異世界転生したらΩでした!

弓葉

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災いの獣人

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「異世界から来た獣人は世界に破滅を呼ぶ」

 キツネ獣人は僕に敵意の目を向けた。僕は勝手に僕はここにいる人達は似たようなものだと思っていたけど違うらしい。僕が異世界から来ていないと証明しなければならない。

「俺らは魔族に襲われて武器を落としたんだ。で、この刀は旅の途中で拾ったものだ」

 僕よりこの世界に詳しいキョウイがフォローしてくれた。正直、僕はまだこの世界を知らなさすぎる。昨夜、キョウイにこの世界のことを聞けばよかったと後悔した。

「そうか……」

 キツネ獣人はまだ僕に疑い深い目を向けてくる。僕は目を逸らさないように見つめ返した。動物と目が合った時は逸らせば殺される。証拠に、キツネ獣人の爪は鋭く伸びたままだった。

「この世界の住人なら説明しなくても、癒やしの塗り薬を作れるよな」

 僕は息を飲みこむ。わからない、と言えなかった。



「キョウイーどうすんだよ」

 僕は森で拾った木の棒を片手に歩いていた。

「獣人は珍しくないけど思っていたけど、そういう展開になると思ってなかったな。斬り殺そうと思ったが、森の住人は群れ意識が強い。後々、めんどくさくなりそうだからやめた」

 キョウイはさらっと言った。僕はキョウイが言った言葉を飲み込めない。あれ? キョウイってこんな人間だったけ……? 

「……殺すだなんて、そういうことはしちゃダメだよ」

「そうか? あのキツネは爪と牙を見せてきたぞ。こっちからやらなくちゃ、やられる」

「そうだけど……」

 この時、僕はヤバイやつと手を組んでしまったと後悔した。 

「まぁ、結果的に殺してねぇからいいじゃねぇか」

 突然、キョウイはしゃがみ込む。

「どうした?」

 僕も同じようにしゃがむと、そこには葉っぱが生い茂っていた。

「ハーブらしきものはコレなんだけどな。この世界でこの葉がハーブを表すのかわからない」

 キョウイは葉っぱを摘む。

「あとはハーブにもいろんな種類があるからな……これだといいんだけど」

「キョウイってハーブに詳しいんだね」

「まぁ、自給自足みたいな生活だったからな。次はミツロウだな」

 キョウイは小さな袋にハーブを入れると立ち上がる。僕も同じく立ち上がった。

「甘い匂いはするか?」

 キョウイに聞かれて僕は鼻をヒクヒクと動かす。かすかに、甘い蜜のような匂いがした。

「ハチミツっぽい匂いなら、あっちからする」

 僕は指さす先には大木があった。蜂の巣には適してそうな木だ。

「でもさ、どうすんだよ。蜂退治するにも僕らは無防備すぎる」

 全裸に近い僕と薄着なキョウイ。蜂専用の防護服を持っていない。

「とりあえず、巣の場所を確認して日没を待つ」

「どうして日没を待つ必要があるんだ?」

 暗くなったらどこから刺されるかわからないだろ。

「ハチは暗闇で飛ぶことができないんだ。日没から三時間後が狙い目だ」

「へぇ、そうなんだ……知らなかった」

「ワダツミの周りにはハチがいなかったのか?」

「いや、いるんだけど。実際に見たことはないし、対処したこともない」

「……そうか」

 キョウイは何かを言いかけたけど、言わなかった。僕は追求しない。僕とキョウイは住んでいた世界が違うからだ。
 
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