異世界マイスターの知恵は一番強いチートだった

Impulse

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俺は異世界マイスター

十の質問

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 俺はあるサイトの管理人をしている。

 そのサイトの名は、異世界マイスターの知恵。

 自称異世界マイスターを語っている俺は、仕事なし引きこもりの28歳、静堤施廻。
 年間異世界物のラノベを200冊以上読む男として、ネット界にその名を轟かせている。
 その為、ラノベ作家からアドバイスを求められる。書いているわけじゃないし、ただのニートだ。
 お金はサイトから得ている。

 たまに引きこもりの俺にはハードな依頼が来る。
 ある小説を買ってきてレビューをしてほしいという内容だ。
 いつもネットショッピングをしている俺に、外に出て限定盤を買って来てくださいとか言う依頼だ。
 今からいつもは動かさない足を動かして買いに行くところだ。
 小説の名前は、
〈全知全能の神となった俺の異世界無双〉の第6巻初回生産限定盤だ。
 俺が持っているシリーズだが、俺TUEEEEEE作品はあまり好んで買わない。

 
 外に出てみると、朝の通勤の喧噪で溢れかえっている。
 太陽に照らされて気分が悪くなったが、依頼は依頼だ。ちゃんとこなす。
 ちょっと体がなまりすぎているなと思い走ろうとするが、体がなまっているのにいきなり走れるはずがなかった。
 近くに本屋があって本当に良かった。しかも9時開店とか最高だぜ!
 

 中に入ると冷房が効いていて外から来た俺を癒してくれた。
 ラノベのコーナーに行くと、俺は思わず驚嘆してしまった。

「この店限定で50%オフとか最高じゃん。約5000円だから2500円か。」

 なぜこんなに高いかと言うと、メインヒロインのフィギュアが付いてくるからだ。
 とても可愛らしい巨乳の16歳だ。赤髪の女神とその異世界では言われていた気がする。
 俺はそれを手に取り購入した。
 
 
 外に出ると、俄に雨が降りだす。
 ちょっと体が冷えてきたので、動かない体を無理矢理走らせた。

 
 ひぃひぃひぃひぃひぃひぃひぃひ
 息が上がる。
 家の中に入り、パソコンの前に座る。
 フィギュアを机の上に置き、小説を読み始める。
 そんな時パソコンにメッセージが届く。

「なんだ? 依頼か?」

 開くとやはり依頼だった。
 詳しいことは書いて無く、単純な事だけが書いてあった。

【異世界をあなたの知恵で助けてほしい】
「珍しい依頼だな。いつもなら、具体的な事を書いてくるのに。」

 そのメッセージの下には、どこかにつながるURLが貼ってあった。
 俺はそれを、小説片手にマウスを動かし、そのURLをクリックする。
 そうすると十の質問と書かれたサイトが出てきた。

【一、あなたの本名は?(フリガナ付き)】
【二、あなたの年齢は?】
【三、あなたの学歴は?】
【四、あなたの現在の職は?】
【五、あなたの今まで頼まれてきた依頼の数は?】
【六、あなたが今まで見てきた異世界の数は?(あなたの見てきた異世界ものの作品)】
【七、あなたの知恵で助けた小説の数は?】
【八、あなたは異世界が本当にあると信じますか?】
【九、あなたが異世界に行くとしたら何をしたいですか?】
【十、あなたは異世界に行きたいと本気で思いますか?】

 それが十の質問だった。
 俺は怪しいと思ったが、とても俺自身はやりたくなってしまい、答えた。
 質問の下の空欄に質問の答えを打った。

【一、静堤施廻(シズサゲセカイ)】
【二、28歳】
【三、中卒、東京都日野市立桐嶋小学校・中学校卒業】
【四、ニート】
【五、200以上】
【六、200以上】
【七、100以上】
【八、信じたい】
【九、行ってから決める】
【十、行きたいに決まってんだろ】

 すべて答えた。
 そうすると、何かが浮き上がって来る。

「なんだこれ―――――いたずらが過ぎるぞ?」
【なら行きましょう。あなたに頼んでよかったです。】

 クリックできるようになっていた。
 俺は依頼を絶対に受けるのをモットーに生きている男だ。
 ためらわずクリックした。

 押した瞬間に目を気付つけそうなほどの閃光が起きる。
 何かに吸い込まれるように、闇の中に俺は入っていった。

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