異世界マイスターの知恵は一番強いチートだった

Impulse

文字の大きさ
16 / 21
俺は王国の兵士長

運命

しおりを挟む
(はぁ!? このままここで倒れろって言ってんの!? それじゃあ姫様どうすんだよ!)

 今女神と会話していた。
 提案があると聞いていたのがこれだ。
 俺が今ここで倒れて、姫様をさらわせる。そして俺が後から助けに行くという提案だった。

「おい! 早くしろよ!」

《早くしてください。姫様が殺されますよ!》
(くっ・・・・分かった)

 俺はアメジストのネックレスを外そうとする。
 そしてその途中で俺はその場に倒れるふりをするはずだったのだが、その場で本当に気を失ってしまった。

「ひっひっひっ・・・・・本当に倒れやがった。なんちゃってヒーローが。」
「セカイはなんちゃってヒーローなんかじゃありません!」
「あぁああん? 殺すぞ。」

 口が悪い男に変貌したキーサードは、そのまま姫様をどこかに連れて行ってしまった。
 そこに倒れてしまっていた俺は、キーサードと姫様がどの方向に攫って行ったのか分かった。


 俺は知らない天井を目の前に、知らないベッドで寝ていた。
 右に首を回すと、そこには猫耳猫しっぽがついている小さな女の子がいた。

「あの・・・・・・」

 俺が声を掛けると、気付いたようでこちらに近づいてくる。

「あ・・・・起きましたね!? 良かったです・・・・死んじゃいましたかと思いました!」
「そう・・・・・それで?・・・・姫様は・・・・・」
「やはり何かを知っているんですね。レイのところに向かってください!」

 そう言われたので、ベッドから降りたのだが、一つ気になったことがあったので問いかけてみる。

「でも何でレイたちは俺が戦っている中来なかったんだ?」
「あ・・・・皆何故か眠っていたんですよね・・・」
「そっか・・・・」

 そう言って医務室らしき場所を出た。


 俺はここがどこか分からなかったので、歩き回っていた。
 たぶんみんなが眠っていたのは、キーサードの仕業だろう。
 俺が途方に迷っていると、目の前から誰かが曲がって来た。

「サーシャ!?」
「あ・・・・セカイ様・・・・・」

 どこか悲しげな顔をしているが、俺を例の場所まで案内してくれと頼んだ。

「セカイ様・・・・・本当に申し訳ございませんでした。」

 廊下を歩きながら、丁寧な口調で謝って来た。
 何故謝って来たのかがわからず、流すことが出来なかった。

「何がだ?」
「寝てしまってしまいましたことです。セカイ様を守ることが姫様からのご命令でしたので・・・それを守れなかったのが、謝った理由です。」

 最初は理解できなかった。
 それが謝る理由にならないからだ。
 それよりこっちが謝らなければならない、姫様を・・・・・・・・・・・・・

「俺の方が謝らなければならない・・・・・」
「何でですか?」
「姫様が・・・・姫様の事を・・・・・・」

 俺は悔やみ悔やみ悔やみ悩んだ。
 自然と拳に力が入り、キーサードを恨みつぶした。
 それに気づいたサーシャは、気を使ってなのか、気付いた様子で話しかけてきてくれた。

「大丈夫です・・・・・姫様を助けるのが最善です・・・・」
「ああそうだな。ありがとな・・・」

 そしてついた場所は、大きな扉の、玄関の真正面にある大きな扉だった。
 入るのをためらうぐらいの気迫で、俺は正直驚いた。
 部屋に入るのをここまで緊張することが、人生の中で味わうとはな。

「大広間です・・・・レイが待っています。」
「分かった。」

 俺は目の前にあるとても大きい扉を開けた。


「失礼します。」

 そう言って入ると、そこにはレイの他に兵や親衛隊の人が、少なからずいた。

「そこに座れ・・・」

 レイはとてもピリピリしていて、正直少しだが殺気立っていた。
 俺は言う通りにして、空いている席に座った。

「何でしょうか・・・・・?」
「何でしょうかじゃ無いわよ! 姫様はどこ!? 何やっていたのあんたは!」

 とても怒っていた。
 俺はここまで怒る理由は分かるが、ちょっと偉そうすぎないかと思った。

「竜と戦って、キーサードと対峙して、そして倒れてしまっただけだ。」

 そう言うとますます怒りが収まらなくなっていた。

「姫様はどこだって言ってんの! 分かる!?」
「攫われたよ・・・・・」

 とても殺気立っているレイは何がしたいのだろう。俺を殺したいのか?

「攫われた? 何やってんのよ・・・・あんたそこにいたのなら・・・・・」
「あのさぁ! お前さっきから何なの? お前ら助けにも来なかったくせに、何偉そうなこと言ってんの!?」
「く・・・・・それは・・・」
「寝てたんだろ? ぐっすりと・・・・・お前らの忠誠心はそれまでだってことだ・・・」

 俺はこれ以上言うのをやめて、レイの反論を待った。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...