2 / 4
本編
前編 神の提案 そして旅行
しおりを挟む
陰鬱な学校生活。今日もいつも通りの道を通って行く。こんな毎日が続くのか。明日もきっと1人きりでこの道を通る。そう思っていた。
だが、今日は違った。
冬のこの頃はとても寒いため、屋上には誰もいない。そのため昼ごはんを1人で食べるには絶好の場所だ。
いつも通り弁当箱を開けようとした、その時だった。
大きな音と共に雷が落ちた。今日はとても晴れていたため、まさに青天の霹靂だった。流石に驚いたようで、多くの生徒が窓から顔を出しているのが見えた。
ふとその方を見ると彼女がこっちを見ているのが見えた。彼女は俺に関わらない方が良い。
空を再び見ると目を見張る光景があった。雷の光が徐々に形を変化させ、人形のような姿となった。それはまるで神話に登場する天空神ゼウスのようだった。彼は徐に口を開き、話し始めた。
「今を生きる生物たちよ。今日より未来、このままの姿でいるのならばこの星の行先は暗いだろう。よき提案をしよう。」
そういうと彼は屋上にいる俺を指差して言った。
「この男、『浅黄優太』の命を差し出せ。そうすれば完全に平等とは言えぬでも、全ての者が植えることのないようにしてやる。」
え?どういうこと?
そんな気持ちで頭が真っ白になる。
「期間は一年とする。それまでにできなければこの星はそれまでだ。滅亡に向かうだろう。正しい選択をすることを期待する。」
そう言い放つと、耳が痛くなるような轟音と共に一瞬でその姿は消えた。
この現象は世界各地で起きていた。先程の神が顕現したような現象は、その地域に根ざす言語で全く同じ内容が同時に伝えられたそうだ。
そして全ての場所において俺の名前が呼ばれたと言う。世界中の科学者はこの現象について必死に研究したが、原理は解明されずに世界的にこの話は本当、と言う結論に至った。
「こんなに馬鹿げた話があるものか!?」
そう憤るしかできなかった。勿論この話が嘘だと主張する者も多くいたのだが、あまりにも非現実的なリアルだったがために嘘という意見は徐々に下火になっていった。
世界の政府は特に何も言わなかった。しかし内心では肯定派なのだろう。もし、この話が本当だったら世界規模の問題が解決するからな。
本当じゃないとしても1.2億の人口を持つ日本でたった1人が死ぬことなんて、気にするようなことですらないのだろう。
後日いつも通り学校に行っても、その様子は変わり果てていた。クラスメイトからは好奇の視線で見られ、先生達も憐れみを含んだ顔だったが、特に俺に干渉することはなかった。ああ、結局そんなもんなんだな。希望なんてない。そう強く実感し、絶望した。
誰も助けてくれない。俺は1人ぼっちだ。
学校には行かなくなった。所謂不登校というものだ。
あの日からスマホの連絡ツールは開けていない。とにかく怖かった。死ぬことを常に要求されているように思えてきて。
とにかく辛かった。かつての友人に死ね、なんで死なないの?、そんなことを言われたら俺は俺でいられる自信がない。
そこから一週間経った。相変わらず気持ちは落ち込んでいたが、そんな生活に変化が生じた。
日本のお偉いさんが来たのだ。特に知っている顔でもなかったが、誰だろう?
「もしこの世に未練があるのならば、いくらでも使って良い。世界のどこにでも行け。その代わり、分かるだろう?」
そういうと彼は数え切れないほどの金が入ったキャッシュケースを渡してきた。
かなりぶっきらぼうな物言いだったがそりゃそうか。彼視点から俺は、ただ死を求められるだけの存在だ。ぶっちゃけ早く死ね、というのが本当の気持ちなのだろう。
彼ら政府には俺を生きながらえる選択肢などない。いかに世間体に取り繕うか、それしか見ていない。もしかすると彼らにとって俺は都合の良いモノで人としてすらみられてないのかもしれない。
そう思うと、なんだろうな。
死にたくないっていうよりかは、哀しい。
「必要とされてない、のかな」
ぼそっと呟いた、そんな言葉が引き金になって涙が溢れた。
政府の人が帰ると母親が恐る恐る俺に話しかけてきた。
「きっと、人生で最高の体験となるから、行ってきなさい。」
母から紡ぎ出された言葉はか細いものだった。だけど、今の俺にはとても力強い言葉だ。ありがとう。ちょっと元気でた。
勿論今の堕落した生活を続ける方が楽ではある。だけど今の生活にも疑問を思っていた頃だ。丁度良い。行こう。
政府が気を利かせてくれたようで家族全員の代金を出してくれた。完全なる鬼というわけではないようだ。
飛行機に搭乗し、離れてゆく日本を見ながら感傷に浸っていたら寝てしまったようだ。良い旅になると良いな。
アメリカのボストン、イギリスのビックベン、イタリアのパリの斜塔。カナダでオーロラを見ることもあった。
旅行中は久しぶりに笑えた気がする。本当に、ただ単純に楽しかった。しかし、この幸せが一時のものと考えると少し胸が苦しい。だから常に次の日に起きるであろう楽しいことに気持ちを向けて、嫌なことは考えないようにした。明日は何が起こるかな。
旅も終盤となりつつある頃、アフリカのある発展途上国を訪れた。そこには多くの飢えたこどもが道端に座っていた。それは到底日本で生活する中では想像できない光景だった。
他の国でもあったが俺は世界的に顔が知られている為、外国人に囲まれることが多くあった。
その国の宿に泊まっていたある日、夜風に当たりたくなって外に出た。
何故かこども達が寄ってきた。なんだろう?遊んでほしいのかな、そう思ってにこりと微笑んだらその中の1人の子が辿々しい日本語で話しかけてきた。
「オニイチャン、ナンデ、シナナイノ?」
背中に悪寒が走った。
そうだ。俺はこの子達に全く歓迎されていない。この子達にとっては生きているよりも死んだ方が嬉しいんだ。
考えたくなかった。考えないようにしていたことが戻ってきた。
「ネエ、オニイチャン・・・」
その子は続ける。
「オナカスイタヨ。」
俺は恐ろしくなって持っているお金の中の30万円分程彼らに渡して、逃げるように去った。
急激に外の寒さを感じた。今までなかった『恐怖』が襲ってきた。
その日は久々に声を出して泣いた。そんな泣きじゃくる俺を見て両親は優しい声で「どうしたの?」と言いながら軽く手招きをした。俺はこの言葉にならない感情を、苦しみを無くそうと泣いて、泣いて、とにかく泣いた。流れた涙のようにこの感情も流れ去って仕舞えば良いのに。
「なんでっ。なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだっ!」
ああ、俺はどうすれば良いんだ。
その日は両親と共に寝ることにした。
1人でいると壊れてしまうような気がした。十年振りくらいだったが優しい感情の中で寝る時は昔を思い出す。その時に戻れたらどんなに良いだろう。
そして抉られた心の傷が簡単に治るわけがなく、次の日帰国した。
だが、今日は違った。
冬のこの頃はとても寒いため、屋上には誰もいない。そのため昼ごはんを1人で食べるには絶好の場所だ。
いつも通り弁当箱を開けようとした、その時だった。
大きな音と共に雷が落ちた。今日はとても晴れていたため、まさに青天の霹靂だった。流石に驚いたようで、多くの生徒が窓から顔を出しているのが見えた。
ふとその方を見ると彼女がこっちを見ているのが見えた。彼女は俺に関わらない方が良い。
空を再び見ると目を見張る光景があった。雷の光が徐々に形を変化させ、人形のような姿となった。それはまるで神話に登場する天空神ゼウスのようだった。彼は徐に口を開き、話し始めた。
「今を生きる生物たちよ。今日より未来、このままの姿でいるのならばこの星の行先は暗いだろう。よき提案をしよう。」
そういうと彼は屋上にいる俺を指差して言った。
「この男、『浅黄優太』の命を差し出せ。そうすれば完全に平等とは言えぬでも、全ての者が植えることのないようにしてやる。」
え?どういうこと?
そんな気持ちで頭が真っ白になる。
「期間は一年とする。それまでにできなければこの星はそれまでだ。滅亡に向かうだろう。正しい選択をすることを期待する。」
そう言い放つと、耳が痛くなるような轟音と共に一瞬でその姿は消えた。
この現象は世界各地で起きていた。先程の神が顕現したような現象は、その地域に根ざす言語で全く同じ内容が同時に伝えられたそうだ。
そして全ての場所において俺の名前が呼ばれたと言う。世界中の科学者はこの現象について必死に研究したが、原理は解明されずに世界的にこの話は本当、と言う結論に至った。
「こんなに馬鹿げた話があるものか!?」
そう憤るしかできなかった。勿論この話が嘘だと主張する者も多くいたのだが、あまりにも非現実的なリアルだったがために嘘という意見は徐々に下火になっていった。
世界の政府は特に何も言わなかった。しかし内心では肯定派なのだろう。もし、この話が本当だったら世界規模の問題が解決するからな。
本当じゃないとしても1.2億の人口を持つ日本でたった1人が死ぬことなんて、気にするようなことですらないのだろう。
後日いつも通り学校に行っても、その様子は変わり果てていた。クラスメイトからは好奇の視線で見られ、先生達も憐れみを含んだ顔だったが、特に俺に干渉することはなかった。ああ、結局そんなもんなんだな。希望なんてない。そう強く実感し、絶望した。
誰も助けてくれない。俺は1人ぼっちだ。
学校には行かなくなった。所謂不登校というものだ。
あの日からスマホの連絡ツールは開けていない。とにかく怖かった。死ぬことを常に要求されているように思えてきて。
とにかく辛かった。かつての友人に死ね、なんで死なないの?、そんなことを言われたら俺は俺でいられる自信がない。
そこから一週間経った。相変わらず気持ちは落ち込んでいたが、そんな生活に変化が生じた。
日本のお偉いさんが来たのだ。特に知っている顔でもなかったが、誰だろう?
「もしこの世に未練があるのならば、いくらでも使って良い。世界のどこにでも行け。その代わり、分かるだろう?」
そういうと彼は数え切れないほどの金が入ったキャッシュケースを渡してきた。
かなりぶっきらぼうな物言いだったがそりゃそうか。彼視点から俺は、ただ死を求められるだけの存在だ。ぶっちゃけ早く死ね、というのが本当の気持ちなのだろう。
彼ら政府には俺を生きながらえる選択肢などない。いかに世間体に取り繕うか、それしか見ていない。もしかすると彼らにとって俺は都合の良いモノで人としてすらみられてないのかもしれない。
そう思うと、なんだろうな。
死にたくないっていうよりかは、哀しい。
「必要とされてない、のかな」
ぼそっと呟いた、そんな言葉が引き金になって涙が溢れた。
政府の人が帰ると母親が恐る恐る俺に話しかけてきた。
「きっと、人生で最高の体験となるから、行ってきなさい。」
母から紡ぎ出された言葉はか細いものだった。だけど、今の俺にはとても力強い言葉だ。ありがとう。ちょっと元気でた。
勿論今の堕落した生活を続ける方が楽ではある。だけど今の生活にも疑問を思っていた頃だ。丁度良い。行こう。
政府が気を利かせてくれたようで家族全員の代金を出してくれた。完全なる鬼というわけではないようだ。
飛行機に搭乗し、離れてゆく日本を見ながら感傷に浸っていたら寝てしまったようだ。良い旅になると良いな。
アメリカのボストン、イギリスのビックベン、イタリアのパリの斜塔。カナダでオーロラを見ることもあった。
旅行中は久しぶりに笑えた気がする。本当に、ただ単純に楽しかった。しかし、この幸せが一時のものと考えると少し胸が苦しい。だから常に次の日に起きるであろう楽しいことに気持ちを向けて、嫌なことは考えないようにした。明日は何が起こるかな。
旅も終盤となりつつある頃、アフリカのある発展途上国を訪れた。そこには多くの飢えたこどもが道端に座っていた。それは到底日本で生活する中では想像できない光景だった。
他の国でもあったが俺は世界的に顔が知られている為、外国人に囲まれることが多くあった。
その国の宿に泊まっていたある日、夜風に当たりたくなって外に出た。
何故かこども達が寄ってきた。なんだろう?遊んでほしいのかな、そう思ってにこりと微笑んだらその中の1人の子が辿々しい日本語で話しかけてきた。
「オニイチャン、ナンデ、シナナイノ?」
背中に悪寒が走った。
そうだ。俺はこの子達に全く歓迎されていない。この子達にとっては生きているよりも死んだ方が嬉しいんだ。
考えたくなかった。考えないようにしていたことが戻ってきた。
「ネエ、オニイチャン・・・」
その子は続ける。
「オナカスイタヨ。」
俺は恐ろしくなって持っているお金の中の30万円分程彼らに渡して、逃げるように去った。
急激に外の寒さを感じた。今までなかった『恐怖』が襲ってきた。
その日は久々に声を出して泣いた。そんな泣きじゃくる俺を見て両親は優しい声で「どうしたの?」と言いながら軽く手招きをした。俺はこの言葉にならない感情を、苦しみを無くそうと泣いて、泣いて、とにかく泣いた。流れた涙のようにこの感情も流れ去って仕舞えば良いのに。
「なんでっ。なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだっ!」
ああ、俺はどうすれば良いんだ。
その日は両親と共に寝ることにした。
1人でいると壊れてしまうような気がした。十年振りくらいだったが優しい感情の中で寝る時は昔を思い出す。その時に戻れたらどんなに良いだろう。
そして抉られた心の傷が簡単に治るわけがなく、次の日帰国した。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
雪嶺後宮と、狼王の花嫁
由香
キャラ文芸
後宮に降る雪は、呪いではなく嘆きだった。
巫女として献上された少女セツナは、
封じられた狼王の“花嫁”としての前世を思い出す。
人と妖、政と信仰の狭間で、
彼女が選ぶのは従属ではなく均衡。
雪嶺を舞台に描く、異種婚姻×後宮伝承譚。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【最新版】 日月神示
蔵屋
歴史・時代
最近日月神示の予言本に不安を抱いている方もあると思うがまったく心配いらない。
何故なら日月神示では「取り越し苦労や過ぎ越し苦労はするな!」
「今に生きよ!」
「善一筋で生きよ!」
「身魂磨きをせよ!」
「人間の正しい生き方」
「人間の正しい食生活」
「人間の正しい夫婦のあり方」
「身も心も神さまからお借りしているのじゃから夜になって寝る前に神さまに一旦お返しするのじゃ。そうしたら身と心をどのようにしたらよいか、分かるじゃろ!」
たったのこれだけを守れば良いということだ。
根拠のない書籍や情報源等に惑わされてはダメだ。
日月神示も出口王仁三郎もそのようなことは一切言っていない。
これらの書籍や情報源は「日月神示」が警告する「臣民を惑わすものが出てくるから気をつけよ!」
という言葉に注目して欲しい。
今回、私は読者の皆さんに間違った解釈をされている日月神示を分かりやすく解説していくことにしました。
どうか、最後までお読み下さい。
日月神示の予言については、私が執筆中の「神典日月神示の真実」をお読み下さい。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる