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俺は王国の兵士長
魔薬
しおりを挟む「ニッポン? そんな国聞いたことないわよ!」
そりゃあそうだ。この世界の国じゃない。
俺は剣を握り、女の子に向かって歩く。
「そうか。別にいいさ。君が知らなくても俺は生きていける。」
俺はそうきっぱりと言った。
女の子はとてもご立腹なようで、危険な魔法を連発して撃ってくる。
姫様たちは城の中に逃げ込み、俺と女の子の2人だけになった。
「ハードメテオ! ハードメテオ! ハードメテオ! ハードメテオ! ハードメテオ!」
巨大な炎球を、大量に投げつけられる。
どんだけ魔力が有り余ってるんだよ。この威力の魔法なら普通の人間がどんなに鍛錬を積んでも、一発撃てるか分からないと思う。
躱すこともできたが、こんなに綺麗な庭園を火の海にするわけにはいかない。
光の勇者の力を侮っているこの女の子に、とてつもない力を見せつける。
一回剣をふるっただけで、すべての炎を消した。
「嘘!? キーサード様は弱いって・・・・・」
あいつは俺がメサクレガを一人で倒したことを知っていたはずだ。ならこの女の子は捨て駒か?
俺はそう思ったが、今言っても意味が無いと思った。
この子には国に仕えるものとしての瑕瑾があった。忠誠を誓った相手を間違えたことだ。
「君は相手が思った以上の力を持っていただけで、怖気づいてしまうのかい?」
少し挑発じみた言葉だったと思う。
当然ながらキレる。
「馬鹿にしないで! あんたより大変な人生だったんだから!」
「あっそ。」
何か怒りっぽい子なのか、本当に大変な人生だったのか。どんどん殺気が深まっていくのが見て取れる。
今度はもっと威力の高い魔法を放ってきた。当然のことだがキレてる。
「炎の大剣!」
とても巨大な炎の剣が俺に向かって振り下ろされる。その炎の大剣は何をしても庭園を炎に包みこむ、絶大な威力を誇る魔法だった。見ただけで分かるその気迫に、おびえるという感情を覚えた。
おびえたが、食らったら死ぬという恐怖は俺には無かった。
だって食らわないしな。
「終われぇえええええええええええええええええええええええええェ!」
寸前まで俺は避けなかった。受け止めなかった。
女の子との距離は約10メートル。剣先が俺の頭にちょうど当たる長さの魔法だ。
だが避ける気もない。
今この絶体絶命の状況を打破するには、魔法だけだ。
「雷斬」
俺は人差し指を伸ばし、大量の雷を集めた。それを斬る。炎の大剣を斬る。
雷斬。瞬時に雷を集め、放つ。そして斬る。
簡単に粉砕してしまった。
「俺の編み出した魔法の一つだ。驚嘆してくれたかい?」
「ええ。本当に感心するわ。でもね・・・・・・私も負ける訳にはいかないの!」
女の子は胸元から何かを取り出す。
注射器みたいなものだった。中にはこの世のものとは思えない色をした液体が。
「何する気だ・・・・・・」
「竜の力を得るの。分からないでしょうね・・・・・最強のあなたには・・・・・・。」
このパターンだと・・・・・力に飲み込まれて竜になってしまうか死ぬかのどっちかだろう。
最強のあなたには、か・・・・・・・。見かけだけだよ。
「分からない・・・・・でもね、力に溺れちゃぁ、そこで君は終わっちゃうよ? それでいいの?」
「うるさいうるさいうるさい! 私はキーサード様しかいないの! もう終わったのよ!」
「終わったのね・・・・・・それでもそれを打つのは危ない。」
だけど俺の忠告を聞かなかった。
血管の位置とかを理解しているのかわからない。狂ったような感じだ。
力に溺れる前に何かに溺れている感じだ。
風が吹き荒れる中、森閑とした広い庭園に女の子は立っていた。
右腕に刺した。針を刺した。
竜の力を人間が操れるわけがないから、たぶん竜と化した女の子と戦うのは俺だろう。
どんどん体が変化していく。
足から頭まで竜となると、身長は成人男性くらいになって、手には剣を持っていた。
とても人間が触れるものとは思えない力に満ちた剣だった。
刃の部分は赤く、よく見る魔剣の様なものだった。
「やっちゃったか・・・・・・」
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああぁ」
人間の者とは思えない悲鳴を上げる。竜と化してしまった。
直す方法などたぶんない。
君をその呪縛から解き放つには、君自身を殺すしかなくなってしまった。
「竜と戦うのは、俺もちょっと危険だな!」
光の勇者は竜にとても弱かった。
《この展開に一言!》
(竜は本当に強い生物だ。勝てるか分からない)
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