。殊更、総満が関わっている場合は美慶の部屋の方から如何様な音がしても、よっぽどのことがない限り下手に近寄らないことが習わしとなり、総満が美慶の許を去ると、美慶に気を遣いつつ身の回りの物の取り替えや湯殿の用意などを速やかに行った。
所詮、小姓達では総満を止めることなど出来ない。であるのであれば、せめて美慶が快適に過ごせるように……と、無力な小姓達による心遣いであった。
――【家宝の槍と畳の穴】終――
昼間の情事を察せられ恥ずかしくも、その雑炊が体に染み渡り美慶は目元を滲ませた。
ただ、そんな心情の美慶の横で何事もなかったかのように普段通りの御膳にがっつく総満が少し憎らしく感じ、美慶は少し棘のある声音で総満に語り掛けた。
「私は考えを改めたのでございます。このままなし崩しに度量を超えて御前様の御相手を続けてしまっては、心身共に破綻致します故――」
美慶がそう言うと総満は片眉を上げて美慶を一見した後、瞼を閉じて悪びれも無く飄々と言った。
「此度城を離れて如何に其方に負担をかけていたのか思い知ったわ。この件については後々話し合いの上で改めようぞ。じゃが、今日に至っては、今更変えることなど出来ぬ。安心して抱き潰されよ」
「――まだ、足りぬと申されますか! 安心などとても出来ませぬっ!」
そう美慶が抗議したが、総満はくつくつと笑うだけで結論は覆らなかった。
夕餉の後、総満は宣言通り美慶を抱き潰すまで体を貪り続けたのだ。美慶は気を失い、次の日は全身の筋肉痛と人に閨事を見られた心労で熱を出し、丸一日寝込むこととなった。
一方、味を占めた総満は美慶がちょっとでも回復すればちょっかいを出し、全快する前に再び抱き潰すということを繰り返しだした。
話し合いなど端から無理なのだ。どこまで行っても平行線なのだから。
美慶が再び総満から逃げるようになるのも致し方ないことだった。
故に、たとえ美慶が朝餉のときに姿をくらましていようが、奥から出さえしなければ誰も彼を咎めたりはしない。
総満からの責め苦ともいえる重い寵愛を受ける美慶を不憫に思い、小姓達は彼の食事や身の回りの備品など、すぐ整うよう以前よりも気を遣うようになった。殊更、総満が関わっている場合は美慶の部屋の方から如何様な音がしても、よっぽどのことがない限り下手に近寄らないことが習わしとなり、総満が美慶の許を去ると、美慶に気を遣いつつ身の回りの物の取り替えや湯殿の用意などを速やかに行った。
所詮、小姓達では総満を止めることなど出来ない。であるのであれば、せめて美慶が快適に過ごせるように……と、無力な小姓達による心遣いであった。
――【家宝の槍と畳の穴】終――
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