邪剣を片手に、呪いを身体に

ソラ

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第十話 帰宅

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ふと目が覚めるとそこは暖かいベッドの上だった。

「痛っ!?」

「あれ~?起きたの?まだ寝てなよ~。傷はまだ治りきってないよ?」

朗らかな声でサンリが言う。ここはサンリの家のようだが、、

「俺たちはどうしてここにいるんだ・・・?」

そう問うときょとん、とした様子で言った。

「覚えてないの?二人がなかなか帰ってこないから、二人が行ってそうな場所に行ったらそこでたくさんの人が倒れていたの。やっぱり、と思って探したら案の定ドウキとリュータが倒れていて、連れて帰ってきたの。近くにもう一人強そうな人が居たから連れて帰ったけど、新しいお仲間さん?」



強そうなやつで俺たちのそばで倒れている・・・?一体誰だ?

そう思って横を見ると・・・。


そこにはカイルがいた。
そう。さっきまで俺たちを苦しめたあのカイルだ。思わずベットから飛び起きる。

「サンリ!こいつは俺たちを殺そうとしてきた悪党だぞ!?下手したら今度はサンリまで危害を加えられるかもしれない!こんなやつ捨てちまえ!」

「え~?でも怪我していたから放っておくわけにはいかないし・・。そうだ!この子強そうだし、仲間にしてあげたら?きっと頼もしいよ~。」

「はぁ?俺たちを殺そうとしてきたやつを仲間になんてできるわけないだろ!第一な・・・!」

そう言っていると横のカイルがむくりと起き上がってきた。

「なんだ?さっきからうるせえ・・・!?ってお前・・!さっき俺にとんでもない魔法を放ってきた・・・!」

横で寝ていたカイルが起きてきた。しかし何やら驚いているようだ。どうしたんだ?

「おい、カイル。なぜお前がここにいるんだよ。お前は俺たちに勝ったはずだろ?と言うかその『とんでもない魔法』ってなんだよ?」

そう俺は捲し立てる。そう、俺たちはこいつにやられたはずだ。今頃あの世に行っていてもおかしくない。なのに今、俺はここでカイルの横で寝ている。意味が分からん。

「あ~・・・。多分その『とんでもない魔法』って私の魔法かな~。ちょっと気持ちが先走って威力を弱くしすぎちゃったんだけど・・・。」

それにカイルが驚愕した様子で言う。というか、サンリはそんなに魔法操作に手慣れているんだな。

「威力を弱くしすぎただと!?あれでか!?」

「なあ。そんなに強かったのか?サンリの魔法は。」

強いって言ったって大型モンスター1匹をギリギリ倒せるくらいか?それでも十分強いのだが。

「何言ってんだ!こいつ、本気出せば森を焼き尽くすほどの威力をさせるんじゃないか!?だとしたらこんな場所にいて良い人材じゃないが・・。」

なんだって!?

「サンリ、本当か?」

そう言うとサンリは照れくさそうに言った。

「やめてよ~。私はそんなすごい人じゃないよ~。そんな魔法の腕を過大評価されるくらいだったら、料理の腕を褒められた方が嬉しいよ?」

そう言われて気づいたが、またどこからともなく香ばしい匂いを感じる。腹も減ったし、飯を・・・。ってリュータそういえばどこ行った?

「サンリ。リュータはどこに行った!?まさかあいつ一人でビックアックスを探しに行ったとか・・・。」

「そんなことないよ~。リュータさんなら傷が深かったから、別室にいるよ~。今は安静にさせなきゃだから、そこには行かないでね。」

良かった。リュータが死ぬのは俺としても居心地が良くない。そう思うと安心した。

そうしてテーブルに向かい、飯を食った。カイルは流石に俺と飯を食う気はないようで、ベッドで寝ている。

今でも生きた心地がしないが、またこの場所に戻れて心底安心した。

しかし、くだらないことではあるが、サンリは俺たち3人を一人で運んで家まで帰ったのだろうか?

もしかすると俺が思っているよりも遥かにサンリは強いのかも知れない・・・。
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