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第5話
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「あの……何かマズかったでしょうか……?」
俺は心配になって尋ねた。
「いえ、問題ありません。むしろ素晴らしいことです!」
「え?どういうことですか?」
「佐藤さまには犯罪歴や違反歴が一切ありません」
「そ、そうですか……」
俺は元の世界では従順な会社員だったので悪事を働いた記憶はない。さらに、ペーパードライバーなので交通違反もしたことがない。異世界に来てからも特に悪いことはしていないしな……。そんなことを思っていると女性は話を続けてきた。
「それと、佐藤さまには商人としての適性があることが分かりました」
「え?商人としての適性ってどういうことですか?」
「簡単に言うと『馬車馬のように働く覚悟』があるということです」
「なんじゃそりゃ……」
確かに俺は過労死して転生してきた身だが、こちらの世界でも働き詰めになるつもりはない。
「魔王さまってすごいんだね♪」
ルーナが嬉しそうに俺の腕に抱きついてきた。
「あはは……」
(うーん、喜んでいいのか分からないけどな……)
俺は頬を掻いた。
「では、これから商人ギルドの規約について説明しますので、こちらのパンフレットをご覧ください」
女性から冊子を手渡される。そこには細かい文字がびっしりと書かれていた。
「げっ、こんなにあるんですか?」
「はい。とても大切な内容ですので必ず目を通しておいてください」
「はい、わかりました……」
「重要事項について説明します。まず、行商許可証は申請期間内のみ有効です。佐藤さまの場合は1年間です。期限が切れる前に更新手続きが必要となりますので忘れずに来てください」
「わかりました」
「次に、所得税や消費税、酒税、たばこ税に関してですが、こちらは全ての商人に課せられた義務となります。消費税は10%、所得税、酒税、タバコ税についてはパンフレットに詳しく記載されていますので確認しておいてください」
「え?また税金を取られるんですか?」
「はい。この国で商売をする以上は仕方のない事だと思って諦めて下さい」
「マジかよ……、はぁ~」
俺は深いため息をついた。
(元の世界だと給料から天引きされてたから自分で払ったことはなかったんだよな……)
「毎年2月16日から3月15日までの間に申告すれば、その年度の納税額が確定する仕組みとなっています。これから発行する商人カードに売上高が記録される仕組みになっていますので、簡単に申告することができます」
「なるほど……、わかりました」
「最後に販売品目に関する注意事項を説明します。まず、販売する品目は事前に届け出る必要があります。もし販売品目を追加する場合は新たに届け出を行ってください。また、品目毎に価格規制や品質規制が設けられていますのでパンフレットを確認しておいて下さい」
「価格規制や品質規制ですか?」
「はい。例えば……パンは100gあたり銅貨5枚以上の価格にする必要があります。それから腐った食べ物や品質基準を満たさない採取素材を販売するのは禁止されています。違反した場合は罰金が課されますので気をつけてください」
「へぇ……そうなんですね……」
「はい。他にも様々な項目が記載されていますので必ず目を通すようにしてください」
「わかりました」
面倒だが、ちゃんと読まないと後々困りそうだからしっかり読んでおこう。
「それでは、商人カードと行商許可証を作成致しますのでしばらくお待ちください」
「はい!」
女性は席を外してカウンターの奥に消えていった。すると、ルーナが突然抱きついてきた。
「やったね♪これで魔王さまも商人の仲間入りだよ♪」
「うん。でも、まだ何を売って良いのかわからないんだけどな……」
「とりあえず私が採取した薬草とかキノコを売るといいんじゃないかな?」
「なるほど……。それはありかもな……」
「えへへ、楽しみだな……♪」
「まぁ、ほどほどに頑張るよ……」
ルーナと話していると、しばらくして女性が戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが商人カードになります。紛失しないように保管しておいてください」
俺は手渡されたカードを受け取った。それは金属製のプレートで、商人ギルドの紋章が刻まれており、俺の名前や年齢、住所などが記載されていた。
「ありがとうございます」
「続いて、行商許可証をお渡しします」
女性は行商許可証と書かれた書類を取り出した。許可証には『佐藤京太』と記載されており、商人ギルドの許可印が押されていた。
「都市部で行商を行う場合はこの許可証を必ず携帯してください。提示が求められる場合があります」
「わかりました」
「以上で商人登録と行商許可の手続きは完了です。佐藤さまの活躍をお祈りしております」
「はい!ありがとうございました!」
こうして俺は商人としての一歩を歩み始めたのであった。
俺は心配になって尋ねた。
「いえ、問題ありません。むしろ素晴らしいことです!」
「え?どういうことですか?」
「佐藤さまには犯罪歴や違反歴が一切ありません」
「そ、そうですか……」
俺は元の世界では従順な会社員だったので悪事を働いた記憶はない。さらに、ペーパードライバーなので交通違反もしたことがない。異世界に来てからも特に悪いことはしていないしな……。そんなことを思っていると女性は話を続けてきた。
「それと、佐藤さまには商人としての適性があることが分かりました」
「え?商人としての適性ってどういうことですか?」
「簡単に言うと『馬車馬のように働く覚悟』があるということです」
「なんじゃそりゃ……」
確かに俺は過労死して転生してきた身だが、こちらの世界でも働き詰めになるつもりはない。
「魔王さまってすごいんだね♪」
ルーナが嬉しそうに俺の腕に抱きついてきた。
「あはは……」
(うーん、喜んでいいのか分からないけどな……)
俺は頬を掻いた。
「では、これから商人ギルドの規約について説明しますので、こちらのパンフレットをご覧ください」
女性から冊子を手渡される。そこには細かい文字がびっしりと書かれていた。
「げっ、こんなにあるんですか?」
「はい。とても大切な内容ですので必ず目を通しておいてください」
「はい、わかりました……」
「重要事項について説明します。まず、行商許可証は申請期間内のみ有効です。佐藤さまの場合は1年間です。期限が切れる前に更新手続きが必要となりますので忘れずに来てください」
「わかりました」
「次に、所得税や消費税、酒税、たばこ税に関してですが、こちらは全ての商人に課せられた義務となります。消費税は10%、所得税、酒税、タバコ税についてはパンフレットに詳しく記載されていますので確認しておいてください」
「え?また税金を取られるんですか?」
「はい。この国で商売をする以上は仕方のない事だと思って諦めて下さい」
「マジかよ……、はぁ~」
俺は深いため息をついた。
(元の世界だと給料から天引きされてたから自分で払ったことはなかったんだよな……)
「毎年2月16日から3月15日までの間に申告すれば、その年度の納税額が確定する仕組みとなっています。これから発行する商人カードに売上高が記録される仕組みになっていますので、簡単に申告することができます」
「なるほど……、わかりました」
「最後に販売品目に関する注意事項を説明します。まず、販売する品目は事前に届け出る必要があります。もし販売品目を追加する場合は新たに届け出を行ってください。また、品目毎に価格規制や品質規制が設けられていますのでパンフレットを確認しておいて下さい」
「価格規制や品質規制ですか?」
「はい。例えば……パンは100gあたり銅貨5枚以上の価格にする必要があります。それから腐った食べ物や品質基準を満たさない採取素材を販売するのは禁止されています。違反した場合は罰金が課されますので気をつけてください」
「へぇ……そうなんですね……」
「はい。他にも様々な項目が記載されていますので必ず目を通すようにしてください」
「わかりました」
面倒だが、ちゃんと読まないと後々困りそうだからしっかり読んでおこう。
「それでは、商人カードと行商許可証を作成致しますのでしばらくお待ちください」
「はい!」
女性は席を外してカウンターの奥に消えていった。すると、ルーナが突然抱きついてきた。
「やったね♪これで魔王さまも商人の仲間入りだよ♪」
「うん。でも、まだ何を売って良いのかわからないんだけどな……」
「とりあえず私が採取した薬草とかキノコを売るといいんじゃないかな?」
「なるほど……。それはありかもな……」
「えへへ、楽しみだな……♪」
「まぁ、ほどほどに頑張るよ……」
ルーナと話していると、しばらくして女性が戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが商人カードになります。紛失しないように保管しておいてください」
俺は手渡されたカードを受け取った。それは金属製のプレートで、商人ギルドの紋章が刻まれており、俺の名前や年齢、住所などが記載されていた。
「ありがとうございます」
「続いて、行商許可証をお渡しします」
女性は行商許可証と書かれた書類を取り出した。許可証には『佐藤京太』と記載されており、商人ギルドの許可印が押されていた。
「都市部で行商を行う場合はこの許可証を必ず携帯してください。提示が求められる場合があります」
「わかりました」
「以上で商人登録と行商許可の手続きは完了です。佐藤さまの活躍をお祈りしております」
「はい!ありがとうございました!」
こうして俺は商人としての一歩を歩み始めたのであった。
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