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4.風変わりな美少女
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一限目の授業終了のベルが鳴った。教室が一気に騒がしくなる。
「終わったぁ」
奈緒が目の前で伸びをしている。数学は彼女の苦手な教科だ。
一方、和哉は数学の授業だけは真面目に受けている。授業に全神経を集中しようなどと肩に力をいれているわけではないが、気がつけばいつの間にか教師の言葉に真摯に耳を傾けているのだ。
他の教科もこんな調子なら、学年トップも夢ではないのに。まあ、世の中そんなもんだ。
教科書をカバンに放り込んで顔を上げると、いつの間にそこにいたのか、他のクラスの女子生徒がこちらを見下ろしていた。
すらっとした色白で長髪の女子。今朝、掲示板を睨みつけていた女だとわかった。
「あなたが大島君?」
「小島だよ」
わざとだろ。どこかの芸人のネタじゃねえか。
奈緒が後ろを振り向いた。
「どんな賢そうな男子かと思ってドキドキしていたんだけど、こんな間抜け面だったなんて、がっかりだわ」
彼女が和哉を睨みつけている。
確か初対面だよな。口を利くのも、もちろん初めてだ。女子から話しかけられるのに悪い気はしないが、なぜ喧嘩腰?
前の席であっけに取られている奈緒に顔を近づけた。
「この女、誰?」
「蛇尾さんよ。隣のクラスの蛇尾沙耶さん」
こいつか、椿野を負かした転校生は。
ほっそりとした身体、白くて綺麗な肌、意志の強そうな凛とした瞳、すらっと筋の通った鼻、黒いロングヘアー。噂どおりの美少女だ。
「俺になんか用か?」
「あなたを見ていると、自分自身が許せなくなってきたわ。こんな間抜けな男に負けたなんて、一生の不覚よ」
初対面の女にえらい言われようだが、わざわざ他のクラスまでやってきて初対面の男子生徒に食って掛かっている理由がようやくわかった。数学のテストで和哉に負けたのが悔しいのだ。
ふん。鼻で笑ってやった。
「おまえの気持ちはよくわかる。しかし、おまえじゃ、俺には勝てないよ。あの数学のテスト、何点だったんだ? ちなみに、知ってると思うが俺は満点だった。簡単すぎて時間が余りすぎちまってよ、テスト時間の半分は居眠りしてたんだぜ。あんなテストで満点が取れないようじゃ、逆立ちしたって俺にはかなわないね」
彼女の頬が、微かに赤く染まった。ポーカーフェイスを決め込んでいるが、かなり頭にきているのがわかる。
「あなた、いつも女の子を後ろから尾けてお尻を眺めているわね。いえ、眺めているなんて生ぬるい言葉は不適切だわ。舐めるように見つめているわ。あれは視姦ね」
「はあ?」
「特に、関本さんと椿野さんのお尻を見ているときの卑猥な目つきなんて、変質者そのものだわ。後ろから見ていて、ぞっとするわ」
クラス全員が息を飲んでこちらを見ている。同じクラスの椿野菜々美と目が合った。
「な、何言ってんだよ、おまえは」
「認めるのね。否定しないということは、認めたということよ」
「認めるとか否定するとかじゃなくってだな。第一、俺の後ろにいてどうして俺の目つきが変質者ぽいってわかるんだよ」
「それは詭弁ね」
へい、詭弁はどっちだ。
いいたいことだけさっさというと、蛇尾沙耶が背中を向けて教室から出て行った。
「なんだよ、あいつは。おかしなやつだな」
ぎこちない笑みを顔に貼りつけたまま、奈緒を見た。
奈緒が、道端に落ちている犬の糞でも見るような眼を、和哉に向けている。
「最低」
「はあ?」
そりゃ、ないだろ。
「終わったぁ」
奈緒が目の前で伸びをしている。数学は彼女の苦手な教科だ。
一方、和哉は数学の授業だけは真面目に受けている。授業に全神経を集中しようなどと肩に力をいれているわけではないが、気がつけばいつの間にか教師の言葉に真摯に耳を傾けているのだ。
他の教科もこんな調子なら、学年トップも夢ではないのに。まあ、世の中そんなもんだ。
教科書をカバンに放り込んで顔を上げると、いつの間にそこにいたのか、他のクラスの女子生徒がこちらを見下ろしていた。
すらっとした色白で長髪の女子。今朝、掲示板を睨みつけていた女だとわかった。
「あなたが大島君?」
「小島だよ」
わざとだろ。どこかの芸人のネタじゃねえか。
奈緒が後ろを振り向いた。
「どんな賢そうな男子かと思ってドキドキしていたんだけど、こんな間抜け面だったなんて、がっかりだわ」
彼女が和哉を睨みつけている。
確か初対面だよな。口を利くのも、もちろん初めてだ。女子から話しかけられるのに悪い気はしないが、なぜ喧嘩腰?
前の席であっけに取られている奈緒に顔を近づけた。
「この女、誰?」
「蛇尾さんよ。隣のクラスの蛇尾沙耶さん」
こいつか、椿野を負かした転校生は。
ほっそりとした身体、白くて綺麗な肌、意志の強そうな凛とした瞳、すらっと筋の通った鼻、黒いロングヘアー。噂どおりの美少女だ。
「俺になんか用か?」
「あなたを見ていると、自分自身が許せなくなってきたわ。こんな間抜けな男に負けたなんて、一生の不覚よ」
初対面の女にえらい言われようだが、わざわざ他のクラスまでやってきて初対面の男子生徒に食って掛かっている理由がようやくわかった。数学のテストで和哉に負けたのが悔しいのだ。
ふん。鼻で笑ってやった。
「おまえの気持ちはよくわかる。しかし、おまえじゃ、俺には勝てないよ。あの数学のテスト、何点だったんだ? ちなみに、知ってると思うが俺は満点だった。簡単すぎて時間が余りすぎちまってよ、テスト時間の半分は居眠りしてたんだぜ。あんなテストで満点が取れないようじゃ、逆立ちしたって俺にはかなわないね」
彼女の頬が、微かに赤く染まった。ポーカーフェイスを決め込んでいるが、かなり頭にきているのがわかる。
「あなた、いつも女の子を後ろから尾けてお尻を眺めているわね。いえ、眺めているなんて生ぬるい言葉は不適切だわ。舐めるように見つめているわ。あれは視姦ね」
「はあ?」
「特に、関本さんと椿野さんのお尻を見ているときの卑猥な目つきなんて、変質者そのものだわ。後ろから見ていて、ぞっとするわ」
クラス全員が息を飲んでこちらを見ている。同じクラスの椿野菜々美と目が合った。
「な、何言ってんだよ、おまえは」
「認めるのね。否定しないということは、認めたということよ」
「認めるとか否定するとかじゃなくってだな。第一、俺の後ろにいてどうして俺の目つきが変質者ぽいってわかるんだよ」
「それは詭弁ね」
へい、詭弁はどっちだ。
いいたいことだけさっさというと、蛇尾沙耶が背中を向けて教室から出て行った。
「なんだよ、あいつは。おかしなやつだな」
ぎこちない笑みを顔に貼りつけたまま、奈緒を見た。
奈緒が、道端に落ちている犬の糞でも見るような眼を、和哉に向けている。
「最低」
「はあ?」
そりゃ、ないだろ。
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