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イラリンナ国3
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夜更けなのもありとても静かだった。リリーの古屋は申請許可待ちの書類や必要リストが綺麗に整頓されおかれている。「ルームンも寝てるね、ひっそりやりますか」書類に目を通して刻印を入れる。それを古屋の奥にある掲示板の形をした魔導具に貼り付けていくリリー。この魔導具は古くから使われている通信手段や告知手段で、ここに貼ると他の場所でも同じ内容が確認可能なのだ。問題は直接回路を繋げないといけないという点。「次は、住居区域の増設申請書?なるほどね、店舗兼住宅をいくつか設けれるようにするか」計画立案書に設計図を記載していく。必要資金と鋼材の記載。「んで、これ混ざってるな…まぁルームンが頑張ってくれたし私も頑張らないと」必要資材リストを今のリストに書き足しながら作業を続けていく。20枚目が終わる頃には夜も明けてワイワイと声が聞こえてきた。「あと7枚終わったら今日は終わりだー」街灯配置計画に露店の金額設定。それから独自通貨の有無。「独自通貨は冒険者カードのシステム使ってる国があったしそれを真似ようかな。金額は仕入れ値に2割か3割、いや…うーん」1をクリアすると20は綻びが出る。全てを看破するのは不可能だ。「それから、あぁこの問題ね」どんな場所でも絶対に出てくる悪人。それについての求刑を求める書類。「これ早めに整備しないと。盗みは盗んだのに対応する額の支払いと一時的な処罰は必須だよね、それから」一時処置としてルールを定めてリリーはまたイラリンナ国内に戻った。
「さてギルドに行ってマーハバクトするかー」しっかり昨日の晴れ着から冒険者服に着替えてギルドに入るリリー。中は騒然としていた。「ここに領主兼冒険者の女がいるだろ!だせ」「あ、リリーさんこちらへ」剣を振りわます暴徒に呆れているとエナヒがやってきた。広いエントランスを複数人の男達が封鎖していた。「これはどうやら私の客のようだね」「ダメですリリーさん、ギルド内で冒険者カードを持った者が武器を抜くと違反行為として記録されます。見てくださいあの上の魔石、赤くなってますよね。後数分であそこから魔法が照射されてあの人たちを殺しますから」
違法行為-
冒険者カードは常に記録がされる。外して身につけていない時や家に置いてきた時は別だが。これに例外がある、ギルドは固有結界により全ての記録がされ、冒険者カードを持ち寄った際にギルド内で行った魔法や武器の記録が自動で更新される。これは無くした再発行時にも有用である
違法行為は一度でも重罪であり最悪レギオンにまで審議が通り処刑されたケースもある。情状酌量の余地もない簡素な結果論だけで行われる最悪な裁判である。
しかし一向に収まる気配もなく、魔石は輝きを失ってしまった。「え、どうして」エナヒが別の場所で様子を見ていたギルドマスターに顔を向けるがギルドマスターもまた天井を見て唖然としている。「ならこうするまでさ」リリーがエナヒの方を見る。エナヒは止めようとするが「任せてくれ」と肩を持ち諭すリリーの目を見て頷く。死者の冒涜などいうものはいまい、これは亡き男の意思なのだから。魔力を糸状にして行ったヴィドスとの交信は自然魔力漏れと記録されていた。(ヴィドス外にいるよね、私の魔導具にネクロマンサーの杖があるからそれを入り口に置いて)数秒後に魔力糸を飛ばすと杖の感触があった。魔王の魔力を糸先に込めて杖を起動させた。(ヴィドス!扉を開けて)放たれた扉から亡き冒険者達がワラワラと押しかけてきた「これはなんですか!」事情を知らないエナヒは涙を浮かべながらリリーに縋る。死体達は他の冒険者に目もくれずに暴徒達に襲いかかる「ひぃ!なんだこいつら」「ギルド内でこんなあっ!」死体達が紐で全員を縛り上げそのまま消えていく。「リリーさん、これは」「ネクロマンスさ、決められた術式だから私の魔力じゃなくて外の魔力でも動くようにしてあるのさ」リリーはエナヒと外に出て杖を見せる。「この杖には死者を呼び出す術式と、特定時に外部の魔力を利用して術式を起動させるための術式が備わっているってこと。うちの部下に杖を持って来させたのさ」ヴィドスが一礼をする「ヴィドスさん感謝しますって!お二人方、念のためにカードの確認を」ヴィドスの記録は杖を召喚したまでで途切れている。リリーの記録も魔力漏れのみ「ほっ、よかったです!ほんとお二人には感謝しかありません」
ギルドマスターを交えた尋問が行われていた。実行犯はイラリンナ国内で最も貧困と言われる地区バーラヴ・スリン自治区にて暮らしていたもの達と思われるとのこと。「私を探していたみたいだけど、私は君たちの顔は愚か魔力すら感知したことはない。誰に雇われたんだ?」事前にギルドマスター達が引き出した情報から大体の犯人予測は付いていたが、リリーはあえて言わなかった。「しらねぇよ、オメェが恨まれるようなことしたんじゃないのか!」「ちょっと名前出して騒いだら向こうが勝手に違反するって教えてもらったんだよ」わいわいと騒ぐだけで有益な情報は出ない。「そうだ!これ聞きたいんだけどアンタらさ、天井の魔石どうして止めれたの?」急に黙り出した。「ギルドマスター、こいつら外に出していい?無理矢理でも吐かせる」ダメだと言わんばかりに首を振る。暴徒達も絶対吐かないと言わんばかりに口を固くする「なら死体ちゃん達に可愛がってもらおうか。これは文句言わせないよ、別に殺したりはしないしさ」ギルドマスターにもネクロマンスによる捕縛は事後だがしっかり伝えていた「うーむ許可はしたいが、レギオン会議で議題に出されたら説明が大変だからねぇ」リリーは諦めて暴徒達の身元表を見る。六人分きっちりと家族構成まで書かれていた「あぁ、そいつらは貧困街から来ているでな。騒動防止の為に特殊な身元証を持たされているんだ、まぁ起きたが」「これ正しいやつ?」リリーがそう聞くとギルドマスターは頷く。改竄はよっぽどじゃない限り不可能なのはリリーも知ってはいる、だが確認は必要だ。今からやることは失敗すれば取り返しのつかないことになるのだから「貧困街行ってくるよ。領主が殺されたら領地にいる何百人もの人が困り果てる、それをしようとしたんだから六家族分くらい消えても問題ないよね」これはこの地域全般である教訓のようなものだ、本人を痛め付けるのではなくその周りを狙う事で恐怖心を煽るという。弱者を狙われると人は自然に守りたくなる、そんな心理を利用したものだ「冒険者リリーいや領主リリーと言えば良いか?いくら領主であれこの国でましてやギルドであまり好き勝手にやるのは良くないですよ」ギルドマスターも流石に止めに入る。リリーもハッと我に返った。(あぶなー、勇者やめてからだんだん思考がダークネスになってきてる)「ですよねー、いやー脅したらちゃんと吐いてくれるかなって。別に部下に頼んでもうすでに攫ってるなんてないから安心してくださいー、私マーハバクト討伐行きたいんでおさらばしますー」棒読み早口で颯爽とその場を駆けていくリリー。あまりの怪しさと狂気さにビビったのか暴徒達は口を割り始めた。どのみち炭鉱行きで家族との会えるのは5、6年後だろうしと廊下を抜けながら考えていた。
「リリーさんどうでした?かなりまずい顔されていますが」受付に依頼書を持っていくとエナヒに声をかけられた。「んー、よくわからないけど私関係なさそうだったからマーハバクト行こうかなって」「そうですか。あっマーハバクトに行かれるのら冷凍薬購入していきますか?一応今回の討伐依頼に向けて在庫は貯めてあるんですが」そもそも受ける人がいない。そのせいで在庫は余るし魔力のせいで他のところには向かないせいで発注損しているという「貰ってこうかな。私も流石に魔法バンバン撃ちながら討伐するのは大変だし」マジックボックスに貰えるだけ入れて余ったら何か研究に使おうなんて甘い考えをしていたリリーだが倉庫に連れて来られて言葉を失った。「このAからDまで全部なんですよ、1割の破格なので全部いいですか!」古い製造の為、上位互換な品が多い為、色々な理由でもはや存在価値のない冷凍薬はサラマンダーをはじめとした火炎系の魔物討伐に向けて作られた薬品の先駆者だ。対象にかければたちまち凍るが魔力のせいで食肉は臭くなり、皮はボロボロと粗悪でしかない。当時は確かに凄かったが今では本当にゴミといえよう「実はうちの国への支援という名目で向こうが大量生産した粗悪品をたくさん買い取る形になって…結果として潤った部分もありますけど」「なるほどね。まぁいいよマーハバクト対策には使えるんだし」マジックボックスの容量が足りなくなりそうなほど受け取りリリーは出立した。今回の依頼料は定額に追加して冷凍薬分の料金が引かれる為、ほぼ利益が上がらないと説明は受けたがその分、SC級は固いと言われた「ギルドシステムは知ってる人ほど得をする飛び級システムがあるからねぇ。隠れ貢献度なんて言われてるけど」門を全て抜け森へ入る。まずは調査からだ、マーハバクトがなぜたくさん発生しているのかすら調査されていないのだ。「爆発するトカゲくんが餌にするとしたら爆草とかニトゥル水が湧いているとかそれくらいだよね」鑑定魔法は流石に木々が多い森で打つには向いていない、地道に探すしかなのだ「ヴィドスには一時的に戻って買い足した分の補填とかしてもらってるし」だいぶ奥の人が入らなそうな、そんなあたりまで来たところに岩場があった「これは地図によると国境付近の岩!ってだけか」大量発生という割にここまで一度も見てないぞリリーは岩を登りながら考える「大量発生したマーハバクト、それの対策薬がなぜか大量生産されてこちらに売られていた。財政的には旧薬の方が手が届くし、あの辺の国も作り易いもんねぇー」岩の上に登ると反対側の森が見えた。ニトゥル水の池に爆草まである。そこには沢山のマーハバクトがいたが至っておとなしく岩を登りこちら側に来ようとするものはいない「この線が国境ねぇ、んで魔導具での監視」ハーオヴォイ商会がメインで販売している監視用魔導具サーチアイズが異様に沢山並んでいた。定期的に目の形をした魔導具がこちら側を向くがこれは想定済み「線を超える気はないけど監視くらいはね」軽く見て周り下に戻ったリリーは岩壁を撫で始める。リリーは意図的にマーハバクトが大量発生していると想定している「魔路発見、これは監獄に使われてる魔導具の応用か。数が特定に増えたのを察知すると門が開くか」近くの木の上に飛び移りリリーは監視を始めた。岩の壁を隔てた向こう側には1日で2、3人で入りしている。定期的にマーハバクトを連れてきて何かしているようだった。「マーハバクトの大量発生は過去四回、二回目まではS級が6人体制で監視をして排除したが、三回目はなぜかこれを聞きつけたチャンダ国の討伐隊が出向いて冷凍薬を使い迅速に対応したとか」四回目では大量購入させられ試したが結局魔法の方が早いし寒い時期なのもあって向こう側の動きが鈍かったので楽だった。今回は暖かい時期で大量発生したはいいが一体に付き一瓶必要であり発生箇所が限られるから限定的に立ち入り禁止と柵を張る対策をしつつ漏れた物の対策のみ「いま現在は五回目というより六回目の予兆。餌場がなくて戻ってきた奴らがまたくる前段階と」追加で一週間ほど張り込んだあたりで次の大量発生日が判明した「ヴィドスと交代で監視してたとはいえコレ疲れるなー、まぁ今晩発生するのは理解したし早く片をつけないと」見立てに狂いはなかった。夜になると岩場が動き何十匹もマーハバクトが野に放たれた。目が赤く光るせいで夜でもどこにいるか把握が容易だ「鑑定魔法の結果は全部B級だし、弱い代わりに多くなったってところか」魔導具を装着し瓶を上の方に差し込む。リリーの魔導具には散布する能力もある。これは主にニトゥル水などを散布し爆発させる目的だが今回は冷凍薬を散布した。「うわくっさ」放ってすぐに付近の物が凍りだすが追加で悪臭が漂い始める「とりあえず凍ったうちに!魔導具-ピアットル・ア・アロー」人差し指に当たる爪から魔法陣が展開され光の矢が天へと飛んでいく。「今のうち凍らせれるだけ凍らせてとっと」気性の荒い個体はもうすでに術式の効果外にいた「とりあえず倒せるだけ倒さないと、行け振りそそげ!」天から雨のように降り注ぐ光の矢は軽々とマーハバクトを貫いていく。固い表皮を紙のように貫き地面へと消えていく、20体は仕留めただろう。だが反応はまだたくさんある。早い個体は早くも舗装された道まで来ていた「魔導具-追従弾タイプ粘着!」魔法弾を撃ちながらもう片方の手で魔法を構築していく(空間固定と爆破に備えた結界、それからあの大量に手に入れた冷凍薬の量を鑑みて……)1番早い個体の前に来て魔導具と杖を構える。「魔導具、杖デュアルアクセス-断絶された時間・失われし力・贄はコレにて・己が力を証明されたし!」マジックボックスの蓋を開けて上へ放り投げる。大量の冷凍薬が中から飛び出てくる。リリーの魔導具と杖から展開された魔法陣は冷凍薬を触媒に水色に輝く結界を構築していく「改変魔法-名前はまだない!」結界内の温度は著しい低下を見せる。効きの早い個体であればもうすでに動きがないが、一部口に炎を溜めてこちらを向く個体もいる。「おいおい、ほんと効果悪いなこの薬!」火炎弾をくらい結界の端にぶつかるリリー、賢い個体は効果の出る前に魔法で自分を燃焼させて耐えていたようだ「改造されてるな、コイツらを生きて持ち帰れないからって大層なことしやがって」魔導具が開き中から魔力が漏れ出す。冒険者カードを外して一度マジックボッスにしまうリリー「弾圧せよ・乖離せよ・世界の理は我が手の中に…円環魔法グライアス・ダッカースルー!」結界内で連鎖爆発が発生した。強制的に殺す魔法により殺されたマーハバクトが爆発したのだ「えっと、魔導具-ノーイリュージョン」リリーの立つ地面を中心に爆風が消えていく。「あっぶな、死亡起動の術式100個分とか正気の沙汰じゃない」
ノーイリュージョン-
リリーの愛読書、帝国お抱え魔導士三十人に聞いた最も嫌いな魔法は?ランキングに載るほど使いづらい魔法。術式一種類のみを圧倒的な魔力で破壊するという簡単な物だがそれしかできない上に魔力消費量が高くとても効率が悪いと言われている。術式の数を見積もって上回る魔力でその術式に対して撃つ、見分ける力・上回る魔力がいる上に追加の術式がある場合は消せない為、クールタイムも含めて本当に使えない。
魔導具も煙を上げている。「んーとりあえず大まかに排除したし残りも狩りますか」あとは単純な作業だ、残兵を狩る如く山の中を駆け巡り凍らせて斬り倒す。素材を集めてまた駆け巡る。「夜も明けぬうちに終わるとは、しっかしなぁ……回収した牙だけでも200は超えるし、次に備えてまた増やされるとなるとこの国じゃ対処不可になるぞ」前回は強く少なめに、今回は弱く大量に。次は強い個体の大量発生だろうかなんてリリーが考えていると見慣れない女がいた。冒険者にしては軽装で外出にしては、と思考をする間に体が動く「暗殺者か」一歩下がり相手を見る。リリーの顔の前には糸が通っていた。「すぐに動けば殺せたのに惜しい」「惜しいも何も私を殺そうなんざ魔王百人いても無理だぞ」赤がベースの服。コレはニトゥル水をベースとした染色で染めているからだ。ニトゥル水が豊富に取れる国はチャンダとイーヴくらいだろう。このタイミングで動くとしたら断然チャンダだ「ハーウィニー?」リリーはカマかけをする。公用語はこの世界において第一の言語であり神の言葉と言われてる、誰でも理解し発生できる言語だ。しかし戦争がなん度も起きると暗号としていろいろな言語という物が生まれた。リリーは敢えてチャンダ国内でしか通じないチャンダ語で挨拶をかけた「ふっ、その程度の発音で私を引っ掛けようなど……あ」簡単に引っかかったようだ。「おまえせこいぞ!」顔を真っ赤にして怒る様子、暗くてうまく認識できなかったが子供のようだ。「せこいっても、お姉さんは殺されかけたわけですし」「殺されるようなことをするのが悪い!」謎の逆上でナイフを石をコレでもかと投げてくる「どれかにあたって死ね!」リリーは軽い身のこなしで避ける。「まぁまぁ。感情を持った相手と殺し合うつもりはないからさ」リリーさ手を上げて何もしないよと諭す「まずは名乗れよな、お前はころされるがわなんだから」「ほんとにそうかな、まぁいいけど。私はリリー、爵位もなんも持たないただの領主様」訝しげな目でこちらを見る少女。「ふーん、それでリリーはどうしてこんなところに来たの?」くるくるとリリーの周りを回る少女、定期的に飛んでくるナイフとその先についた糸を避けながらリリーは返答を返していく。「以来だよ、領主っても最近稼働したばっかだし。そもそも村を6個?くらい集めた小さな領地だからねぇ…ない物だらけで調達に降りてたわけさ。それとコレじゃま」リリーの体を這う細い糸を全部切り落とすリリー。エアカッターを全身に張り巡らせていたのだ。「そんなぁ、それで!私に降参した?殺されてくれる?」「話聞いてた?お姉さんは領主様だよ、居なくなったら領民が困っちゃうしさ」やれやれとリリーは呆れる。「ならうちの国で引き取るよ。だからさ」「そういう問題ではないんだけどね」突き刺そうと構えられたナイフを指で挟みそのまま地面に引っ張る。「うわぁ!」倒れそうになる少女を支えて起こし、しっかりと立たせるリリー。このタイミングで少女はキメにかかった。空いた方の手からナイフを取り出しリリーの胸に突き立てた「安心して、私が領民の世話を保証するから」意図も容易く体を突き抜いた。ナイフは刺さったままにリリーの体が地面へと倒れ込んだ「任務終わり。マーハバクトが全滅なのは痛いけど」少女が去ろうとする「ふーん、やっぱり君がマーハバクトを総括していた親玉だったんだね」ナイフが刺さったまま立ち上がるリリー、血の一滴も垂れていない「な、なんでよ。もしかして稀に見る逆急所の人?でもそれだって考慮済みよ!」「言ったろ、私は死なないってね」胸元に突き刺さってるナイフを抜き先を見せるリリー、先はひらぺったく広がっていた。暗殺者の少女は段々と恐怖を覚え駆け出して逃げようとする「まぁ仕方ない。そうなるよね?でもダメだよ」まだ若い葉が引きちぎれるほどの突風が発生する「殺しの任務請け負ってるのに放棄するのは良くないよ」ニコニコと目の前で笑うリリー。狂気、狂喜。少女は発狂して尻餅をつき後退りしながら短剣を振るう。「やめて!近寄らないで!」さっきの威勢は完全に消えていた。「私が殺そうと思えばそうだね、マーハバクトを倒した後すぐに一回、糸を仕掛けてきたタイミングで二回、ナイフを刺された時に五百回は殺せたよ。【水塊よ・我が熱を持って・弾けろ】」魔術を指から放つリリー。それは少女の頬を薄く割き後ろの木に当たった。「ひっ」少女はさらに下がる、木の幹にその手が触れた瞬間、木が膨張した。まるで中から沸騰したかのように皮が捲れ上がりその水々しさを撒き散らす。「次は君だね」顔を覗き込むと気絶していた。リリーはほっと一息つき適当な麻袋に少女を入れて担ぐ。「そんなとって食おうとかないんだけどなぁ」門を抜けて一度宿に戻った。「リリー様、緊急案件です」戻ってすぐにヴィドスが深刻な顔をして一枚の紙を渡してきた。王家の冠印が押された特殊な令状だった。
「さてギルドに行ってマーハバクトするかー」しっかり昨日の晴れ着から冒険者服に着替えてギルドに入るリリー。中は騒然としていた。「ここに領主兼冒険者の女がいるだろ!だせ」「あ、リリーさんこちらへ」剣を振りわます暴徒に呆れているとエナヒがやってきた。広いエントランスを複数人の男達が封鎖していた。「これはどうやら私の客のようだね」「ダメですリリーさん、ギルド内で冒険者カードを持った者が武器を抜くと違反行為として記録されます。見てくださいあの上の魔石、赤くなってますよね。後数分であそこから魔法が照射されてあの人たちを殺しますから」
違法行為-
冒険者カードは常に記録がされる。外して身につけていない時や家に置いてきた時は別だが。これに例外がある、ギルドは固有結界により全ての記録がされ、冒険者カードを持ち寄った際にギルド内で行った魔法や武器の記録が自動で更新される。これは無くした再発行時にも有用である
違法行為は一度でも重罪であり最悪レギオンにまで審議が通り処刑されたケースもある。情状酌量の余地もない簡素な結果論だけで行われる最悪な裁判である。
しかし一向に収まる気配もなく、魔石は輝きを失ってしまった。「え、どうして」エナヒが別の場所で様子を見ていたギルドマスターに顔を向けるがギルドマスターもまた天井を見て唖然としている。「ならこうするまでさ」リリーがエナヒの方を見る。エナヒは止めようとするが「任せてくれ」と肩を持ち諭すリリーの目を見て頷く。死者の冒涜などいうものはいまい、これは亡き男の意思なのだから。魔力を糸状にして行ったヴィドスとの交信は自然魔力漏れと記録されていた。(ヴィドス外にいるよね、私の魔導具にネクロマンサーの杖があるからそれを入り口に置いて)数秒後に魔力糸を飛ばすと杖の感触があった。魔王の魔力を糸先に込めて杖を起動させた。(ヴィドス!扉を開けて)放たれた扉から亡き冒険者達がワラワラと押しかけてきた「これはなんですか!」事情を知らないエナヒは涙を浮かべながらリリーに縋る。死体達は他の冒険者に目もくれずに暴徒達に襲いかかる「ひぃ!なんだこいつら」「ギルド内でこんなあっ!」死体達が紐で全員を縛り上げそのまま消えていく。「リリーさん、これは」「ネクロマンスさ、決められた術式だから私の魔力じゃなくて外の魔力でも動くようにしてあるのさ」リリーはエナヒと外に出て杖を見せる。「この杖には死者を呼び出す術式と、特定時に外部の魔力を利用して術式を起動させるための術式が備わっているってこと。うちの部下に杖を持って来させたのさ」ヴィドスが一礼をする「ヴィドスさん感謝しますって!お二人方、念のためにカードの確認を」ヴィドスの記録は杖を召喚したまでで途切れている。リリーの記録も魔力漏れのみ「ほっ、よかったです!ほんとお二人には感謝しかありません」
ギルドマスターを交えた尋問が行われていた。実行犯はイラリンナ国内で最も貧困と言われる地区バーラヴ・スリン自治区にて暮らしていたもの達と思われるとのこと。「私を探していたみたいだけど、私は君たちの顔は愚か魔力すら感知したことはない。誰に雇われたんだ?」事前にギルドマスター達が引き出した情報から大体の犯人予測は付いていたが、リリーはあえて言わなかった。「しらねぇよ、オメェが恨まれるようなことしたんじゃないのか!」「ちょっと名前出して騒いだら向こうが勝手に違反するって教えてもらったんだよ」わいわいと騒ぐだけで有益な情報は出ない。「そうだ!これ聞きたいんだけどアンタらさ、天井の魔石どうして止めれたの?」急に黙り出した。「ギルドマスター、こいつら外に出していい?無理矢理でも吐かせる」ダメだと言わんばかりに首を振る。暴徒達も絶対吐かないと言わんばかりに口を固くする「なら死体ちゃん達に可愛がってもらおうか。これは文句言わせないよ、別に殺したりはしないしさ」ギルドマスターにもネクロマンスによる捕縛は事後だがしっかり伝えていた「うーむ許可はしたいが、レギオン会議で議題に出されたら説明が大変だからねぇ」リリーは諦めて暴徒達の身元表を見る。六人分きっちりと家族構成まで書かれていた「あぁ、そいつらは貧困街から来ているでな。騒動防止の為に特殊な身元証を持たされているんだ、まぁ起きたが」「これ正しいやつ?」リリーがそう聞くとギルドマスターは頷く。改竄はよっぽどじゃない限り不可能なのはリリーも知ってはいる、だが確認は必要だ。今からやることは失敗すれば取り返しのつかないことになるのだから「貧困街行ってくるよ。領主が殺されたら領地にいる何百人もの人が困り果てる、それをしようとしたんだから六家族分くらい消えても問題ないよね」これはこの地域全般である教訓のようなものだ、本人を痛め付けるのではなくその周りを狙う事で恐怖心を煽るという。弱者を狙われると人は自然に守りたくなる、そんな心理を利用したものだ「冒険者リリーいや領主リリーと言えば良いか?いくら領主であれこの国でましてやギルドであまり好き勝手にやるのは良くないですよ」ギルドマスターも流石に止めに入る。リリーもハッと我に返った。(あぶなー、勇者やめてからだんだん思考がダークネスになってきてる)「ですよねー、いやー脅したらちゃんと吐いてくれるかなって。別に部下に頼んでもうすでに攫ってるなんてないから安心してくださいー、私マーハバクト討伐行きたいんでおさらばしますー」棒読み早口で颯爽とその場を駆けていくリリー。あまりの怪しさと狂気さにビビったのか暴徒達は口を割り始めた。どのみち炭鉱行きで家族との会えるのは5、6年後だろうしと廊下を抜けながら考えていた。
「リリーさんどうでした?かなりまずい顔されていますが」受付に依頼書を持っていくとエナヒに声をかけられた。「んー、よくわからないけど私関係なさそうだったからマーハバクト行こうかなって」「そうですか。あっマーハバクトに行かれるのら冷凍薬購入していきますか?一応今回の討伐依頼に向けて在庫は貯めてあるんですが」そもそも受ける人がいない。そのせいで在庫は余るし魔力のせいで他のところには向かないせいで発注損しているという「貰ってこうかな。私も流石に魔法バンバン撃ちながら討伐するのは大変だし」マジックボックスに貰えるだけ入れて余ったら何か研究に使おうなんて甘い考えをしていたリリーだが倉庫に連れて来られて言葉を失った。「このAからDまで全部なんですよ、1割の破格なので全部いいですか!」古い製造の為、上位互換な品が多い為、色々な理由でもはや存在価値のない冷凍薬はサラマンダーをはじめとした火炎系の魔物討伐に向けて作られた薬品の先駆者だ。対象にかければたちまち凍るが魔力のせいで食肉は臭くなり、皮はボロボロと粗悪でしかない。当時は確かに凄かったが今では本当にゴミといえよう「実はうちの国への支援という名目で向こうが大量生産した粗悪品をたくさん買い取る形になって…結果として潤った部分もありますけど」「なるほどね。まぁいいよマーハバクト対策には使えるんだし」マジックボックスの容量が足りなくなりそうなほど受け取りリリーは出立した。今回の依頼料は定額に追加して冷凍薬分の料金が引かれる為、ほぼ利益が上がらないと説明は受けたがその分、SC級は固いと言われた「ギルドシステムは知ってる人ほど得をする飛び級システムがあるからねぇ。隠れ貢献度なんて言われてるけど」門を全て抜け森へ入る。まずは調査からだ、マーハバクトがなぜたくさん発生しているのかすら調査されていないのだ。「爆発するトカゲくんが餌にするとしたら爆草とかニトゥル水が湧いているとかそれくらいだよね」鑑定魔法は流石に木々が多い森で打つには向いていない、地道に探すしかなのだ「ヴィドスには一時的に戻って買い足した分の補填とかしてもらってるし」だいぶ奥の人が入らなそうな、そんなあたりまで来たところに岩場があった「これは地図によると国境付近の岩!ってだけか」大量発生という割にここまで一度も見てないぞリリーは岩を登りながら考える「大量発生したマーハバクト、それの対策薬がなぜか大量生産されてこちらに売られていた。財政的には旧薬の方が手が届くし、あの辺の国も作り易いもんねぇー」岩の上に登ると反対側の森が見えた。ニトゥル水の池に爆草まである。そこには沢山のマーハバクトがいたが至っておとなしく岩を登りこちら側に来ようとするものはいない「この線が国境ねぇ、んで魔導具での監視」ハーオヴォイ商会がメインで販売している監視用魔導具サーチアイズが異様に沢山並んでいた。定期的に目の形をした魔導具がこちら側を向くがこれは想定済み「線を超える気はないけど監視くらいはね」軽く見て周り下に戻ったリリーは岩壁を撫で始める。リリーは意図的にマーハバクトが大量発生していると想定している「魔路発見、これは監獄に使われてる魔導具の応用か。数が特定に増えたのを察知すると門が開くか」近くの木の上に飛び移りリリーは監視を始めた。岩の壁を隔てた向こう側には1日で2、3人で入りしている。定期的にマーハバクトを連れてきて何かしているようだった。「マーハバクトの大量発生は過去四回、二回目まではS級が6人体制で監視をして排除したが、三回目はなぜかこれを聞きつけたチャンダ国の討伐隊が出向いて冷凍薬を使い迅速に対応したとか」四回目では大量購入させられ試したが結局魔法の方が早いし寒い時期なのもあって向こう側の動きが鈍かったので楽だった。今回は暖かい時期で大量発生したはいいが一体に付き一瓶必要であり発生箇所が限られるから限定的に立ち入り禁止と柵を張る対策をしつつ漏れた物の対策のみ「いま現在は五回目というより六回目の予兆。餌場がなくて戻ってきた奴らがまたくる前段階と」追加で一週間ほど張り込んだあたりで次の大量発生日が判明した「ヴィドスと交代で監視してたとはいえコレ疲れるなー、まぁ今晩発生するのは理解したし早く片をつけないと」見立てに狂いはなかった。夜になると岩場が動き何十匹もマーハバクトが野に放たれた。目が赤く光るせいで夜でもどこにいるか把握が容易だ「鑑定魔法の結果は全部B級だし、弱い代わりに多くなったってところか」魔導具を装着し瓶を上の方に差し込む。リリーの魔導具には散布する能力もある。これは主にニトゥル水などを散布し爆発させる目的だが今回は冷凍薬を散布した。「うわくっさ」放ってすぐに付近の物が凍りだすが追加で悪臭が漂い始める「とりあえず凍ったうちに!魔導具-ピアットル・ア・アロー」人差し指に当たる爪から魔法陣が展開され光の矢が天へと飛んでいく。「今のうち凍らせれるだけ凍らせてとっと」気性の荒い個体はもうすでに術式の効果外にいた「とりあえず倒せるだけ倒さないと、行け振りそそげ!」天から雨のように降り注ぐ光の矢は軽々とマーハバクトを貫いていく。固い表皮を紙のように貫き地面へと消えていく、20体は仕留めただろう。だが反応はまだたくさんある。早い個体は早くも舗装された道まで来ていた「魔導具-追従弾タイプ粘着!」魔法弾を撃ちながらもう片方の手で魔法を構築していく(空間固定と爆破に備えた結界、それからあの大量に手に入れた冷凍薬の量を鑑みて……)1番早い個体の前に来て魔導具と杖を構える。「魔導具、杖デュアルアクセス-断絶された時間・失われし力・贄はコレにて・己が力を証明されたし!」マジックボックスの蓋を開けて上へ放り投げる。大量の冷凍薬が中から飛び出てくる。リリーの魔導具と杖から展開された魔法陣は冷凍薬を触媒に水色に輝く結界を構築していく「改変魔法-名前はまだない!」結界内の温度は著しい低下を見せる。効きの早い個体であればもうすでに動きがないが、一部口に炎を溜めてこちらを向く個体もいる。「おいおい、ほんと効果悪いなこの薬!」火炎弾をくらい結界の端にぶつかるリリー、賢い個体は効果の出る前に魔法で自分を燃焼させて耐えていたようだ「改造されてるな、コイツらを生きて持ち帰れないからって大層なことしやがって」魔導具が開き中から魔力が漏れ出す。冒険者カードを外して一度マジックボッスにしまうリリー「弾圧せよ・乖離せよ・世界の理は我が手の中に…円環魔法グライアス・ダッカースルー!」結界内で連鎖爆発が発生した。強制的に殺す魔法により殺されたマーハバクトが爆発したのだ「えっと、魔導具-ノーイリュージョン」リリーの立つ地面を中心に爆風が消えていく。「あっぶな、死亡起動の術式100個分とか正気の沙汰じゃない」
ノーイリュージョン-
リリーの愛読書、帝国お抱え魔導士三十人に聞いた最も嫌いな魔法は?ランキングに載るほど使いづらい魔法。術式一種類のみを圧倒的な魔力で破壊するという簡単な物だがそれしかできない上に魔力消費量が高くとても効率が悪いと言われている。術式の数を見積もって上回る魔力でその術式に対して撃つ、見分ける力・上回る魔力がいる上に追加の術式がある場合は消せない為、クールタイムも含めて本当に使えない。
魔導具も煙を上げている。「んーとりあえず大まかに排除したし残りも狩りますか」あとは単純な作業だ、残兵を狩る如く山の中を駆け巡り凍らせて斬り倒す。素材を集めてまた駆け巡る。「夜も明けぬうちに終わるとは、しっかしなぁ……回収した牙だけでも200は超えるし、次に備えてまた増やされるとなるとこの国じゃ対処不可になるぞ」前回は強く少なめに、今回は弱く大量に。次は強い個体の大量発生だろうかなんてリリーが考えていると見慣れない女がいた。冒険者にしては軽装で外出にしては、と思考をする間に体が動く「暗殺者か」一歩下がり相手を見る。リリーの顔の前には糸が通っていた。「すぐに動けば殺せたのに惜しい」「惜しいも何も私を殺そうなんざ魔王百人いても無理だぞ」赤がベースの服。コレはニトゥル水をベースとした染色で染めているからだ。ニトゥル水が豊富に取れる国はチャンダとイーヴくらいだろう。このタイミングで動くとしたら断然チャンダだ「ハーウィニー?」リリーはカマかけをする。公用語はこの世界において第一の言語であり神の言葉と言われてる、誰でも理解し発生できる言語だ。しかし戦争がなん度も起きると暗号としていろいろな言語という物が生まれた。リリーは敢えてチャンダ国内でしか通じないチャンダ語で挨拶をかけた「ふっ、その程度の発音で私を引っ掛けようなど……あ」簡単に引っかかったようだ。「おまえせこいぞ!」顔を真っ赤にして怒る様子、暗くてうまく認識できなかったが子供のようだ。「せこいっても、お姉さんは殺されかけたわけですし」「殺されるようなことをするのが悪い!」謎の逆上でナイフを石をコレでもかと投げてくる「どれかにあたって死ね!」リリーは軽い身のこなしで避ける。「まぁまぁ。感情を持った相手と殺し合うつもりはないからさ」リリーさ手を上げて何もしないよと諭す「まずは名乗れよな、お前はころされるがわなんだから」「ほんとにそうかな、まぁいいけど。私はリリー、爵位もなんも持たないただの領主様」訝しげな目でこちらを見る少女。「ふーん、それでリリーはどうしてこんなところに来たの?」くるくるとリリーの周りを回る少女、定期的に飛んでくるナイフとその先についた糸を避けながらリリーは返答を返していく。「以来だよ、領主っても最近稼働したばっかだし。そもそも村を6個?くらい集めた小さな領地だからねぇ…ない物だらけで調達に降りてたわけさ。それとコレじゃま」リリーの体を這う細い糸を全部切り落とすリリー。エアカッターを全身に張り巡らせていたのだ。「そんなぁ、それで!私に降参した?殺されてくれる?」「話聞いてた?お姉さんは領主様だよ、居なくなったら領民が困っちゃうしさ」やれやれとリリーは呆れる。「ならうちの国で引き取るよ。だからさ」「そういう問題ではないんだけどね」突き刺そうと構えられたナイフを指で挟みそのまま地面に引っ張る。「うわぁ!」倒れそうになる少女を支えて起こし、しっかりと立たせるリリー。このタイミングで少女はキメにかかった。空いた方の手からナイフを取り出しリリーの胸に突き立てた「安心して、私が領民の世話を保証するから」意図も容易く体を突き抜いた。ナイフは刺さったままにリリーの体が地面へと倒れ込んだ「任務終わり。マーハバクトが全滅なのは痛いけど」少女が去ろうとする「ふーん、やっぱり君がマーハバクトを総括していた親玉だったんだね」ナイフが刺さったまま立ち上がるリリー、血の一滴も垂れていない「な、なんでよ。もしかして稀に見る逆急所の人?でもそれだって考慮済みよ!」「言ったろ、私は死なないってね」胸元に突き刺さってるナイフを抜き先を見せるリリー、先はひらぺったく広がっていた。暗殺者の少女は段々と恐怖を覚え駆け出して逃げようとする「まぁ仕方ない。そうなるよね?でもダメだよ」まだ若い葉が引きちぎれるほどの突風が発生する「殺しの任務請け負ってるのに放棄するのは良くないよ」ニコニコと目の前で笑うリリー。狂気、狂喜。少女は発狂して尻餅をつき後退りしながら短剣を振るう。「やめて!近寄らないで!」さっきの威勢は完全に消えていた。「私が殺そうと思えばそうだね、マーハバクトを倒した後すぐに一回、糸を仕掛けてきたタイミングで二回、ナイフを刺された時に五百回は殺せたよ。【水塊よ・我が熱を持って・弾けろ】」魔術を指から放つリリー。それは少女の頬を薄く割き後ろの木に当たった。「ひっ」少女はさらに下がる、木の幹にその手が触れた瞬間、木が膨張した。まるで中から沸騰したかのように皮が捲れ上がりその水々しさを撒き散らす。「次は君だね」顔を覗き込むと気絶していた。リリーはほっと一息つき適当な麻袋に少女を入れて担ぐ。「そんなとって食おうとかないんだけどなぁ」門を抜けて一度宿に戻った。「リリー様、緊急案件です」戻ってすぐにヴィドスが深刻な顔をして一枚の紙を渡してきた。王家の冠印が押された特殊な令状だった。
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