鬼のセンチネル

弓葉

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玖賀の存在

藤の変化

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「掻き出しても、掻き出してもでてくる……玖賀は僕を孕ます気か?」

 藤は中に指を入れ、玖賀が吐き出した精液を掻き出していた。残っていると、お腹を下すからだ。何回注ぎ込まれたのかは思い出せない。理性を忘れた玖賀は酷かった。

「はぁ、もう疲れた……さすがに一晩中起きていたからしんどいや」

 藤は布団に寝転がる。藤の腰には玖賀が抱きついていた。藤が動けば、さらり、と真白い長髪が流れる。藤は玖賀の顔にかかる白髪をのけた。

「玖賀の様子が落ち着いたら、陰陽寮に行くか」

 大きな欠伸をして、藤は眠った。自分が家族よりも玖賀を選ぶ日が来るなんて思いもしなかった。

――数時間前。

 母親の目線が酷く痛い。蔑むような目線に、藤は悲しくなった。

「いや、あのね。分かってはいたけど、実際に言葉で聞くと……ねぇ」

 母親は言葉を濁すが、言いたいことは言わなくてもわかる。

「いや、母さんの反応は正しいよ」

 椿は母を擁護した。同じく侮蔑の目線をされる。母親を守るような椿の素振りに、藤は一刻も早くその場から消えたくなった。

「久しぶりだね、藤。鬼に殺されなくてよかったよ」

 当の本人はあっけらかんとしている。

「深浦さんの方こそ、お元気そうで何よりです。語弊のある言い方は困りますけど」

 陰陽寮がここに来る理由が分からなかった。確かに藤の身柄は監視されている。それなら、もっと早く接触してくるはずだ。このタイミングでも接触は何か企みがある。そういう組織だ。

「藤家族の身柄は陰陽寮が引き取ることになった。政府がいらんことをしてくれたお陰で、藤の家族に迷惑がかかってすまない」

 深浦は獅堂を見る。獅堂はフン、と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。敵対する組織とあって、二人は互いのことを知っているようだ。

「藤、家族に陰陽寮のことを案内するといい」

 深浦はついてこいと、言わんばかりに身体を翻した。母親と椿は陰陽寮の部下に誘導されている。藤も後を追おうとした。だが、あることが引っかかって動けない。

「でも……」

 家に置いてきた玖賀が気になって仕方がない。ここからまた陰陽寮に行き、帰るとしたらどれぐらいの時間がかかるのだろうか?

「どうした、藤」

 深浦はついてこない藤を見る。

「あ、えっと……」

 玖賀のことが気になり始めていることに驚いた。家族のことよりも玖賀の存在が自分のなかで大きくなり始めている。

 日が昇り、神社に太陽の光が差し始めた。



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