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壁と自分の間に
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今日の仕事は終わり、リュウとの約束の時間とまでの時間を本を読んで過ごしていた。
もちろん、この世界は元いた世界と色々違うからこそ文化を知っておかなければならない。
そう思ってシゲさんが持っている本をいくつか借りた。
でも、作者が違うだけで内容はほとんど変わらない本もいくつかある。
マルクスの資本論のような本や、ニーチェのような本など随分哲学の本が多くある印象だ。
本を読んでいると約束の時間になり、俺は店の外へと、黒いパーカーを着て出た。
「ぴったりだな、君。」
「俺の名前はキューです。」
「そうか。まぁ、いい。仕事場に行くぞ。」
俺は、リュウのあとに続いた。
次第に広場に出て、その中の掲示板の裏に案内された。
「ここに、兵士募集の絵を書いてくれ。別に絵は兵士の絵とかじゃなくていい。兵士募集とだけ書いてくれれば。」
「道具は?」
「いくつか持ってきた。筆とか、色んな種類を。」
「スプレー缶はあります?」
「黒だけならあるぞ」
「それだけで十分です。」
俺はスプレー缶を受け取った。
あのヒヤッとした冷たい金属の触り心地
シンプルかチープなのかわからないデザイン
どのスプレー缶でも、同じような機能
だが、これに俺はすがっていた。
これだけで、世界に何か、自分を。
この小さな自分を、世に出したい。
その合理的でもない、すごい尊い意味もないその思いを俺は思い出した。
何故か目がぼやけて、目の縁まで涙が迫っていた。
「どうした?」
「別に、何もないです。だけど、なにかこみ上げてしまって。」
「別にいいぞ。夜はまだまだ長いんだ。」
俺はレンガ調の壁を見上げた。
シュー。シュッ。スプレー缶の調子もいい感じだ。
俺は一気に画面を少しづつ暗くした。
顔には雨が滴り、自分の中の思いもとめどなく流れていた。
ただ、描いているときは何もかもが楽しい。
これで俺は世界を変えたかったんだ。
バンクシーや、キース・ヘリングでもキングロボでもない。
自分の絵が世界を一ミリも動かしたことがない。
だから、この世界で、このちっぽけな自分で俺は世界を変える。
絵を書き終えると、息が上がっていた。
「いい絵だな。昇り龍か。」
「いい絵かは、俺にはわかりません。だけど、俺は絵で世界を動かします。そのために俺を革命軍に入れてください。」
俺は初めて自分から頭を下げた。
「おう!」
俺は頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。
俺は滝のような涙を流しながら、俺は革命軍の一員となった。
もちろん、この世界は元いた世界と色々違うからこそ文化を知っておかなければならない。
そう思ってシゲさんが持っている本をいくつか借りた。
でも、作者が違うだけで内容はほとんど変わらない本もいくつかある。
マルクスの資本論のような本や、ニーチェのような本など随分哲学の本が多くある印象だ。
本を読んでいると約束の時間になり、俺は店の外へと、黒いパーカーを着て出た。
「ぴったりだな、君。」
「俺の名前はキューです。」
「そうか。まぁ、いい。仕事場に行くぞ。」
俺は、リュウのあとに続いた。
次第に広場に出て、その中の掲示板の裏に案内された。
「ここに、兵士募集の絵を書いてくれ。別に絵は兵士の絵とかじゃなくていい。兵士募集とだけ書いてくれれば。」
「道具は?」
「いくつか持ってきた。筆とか、色んな種類を。」
「スプレー缶はあります?」
「黒だけならあるぞ」
「それだけで十分です。」
俺はスプレー缶を受け取った。
あのヒヤッとした冷たい金属の触り心地
シンプルかチープなのかわからないデザイン
どのスプレー缶でも、同じような機能
だが、これに俺はすがっていた。
これだけで、世界に何か、自分を。
この小さな自分を、世に出したい。
その合理的でもない、すごい尊い意味もないその思いを俺は思い出した。
何故か目がぼやけて、目の縁まで涙が迫っていた。
「どうした?」
「別に、何もないです。だけど、なにかこみ上げてしまって。」
「別にいいぞ。夜はまだまだ長いんだ。」
俺はレンガ調の壁を見上げた。
シュー。シュッ。スプレー缶の調子もいい感じだ。
俺は一気に画面を少しづつ暗くした。
顔には雨が滴り、自分の中の思いもとめどなく流れていた。
ただ、描いているときは何もかもが楽しい。
これで俺は世界を変えたかったんだ。
バンクシーや、キース・ヘリングでもキングロボでもない。
自分の絵が世界を一ミリも動かしたことがない。
だから、この世界で、このちっぽけな自分で俺は世界を変える。
絵を書き終えると、息が上がっていた。
「いい絵だな。昇り龍か。」
「いい絵かは、俺にはわかりません。だけど、俺は絵で世界を動かします。そのために俺を革命軍に入れてください。」
俺は初めて自分から頭を下げた。
「おう!」
俺は頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。
俺は滝のような涙を流しながら、俺は革命軍の一員となった。
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