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少女の切なげな吐息が薄暗い部屋に響く。武藤は四つん這いになった少女を背後から貫いていた。逞しい腕で固定された少女の白い尻の隙間から、太いペニスがゆっくりと見え隠れしている。
武藤が少女をゆっくりと犯す度に、少女の押し殺すような吐息が漏れる。身をよじる度に、少女は尻を押さえつけられ、より深い結合を強いられた。むき出しになった少女の性器から溢れ出た粘液が、二人の結合部を汚す。
少女の口から甘い吐息が幾度もこぼれた。強烈な快感に襲われ、少女が泣きながら腰をくねらせる。粘膜がこすれ合う淫らな音が少女の羞恥と快感を加速させる。
やがて、少女の奥で、男の熱い精がはじけた。尻を高く突き出された姿勢で散らされた少女は、そのままぐったりと脱力した状態で武藤を見ていた。
「エスきめてえっちすると最高……。もう、あそこが擦り切れて痛いのに感じちゃうよ……」
少女は布団の上でまどろみながら武藤を見た。
「お前、金あるのか」武藤が低い声で呟いた。
「これだけ」そう言って、少女は 財布から二万円を取り出した。
「今日、金持ってるスケベ親父と会う予定あるの……」
少女は甘えた声を出した。武藤は覚せい剤の入ったパケを三袋、財布から出すと少女に渡した。
見立てた通り、白くて肉感のある少女の身体は中年親父に大人気だ。武藤は道で声をかけたこの家出少女に、シャブのきめ方と客を選ぶコツを教えた。援助交際で知り合った客の中から金を持っていそうな男をキープし、常連客に仕立て上げる。何回か会った後、客にシャブを炙って吸わせてセックスすると、あっという間に虜にできる。
武藤はシャブを餌に少女を操っていた。この娘はよく稼いでくれる。せっかく育てた少女の存在を黒崎に教えることは出来ない。
「じゃあ、仕事にいく用意をしろ」
武藤に言われ、少女はだるそうに体を起こして浴室に向かった。シャワーを捻って湯を出す音が聞こえてくる。武藤は床に脱ぎ捨てていた上着のポケットからタバコを取り出して火をつけた。テーブルの上にはビールの空き缶が並べられ、布団の脇の灰皿にはタバコの吸殻が溢れていて、じりじりと細い煙をあげていた。
「シャワー浴びるとあそこが余計にひりひりするよ」
少女が股間を指で撫でながら浴室から出てきた。
「お金欲しいよねぇ」
そう言って、少女は武藤の鋼のように鍛え上げられた身体に抱きついた。武藤は少女を押しのけると、万年床にごろんと横になった。
「なあ、風俗に高く売れるいい女、どこかでさらってこいよ。援交より金になるから」
武藤が自分の横でまどろむ少女に向かって言った。
「さらってきて、またあの黒崎ってやくざに渡すの?」
武藤は少女をじろっと睨む。少女はふふっと笑って、床に落ちているタバコを咥えた。
「いや。俺が捌く。兄貴に女渡しても、金にならねえからな」
「じゃあ、さらった女売り飛ばすルート、やっと見つかったんだ」
「ああ、大阪のミナミでな、街で女のスカウトしてる奴と知り合ったんだ。元ホストだけあって、結構なイケメンだ。そいつに頼めば女を売り飛ばせる。黒崎の兄貴には内緒だ。ばれると半殺しにされるからな」
「もう、あの男と手を切れば?」
「やくざと知り合いだと、なにかと便利なんだよ。シャブやハッパ手に入るのも兄貴が流してくれるお蔭だし」
武藤は天井に立ち上る煙を見ながら呟いた。
「そうだよね。確かにヤクザと付き合ってると、シャブには困らないわ」
「でも、ただじゃないぜ。シャブに困りたくなければ金稼いでこい」
少女はしぶしぶセーラー服を着だした。十七歳にしては豊かな乳房を、ピンクのブラで覆った。少女は半年前まで現役の女子高生だったが、家出をして、街で声をかけてきた武藤と同棲を始めてからは家にも帰らず、学校にも行っていない。
黙ってセーラー服を着る少女を武藤が見ていた。スカートがやたら短い。
「このほうがオヤジが喜ぶの。私、ちょっと行って稼いでくるから」
そう言って、少女は部屋から出て行った。
武藤は面倒そうにのそりと立ち上がるとシャワーも浴びずにシャツを着た。携帯を取り出し、佐川に電話をした。
「よう」
「丁度よかった。黒崎の兄貴からブツ分けてもらったよ」
電話の向こうから佐川憲一のどんよりした声が聞こえてきた。武藤は通話を切ると部屋を出た。新開地のマンションの外に停めてあったカローラに乗り、三宮に向かって走り出す。
十五分ほどで佐川が借りているアパートにつく。貧民窟のようなアパート。いつも女を漬けるときに使っている部屋だ。日雇い労働者たちが暇そうに街をうろうろしていた。自動販売機のつり銭が落ちていないか周りの溝を探っている五十過ぎの薄汚れたオヤジが、武藤のほうを向いた。武藤が男を睨みつけると、男は急いでその場を立ち去った。武藤は唾を吐いてアパートの階段を上った。インターフォンを押すと、すぐに佐川がドアを開けて顔を出した。中学から吸い続けているトルエンなどの有機溶剤の影響で、佐川は歯並びが悪かった。
武藤は靴を脱ぎ、部屋に上がって部屋の中を見回した。
「お前、少しくらい部屋片付けろよ。黒崎の兄貴にも言われたばかりだろ。足の踏み場もねえじゃねか」
武藤は顔をしかめた。床には脱ぎ散らかした服やエロ雑誌、カップ麺の空き容器、コンビニ弁当の残り、ビールの空き缶がいたる所に転がっていた。三日前、二人で女を連れ込んで輪姦した後の残骸が部屋の隅にいくつも転がっていて、形容しがたい異臭を放っている。
「見ろよ、これ」
テーブルの上にはビニール袋に入れた覚せい剤が置いてあった。二十グラムはありそうだった。
「兄貴がこれを捌けっていって置いていったよ」
「いつ来たんだ?」
「ついさっき。美里も一緒だったよ」
「けっ、ずる賢い女が」
毒づきながらも、武藤は美里に一目置いていた。美里は自分の価値というものをよくわかっていて、それを最大限に利用している。今は何か目的があって黒崎に抱かれているのだろうが、やがて目的を達成すると、黒埼も捨てられるだろう。美里を利用しているようで、実は利用されているのは黒崎の方なのだ。美里に比べたら黒崎など、まるで子供だ。
しかし、その子供にいいように使われている自分はそれ以下なのだろう。武藤は、自分があの女子高生より劣っているなど決して認めたくはなかった。自分も黒崎を利用してのし上がってやる。そして、あの高慢ちきな女子高生にも惨めな思いをさせてやる。
「この前の援交女子高生はどうなった?」
武藤の言葉に佐川がにやりと笑った。
「ばっちりさ。エスをあそこに入れてはめてやると、よがりまくりやがった。ダチにも教えてやれよといって、ただでいくつかパケを渡したんだが、ダチもはまっちまったんだとよ」
「そりゃ、そうだろ」
シャブを決めてのセックスの快感は強烈だ。あの快感を一度覚えると、もう絶対シャブとは切れなくなる。
「それから、そのダチの女子高生、すぐにエス売って欲しいって連絡してきたんだ。エス渡したときにただでやらせてもらったぜ。ふたりでエス決めて、一日中はまりっぱなしだ。シャブの味知った女って、シャブ見せりゃ、すぐに股開くからな」
武藤は自慢そうに喋る佐川の顔を見た。誠と同じく、酷く頭の悪い、人間として最低の部類に入る男だ。俺はこいつらとは違う。
武藤は床に腰を下ろそうとして、転がっていたエロ雑誌を脇に寄せた。その下から注射器やパケの空き袋が出てきた。佐川も武藤の前であぐらをかく。佐川は転がっていた百円ライターを拾い上げた。
「吸うか? いいネタだぜ」
佐川は大麻をパイプに詰めながら武藤を見た。
「今はいらねえ」
「兄貴、いいネタまわしてくれたぜ」
佐川はライターでパイプの上を焙りながら煙を肺いっぱいに吸い込んだ。しばらく息を止めた後、煙を吐き出すとかぶりを振った。
「かぁ! 効く!」佐川の顔が高揚感で歪んだ。
「このシャブはどのあたりに流すんだ?」
武藤はテーブルの上に置いてある覚せい剤を手に持って見ながら言った。
「とりあえずはこの前の女子高生だな。今のガキは金持ってるし、クスリ回してやるとタダでやらせてくれるし」
佐川はそういって笑った。
「こっちの取り分は?」武藤が訊く。
「一割」
「ちっ、しけてやがらぁ! 危ない橋渡るの俺たちなのによ」
「仕方ないさ。俺たちじゃ、ブツ手に入れられないし」
「でもよ……」武藤は佐川に顔を寄せた。「今のままじゃ、ずっと兄貴にいいように使われるだけだぜ」
「じゃあ、どうするんだよ」
「黒崎の兄貴がやってるように、女をさらって風俗に売るんだ。シャブ漬けにしてな。これが結構金になるらしい。兄貴が夢中になるわけだ」武藤が佐川に顔を寄せた。「実はな、女を売り飛ばすルートが確保できたんだ。後は女をさらって、今までやってきたみたいに漬けるだけだ」
「それって、やばくねえ? 兄貴にばれると殺されるぞ」
「やばいさ。でも、決めたんだろ? 俺たち犯罪で食っていくって。これくらいでビビるなよ。それに、兄貴だって、組に黙って女捌いてるんだ」
「本当か?」
武藤は頷いた。
「まあ、うまくやるさ。任せとけ」
佐川は不安そうに武藤を見たが、すぐに視線を逸らせてテーブルの上の覚せい剤の袋を見た。
「誠にパケ作らせないとな」
佐川が面倒そうに呟いた。
「その女子高生に連絡しろ。取り敢えずはそいつに売れるだけ売ろう」
佐川はゴミの山の中から覚せい剤取引に使っている携帯を探り当てると、登録してある女子高生の番号に電話した。
「もしもし、中村友紀子さん?」
佐川がそう聞くと、電話の向こうの少女がうんと言うのが受話器を通して聞こえてきた。
「エス手に入ったけど、買うかい?」
「きゃぁ! まじ! 買う! 買う! すぐに売ってよ!」
電話の向こうで女子高生がはしゃぎだす声が聞こえてくる。
「金あるか?」
「すぐにダチに連絡して二十万くらい集めるから」
「もうちょっと買ってくんねえかな」
「ええぇ。お金ないよぉ」
「あのね……」
佐川が勿体をつけた。
「実はさぁ……。いつもの売人がパクられちまってさぁ……。次、いつ入るかわかんないのよね。できれば君たちに売ってあげたいんだけどさ。金がないなら他を当たるよ」
「買うよ! 買う! 全部でいくら分あるの?」
「十グラムあるんだ。五十万円分くらいかな。相場じゃグラム六万だから、十万も安いんだぜ」
受話器の向こうで女子高生がうなった。
「わかった。それぐらいなら皆で援交して何とかするから、絶対他には売らないでよ」
「明日までに金つくれる?」
「絶対何とかするから」
「オーケー、じゃあ、明日のこの時間にまた電話するから」
そう言って、佐川は電話を切った。横で武藤がにやりと笑った。今流行りの女子高生だ。あいつ等が気合を入れて身体を売れば金を稼ぐなんてわけないことだろう。あいつ等にシャブを売りまくった後、頃合いを見て裏風俗に落としてやる。武藤が静かに佐川の肩を叩いた。
武藤が少女をゆっくりと犯す度に、少女の押し殺すような吐息が漏れる。身をよじる度に、少女は尻を押さえつけられ、より深い結合を強いられた。むき出しになった少女の性器から溢れ出た粘液が、二人の結合部を汚す。
少女の口から甘い吐息が幾度もこぼれた。強烈な快感に襲われ、少女が泣きながら腰をくねらせる。粘膜がこすれ合う淫らな音が少女の羞恥と快感を加速させる。
やがて、少女の奥で、男の熱い精がはじけた。尻を高く突き出された姿勢で散らされた少女は、そのままぐったりと脱力した状態で武藤を見ていた。
「エスきめてえっちすると最高……。もう、あそこが擦り切れて痛いのに感じちゃうよ……」
少女は布団の上でまどろみながら武藤を見た。
「お前、金あるのか」武藤が低い声で呟いた。
「これだけ」そう言って、少女は 財布から二万円を取り出した。
「今日、金持ってるスケベ親父と会う予定あるの……」
少女は甘えた声を出した。武藤は覚せい剤の入ったパケを三袋、財布から出すと少女に渡した。
見立てた通り、白くて肉感のある少女の身体は中年親父に大人気だ。武藤は道で声をかけたこの家出少女に、シャブのきめ方と客を選ぶコツを教えた。援助交際で知り合った客の中から金を持っていそうな男をキープし、常連客に仕立て上げる。何回か会った後、客にシャブを炙って吸わせてセックスすると、あっという間に虜にできる。
武藤はシャブを餌に少女を操っていた。この娘はよく稼いでくれる。せっかく育てた少女の存在を黒崎に教えることは出来ない。
「じゃあ、仕事にいく用意をしろ」
武藤に言われ、少女はだるそうに体を起こして浴室に向かった。シャワーを捻って湯を出す音が聞こえてくる。武藤は床に脱ぎ捨てていた上着のポケットからタバコを取り出して火をつけた。テーブルの上にはビールの空き缶が並べられ、布団の脇の灰皿にはタバコの吸殻が溢れていて、じりじりと細い煙をあげていた。
「シャワー浴びるとあそこが余計にひりひりするよ」
少女が股間を指で撫でながら浴室から出てきた。
「お金欲しいよねぇ」
そう言って、少女は武藤の鋼のように鍛え上げられた身体に抱きついた。武藤は少女を押しのけると、万年床にごろんと横になった。
「なあ、風俗に高く売れるいい女、どこかでさらってこいよ。援交より金になるから」
武藤が自分の横でまどろむ少女に向かって言った。
「さらってきて、またあの黒崎ってやくざに渡すの?」
武藤は少女をじろっと睨む。少女はふふっと笑って、床に落ちているタバコを咥えた。
「いや。俺が捌く。兄貴に女渡しても、金にならねえからな」
「じゃあ、さらった女売り飛ばすルート、やっと見つかったんだ」
「ああ、大阪のミナミでな、街で女のスカウトしてる奴と知り合ったんだ。元ホストだけあって、結構なイケメンだ。そいつに頼めば女を売り飛ばせる。黒崎の兄貴には内緒だ。ばれると半殺しにされるからな」
「もう、あの男と手を切れば?」
「やくざと知り合いだと、なにかと便利なんだよ。シャブやハッパ手に入るのも兄貴が流してくれるお蔭だし」
武藤は天井に立ち上る煙を見ながら呟いた。
「そうだよね。確かにヤクザと付き合ってると、シャブには困らないわ」
「でも、ただじゃないぜ。シャブに困りたくなければ金稼いでこい」
少女はしぶしぶセーラー服を着だした。十七歳にしては豊かな乳房を、ピンクのブラで覆った。少女は半年前まで現役の女子高生だったが、家出をして、街で声をかけてきた武藤と同棲を始めてからは家にも帰らず、学校にも行っていない。
黙ってセーラー服を着る少女を武藤が見ていた。スカートがやたら短い。
「このほうがオヤジが喜ぶの。私、ちょっと行って稼いでくるから」
そう言って、少女は部屋から出て行った。
武藤は面倒そうにのそりと立ち上がるとシャワーも浴びずにシャツを着た。携帯を取り出し、佐川に電話をした。
「よう」
「丁度よかった。黒崎の兄貴からブツ分けてもらったよ」
電話の向こうから佐川憲一のどんよりした声が聞こえてきた。武藤は通話を切ると部屋を出た。新開地のマンションの外に停めてあったカローラに乗り、三宮に向かって走り出す。
十五分ほどで佐川が借りているアパートにつく。貧民窟のようなアパート。いつも女を漬けるときに使っている部屋だ。日雇い労働者たちが暇そうに街をうろうろしていた。自動販売機のつり銭が落ちていないか周りの溝を探っている五十過ぎの薄汚れたオヤジが、武藤のほうを向いた。武藤が男を睨みつけると、男は急いでその場を立ち去った。武藤は唾を吐いてアパートの階段を上った。インターフォンを押すと、すぐに佐川がドアを開けて顔を出した。中学から吸い続けているトルエンなどの有機溶剤の影響で、佐川は歯並びが悪かった。
武藤は靴を脱ぎ、部屋に上がって部屋の中を見回した。
「お前、少しくらい部屋片付けろよ。黒崎の兄貴にも言われたばかりだろ。足の踏み場もねえじゃねか」
武藤は顔をしかめた。床には脱ぎ散らかした服やエロ雑誌、カップ麺の空き容器、コンビニ弁当の残り、ビールの空き缶がいたる所に転がっていた。三日前、二人で女を連れ込んで輪姦した後の残骸が部屋の隅にいくつも転がっていて、形容しがたい異臭を放っている。
「見ろよ、これ」
テーブルの上にはビニール袋に入れた覚せい剤が置いてあった。二十グラムはありそうだった。
「兄貴がこれを捌けっていって置いていったよ」
「いつ来たんだ?」
「ついさっき。美里も一緒だったよ」
「けっ、ずる賢い女が」
毒づきながらも、武藤は美里に一目置いていた。美里は自分の価値というものをよくわかっていて、それを最大限に利用している。今は何か目的があって黒崎に抱かれているのだろうが、やがて目的を達成すると、黒埼も捨てられるだろう。美里を利用しているようで、実は利用されているのは黒崎の方なのだ。美里に比べたら黒崎など、まるで子供だ。
しかし、その子供にいいように使われている自分はそれ以下なのだろう。武藤は、自分があの女子高生より劣っているなど決して認めたくはなかった。自分も黒崎を利用してのし上がってやる。そして、あの高慢ちきな女子高生にも惨めな思いをさせてやる。
「この前の援交女子高生はどうなった?」
武藤の言葉に佐川がにやりと笑った。
「ばっちりさ。エスをあそこに入れてはめてやると、よがりまくりやがった。ダチにも教えてやれよといって、ただでいくつかパケを渡したんだが、ダチもはまっちまったんだとよ」
「そりゃ、そうだろ」
シャブを決めてのセックスの快感は強烈だ。あの快感を一度覚えると、もう絶対シャブとは切れなくなる。
「それから、そのダチの女子高生、すぐにエス売って欲しいって連絡してきたんだ。エス渡したときにただでやらせてもらったぜ。ふたりでエス決めて、一日中はまりっぱなしだ。シャブの味知った女って、シャブ見せりゃ、すぐに股開くからな」
武藤は自慢そうに喋る佐川の顔を見た。誠と同じく、酷く頭の悪い、人間として最低の部類に入る男だ。俺はこいつらとは違う。
武藤は床に腰を下ろそうとして、転がっていたエロ雑誌を脇に寄せた。その下から注射器やパケの空き袋が出てきた。佐川も武藤の前であぐらをかく。佐川は転がっていた百円ライターを拾い上げた。
「吸うか? いいネタだぜ」
佐川は大麻をパイプに詰めながら武藤を見た。
「今はいらねえ」
「兄貴、いいネタまわしてくれたぜ」
佐川はライターでパイプの上を焙りながら煙を肺いっぱいに吸い込んだ。しばらく息を止めた後、煙を吐き出すとかぶりを振った。
「かぁ! 効く!」佐川の顔が高揚感で歪んだ。
「このシャブはどのあたりに流すんだ?」
武藤はテーブルの上に置いてある覚せい剤を手に持って見ながら言った。
「とりあえずはこの前の女子高生だな。今のガキは金持ってるし、クスリ回してやるとタダでやらせてくれるし」
佐川はそういって笑った。
「こっちの取り分は?」武藤が訊く。
「一割」
「ちっ、しけてやがらぁ! 危ない橋渡るの俺たちなのによ」
「仕方ないさ。俺たちじゃ、ブツ手に入れられないし」
「でもよ……」武藤は佐川に顔を寄せた。「今のままじゃ、ずっと兄貴にいいように使われるだけだぜ」
「じゃあ、どうするんだよ」
「黒崎の兄貴がやってるように、女をさらって風俗に売るんだ。シャブ漬けにしてな。これが結構金になるらしい。兄貴が夢中になるわけだ」武藤が佐川に顔を寄せた。「実はな、女を売り飛ばすルートが確保できたんだ。後は女をさらって、今までやってきたみたいに漬けるだけだ」
「それって、やばくねえ? 兄貴にばれると殺されるぞ」
「やばいさ。でも、決めたんだろ? 俺たち犯罪で食っていくって。これくらいでビビるなよ。それに、兄貴だって、組に黙って女捌いてるんだ」
「本当か?」
武藤は頷いた。
「まあ、うまくやるさ。任せとけ」
佐川は不安そうに武藤を見たが、すぐに視線を逸らせてテーブルの上の覚せい剤の袋を見た。
「誠にパケ作らせないとな」
佐川が面倒そうに呟いた。
「その女子高生に連絡しろ。取り敢えずはそいつに売れるだけ売ろう」
佐川はゴミの山の中から覚せい剤取引に使っている携帯を探り当てると、登録してある女子高生の番号に電話した。
「もしもし、中村友紀子さん?」
佐川がそう聞くと、電話の向こうの少女がうんと言うのが受話器を通して聞こえてきた。
「エス手に入ったけど、買うかい?」
「きゃぁ! まじ! 買う! 買う! すぐに売ってよ!」
電話の向こうで女子高生がはしゃぎだす声が聞こえてくる。
「金あるか?」
「すぐにダチに連絡して二十万くらい集めるから」
「もうちょっと買ってくんねえかな」
「ええぇ。お金ないよぉ」
「あのね……」
佐川が勿体をつけた。
「実はさぁ……。いつもの売人がパクられちまってさぁ……。次、いつ入るかわかんないのよね。できれば君たちに売ってあげたいんだけどさ。金がないなら他を当たるよ」
「買うよ! 買う! 全部でいくら分あるの?」
「十グラムあるんだ。五十万円分くらいかな。相場じゃグラム六万だから、十万も安いんだぜ」
受話器の向こうで女子高生がうなった。
「わかった。それぐらいなら皆で援交して何とかするから、絶対他には売らないでよ」
「明日までに金つくれる?」
「絶対何とかするから」
「オーケー、じゃあ、明日のこの時間にまた電話するから」
そう言って、佐川は電話を切った。横で武藤がにやりと笑った。今流行りの女子高生だ。あいつ等が気合を入れて身体を売れば金を稼ぐなんてわけないことだろう。あいつ等にシャブを売りまくった後、頃合いを見て裏風俗に落としてやる。武藤が静かに佐川の肩を叩いた。
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