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小高プロデューサーのBS番組『僕の愛車紹介します!』通称愛車紹介。
収録初日はたくさんの花が届いてひろこの楽屋は植物園のような状態になった。
「すっごい花」
ひろこはメイクと着替えをして楽屋に入って来た。
小高の指定していたミニスカートは特にひろこには伝えなかったが何も気にする事なくひろこは短いスカートを履いていた。
「花、これで全部だって。すごいよな」
ひろこに言いながら俺は花の贈り主を全部携帯のメモに入力していた。
大阪で音楽番組に出演していたからかアーティストからの花が多かった。なんでこの人が贈っているの?という人もいた。
「ねぇ、奥のテーブルまでしゃがんで潜らないと来れないよ」
「ひろこ、パンツ見えるぞ」
「大丈夫」
植物で歩くスペースもない。俺は贈り主に電話をするため楽屋から離れた。
「30分くらいで戻るよ」
バタンとドアを閉めると廊下から歩いてくる春くんを見つけた。
「春くん!」
俺に気づくと春くんは笑って会釈をした。
「遊井さん、葉っぱ頭についてますよ」
「葉っぱ?」
春くんはクスクスと笑って頭の葉っぱを取ってくれた。
たかがそれだけの事なのに男の俺でもドキッとした。
「今、音楽番組収録してたんでしょ?さっき秋元さん見たよ」
「そうなんです。もう帰るから。」
「ひろこの楽屋、今植物園だよ。SOULの花も届いてたよ。ありがとう。」
ニコッと笑って春くんはひろこの楽屋に入って行った。
交際は順調。
そんなところだ。
花の贈り主に一件一件お礼の電話をすると何も繋がりがないのに『ただのひろこのファン』で花を送って来たアーティスト、プロデューサー、雑誌編集長が8人もいた事にビックリした。1番おかしいのは最近注目され始めた若きIT社長からの花もあった。
人気商売。
こんなありがたい事はない。
次に仕事に繋がる事に期待をしては電話を切っていた。
「安藤さんのマネージャーさん、遊井さんですよね?」
その夜ひろこを送った後、今日のゲストだったflaverという2人組音楽ユニットの中山さんに西麻布の居酒屋で声をかけられた。
「中山さん!今日はお疲れ様でした。」
春くん達と同じ歳くらいの中山さんは事務所のマネージャーとスタッフらしき男と3人だった。
キャップを横に被り収録の時と同じ格好をしていた。
「ひろこちゃんはいない?ですね」
「帰しました。もう遅いから。」
「でも遊井さんは飲んじゃうんでしょ?」
「飲みますよー!」
ノリの良いお兄ちゃん。
親近感も湧いてでるような中山さんに俺は手を振りこれから来る白部兄との個室に移動しようとした。
「待って。遊井さん。」
中山さんは急に真剣な顔になった。
「ひろこちゃんの連絡先、教えてもらえない?ですよね。」
ふざけてるノリの良いお兄ちゃんだけどひろこを好きになっているのが分かった。
「安藤ですか?いい女でしょう。」
こっちはあえてフランクに返したつもりだったが彼は真面目な顔を変えなかった。
電話番号は教えたくない。
俺は一瞬色々考えて自分の携帯から電話しようと思った。
「今、電話かけるので話しますか?」
夜遅いのにごめんと思いながら、俺はひろこに電話をした。
「あ、ひろこちゃん?」
中山さんは緊張した面持ちで俺の電話でひろこと話し出した。
電話を持たない左手は拳を握っている。秘めた思いを握りしめてるように思えた。
「ひろこちゃんの彼氏、SOULのHARUさんですよね?」
電話を切ったタイミングで俺に言ってきた。
音楽業界なら知ってるだろうと思い俺は頷こうと思ったら白部兄が入ってきた。
「兄!」
俺がとっさに言うと白部兄は笑っていた。
「中山さん、すいません。またゆっくり」
俺は手短に名刺だけ渡して白部兄と個室に入った。
「今の、flaverの人ですよね」
「そうそう。今日収録で一緒だったんですよ。編集長、生にする?」
俺は携帯を机に置いてそそくさとひろこの原稿と写真数枚を渡してビールを頼んだ。
白部兄は渡した写真6枚を並べてゆっくり笑った。
俺は白部兄が人間的にすごく好きだった。
弟の白部くんもだけどこの兄弟はどこか内に秘めた才能みたいなものを揺るぎなく大切にしてじわじわと発揮する。
それがやたら品があって、スマートだった。多分それは育ちの良さからくるものなのだろう。
後からWEB上で調べたらお父さんは新聞社の重役だった。
父親は新聞社。その息子2人は出版社に放送局勤務。
いわずとしれたマスコミ一家。
しかしこんな話は業界内ではよくある事だったがまさかこんなサラブレッドと仕事ができるとは俺も思っていなかった。
「うん。かわいい。写真どれもいいですね。全部載せたいくらい。前回の、赤いヒール履いて体育座りしてるやつ、すごい良かったんですよ。写真いつも遊井さんが撮ってるんですか?」
「俺は撮ってないんだよ」
「ですよね?じゃあHARUさんか」
「分かるの?」
「ひろこちゃん、女の目になりますよね。」
メガネ越しに眩しそうにひろこの写真を見ていた。
「今度、表紙できませんか?ひろこちゃんと支倉大介さんで」
「え?支倉さんと?」
こないだ収録で一緒になったばかりもあってその時の光景を思い出し一瞬吹き出しそうになった。
「支倉さんの方はもう代理店通してるんですけど、この2人なかなかお似合いですよね。ビジュアルもいいし。どおですか?」
白部兄の言葉に納得はあった。
「あんまり言っても遊井さんに期待持たせちゃうみたいで嫌なんだけど、某大手企業も2人の並んだところ、見たがってるんですよ」
「ええ!?」
「そうです。表紙で2人並んだ絵を見てからのCMオファーですよ。」
「受けます受けます!!」
穏やかに笑う白部兄に何か次に繋がればいいと俺は即了承した。
俺たちは西麻布の店を出て広尾方面に向かって歩いた。
白部兄は南麻布、俺は麻布十番の家に帰るのに徒歩で帰るのがお決まりだった。
「遊井さん、ヤバくないですか?安藤ひろこのマネージャーですよ?」
「ヤバイかな。」
「ヤバイですよ。安藤ひろこですよ!」
ほろ酔いで歩くのがなんとも気持ちが良かった。
「遊井さん、ひろこちゃんといすぎてもう他の女の人、キレイとかかわいいとか思えないでしょ。」
俺はハッとした。
確かにそうなっているだろう自分がいたからだ。
収録初日はたくさんの花が届いてひろこの楽屋は植物園のような状態になった。
「すっごい花」
ひろこはメイクと着替えをして楽屋に入って来た。
小高の指定していたミニスカートは特にひろこには伝えなかったが何も気にする事なくひろこは短いスカートを履いていた。
「花、これで全部だって。すごいよな」
ひろこに言いながら俺は花の贈り主を全部携帯のメモに入力していた。
大阪で音楽番組に出演していたからかアーティストからの花が多かった。なんでこの人が贈っているの?という人もいた。
「ねぇ、奥のテーブルまでしゃがんで潜らないと来れないよ」
「ひろこ、パンツ見えるぞ」
「大丈夫」
植物で歩くスペースもない。俺は贈り主に電話をするため楽屋から離れた。
「30分くらいで戻るよ」
バタンとドアを閉めると廊下から歩いてくる春くんを見つけた。
「春くん!」
俺に気づくと春くんは笑って会釈をした。
「遊井さん、葉っぱ頭についてますよ」
「葉っぱ?」
春くんはクスクスと笑って頭の葉っぱを取ってくれた。
たかがそれだけの事なのに男の俺でもドキッとした。
「今、音楽番組収録してたんでしょ?さっき秋元さん見たよ」
「そうなんです。もう帰るから。」
「ひろこの楽屋、今植物園だよ。SOULの花も届いてたよ。ありがとう。」
ニコッと笑って春くんはひろこの楽屋に入って行った。
交際は順調。
そんなところだ。
花の贈り主に一件一件お礼の電話をすると何も繋がりがないのに『ただのひろこのファン』で花を送って来たアーティスト、プロデューサー、雑誌編集長が8人もいた事にビックリした。1番おかしいのは最近注目され始めた若きIT社長からの花もあった。
人気商売。
こんなありがたい事はない。
次に仕事に繋がる事に期待をしては電話を切っていた。
「安藤さんのマネージャーさん、遊井さんですよね?」
その夜ひろこを送った後、今日のゲストだったflaverという2人組音楽ユニットの中山さんに西麻布の居酒屋で声をかけられた。
「中山さん!今日はお疲れ様でした。」
春くん達と同じ歳くらいの中山さんは事務所のマネージャーとスタッフらしき男と3人だった。
キャップを横に被り収録の時と同じ格好をしていた。
「ひろこちゃんはいない?ですね」
「帰しました。もう遅いから。」
「でも遊井さんは飲んじゃうんでしょ?」
「飲みますよー!」
ノリの良いお兄ちゃん。
親近感も湧いてでるような中山さんに俺は手を振りこれから来る白部兄との個室に移動しようとした。
「待って。遊井さん。」
中山さんは急に真剣な顔になった。
「ひろこちゃんの連絡先、教えてもらえない?ですよね。」
ふざけてるノリの良いお兄ちゃんだけどひろこを好きになっているのが分かった。
「安藤ですか?いい女でしょう。」
こっちはあえてフランクに返したつもりだったが彼は真面目な顔を変えなかった。
電話番号は教えたくない。
俺は一瞬色々考えて自分の携帯から電話しようと思った。
「今、電話かけるので話しますか?」
夜遅いのにごめんと思いながら、俺はひろこに電話をした。
「あ、ひろこちゃん?」
中山さんは緊張した面持ちで俺の電話でひろこと話し出した。
電話を持たない左手は拳を握っている。秘めた思いを握りしめてるように思えた。
「ひろこちゃんの彼氏、SOULのHARUさんですよね?」
電話を切ったタイミングで俺に言ってきた。
音楽業界なら知ってるだろうと思い俺は頷こうと思ったら白部兄が入ってきた。
「兄!」
俺がとっさに言うと白部兄は笑っていた。
「中山さん、すいません。またゆっくり」
俺は手短に名刺だけ渡して白部兄と個室に入った。
「今の、flaverの人ですよね」
「そうそう。今日収録で一緒だったんですよ。編集長、生にする?」
俺は携帯を机に置いてそそくさとひろこの原稿と写真数枚を渡してビールを頼んだ。
白部兄は渡した写真6枚を並べてゆっくり笑った。
俺は白部兄が人間的にすごく好きだった。
弟の白部くんもだけどこの兄弟はどこか内に秘めた才能みたいなものを揺るぎなく大切にしてじわじわと発揮する。
それがやたら品があって、スマートだった。多分それは育ちの良さからくるものなのだろう。
後からWEB上で調べたらお父さんは新聞社の重役だった。
父親は新聞社。その息子2人は出版社に放送局勤務。
いわずとしれたマスコミ一家。
しかしこんな話は業界内ではよくある事だったがまさかこんなサラブレッドと仕事ができるとは俺も思っていなかった。
「うん。かわいい。写真どれもいいですね。全部載せたいくらい。前回の、赤いヒール履いて体育座りしてるやつ、すごい良かったんですよ。写真いつも遊井さんが撮ってるんですか?」
「俺は撮ってないんだよ」
「ですよね?じゃあHARUさんか」
「分かるの?」
「ひろこちゃん、女の目になりますよね。」
メガネ越しに眩しそうにひろこの写真を見ていた。
「今度、表紙できませんか?ひろこちゃんと支倉大介さんで」
「え?支倉さんと?」
こないだ収録で一緒になったばかりもあってその時の光景を思い出し一瞬吹き出しそうになった。
「支倉さんの方はもう代理店通してるんですけど、この2人なかなかお似合いですよね。ビジュアルもいいし。どおですか?」
白部兄の言葉に納得はあった。
「あんまり言っても遊井さんに期待持たせちゃうみたいで嫌なんだけど、某大手企業も2人の並んだところ、見たがってるんですよ」
「ええ!?」
「そうです。表紙で2人並んだ絵を見てからのCMオファーですよ。」
「受けます受けます!!」
穏やかに笑う白部兄に何か次に繋がればいいと俺は即了承した。
俺たちは西麻布の店を出て広尾方面に向かって歩いた。
白部兄は南麻布、俺は麻布十番の家に帰るのに徒歩で帰るのがお決まりだった。
「遊井さん、ヤバくないですか?安藤ひろこのマネージャーですよ?」
「ヤバイかな。」
「ヤバイですよ。安藤ひろこですよ!」
ほろ酔いで歩くのがなんとも気持ちが良かった。
「遊井さん、ひろこちゃんといすぎてもう他の女の人、キレイとかかわいいとか思えないでしょ。」
俺はハッとした。
確かにそうなっているだろう自分がいたからだ。
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