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週刊誌
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『そちらに所属の安藤ひろこさんなのですが』
代理店から電話が来た。
言わずと知れた有名アイスクリームメーカーからのCMオファーだった。
「ありがとうございます!」
また俺は前のめりになって代理店と打ち合わせをした。
合わせて、白部兄が言っていた某大手企業とはどこなんだろうと日々思っていた矢先だった。このアイスクリームの事なのだろうか。でも支倉氏と一緒とは代理店は言っていない。これは別の案件だ。
「さすがひろこ。すごいね。」
社長はご満悦だった。
ノリに乗ってこのあと白部兄の大手企業ともCMが決まればもうひろこはグループ会社全部のタレントで3本の指には入る稼ぎ頭だ。
でもひろこはまだまだいけるまだいける。そう思っていた。
「お兄ちゃん?って呼んでもいいんですか?遊井さんがよくお兄ちゃんって言うから」
白部兄を目の前にしてひろこが目をパチパチとさせて言っていた。
「遊井さんは編集長とも兄ともお兄ちゃんとも言うからね。こないだお兄さんって言ってたよ」
「ひろこ!編集長って呼びなさい!」
白部兄目の前にしてひろこは笑っていた。彼もひろこがかわいいのかいつもより穏やかに笑う。
「ひろこちゃーん!何笑ってんの?今日は僕だけ見てよ」
支倉氏がスーツ姿で現れひろこもまた大笑いする。
「はい、2人ともくっつかなくていいから直立不動なかんじで立ってみて。ひろこちゃんもっと右。」
「カメラマンさん、くっついちゃダメなの?俺、ひろこちゃんにくっつきたいんだよ」
「今は、くっつかないで!」
笑いに包まれながらも、撮影は支倉氏の都合もありものの1時間ほどで終わった。
「うん。やっぱりお似合い」
2人が並ぶポラを見て白部兄は頷いている。
「こないだの弟の、SOULのSEIJIさんとの番組見たんですけど、ひろこちゃんってSEIJIさんと並んでもお似合いでしたね。雰囲気あって。」
俺がまさしく思っていた事を白部兄が言った。
「そうそう。そうだよね。俺も思ったんだよ」
「なんか雰囲気ありますよね。支倉さんともいいけどこの中にSEIJIさん入ってもサマになりそう。」
白部兄が嬉しそうにポラを見ている時、俺は気になってる事を聞いた。
「お兄ちゃん、ところでこないだの、気になっちゃってさ。大手企業って何?」
「ビールの会社、だけ言っておこうかな。」
「えええええー!」
俺は絶叫寸前だった。
売れっ子とはこうゆうものかと思った瞬間だった。
大阪の頃とは嘘のようにどんどん仕事が入ってくる。もうオーディションなんて行かない。どんどん声がかかる。
ギャラは跳ね上がり、上積みで提示しても受けてもらえる。飛ぶ鳥を落とす勢いとはよく言ったものだと思った。
いい事が続くと嫌な事も入ってくるものだ。浮き足立つのはやめようと思っていた矢先に俺宛に事務所で1枚のFAXが届いた。
机の上に置かれたFAXには春くんとキスする瞬間のドラマのワンシーンさながらのような写真と誰だか分からない男とひろこが公園らしきところで抱き合ってる写真だった。
『弊社記者がこちらの写真を所有しております。安藤ひろこさんの交際相手と兼ねてから噂されておりますSOULのHARUさんと一般人の男性でしょうか。期日までにご回答宜しくお願い申し上げます』
まるで脅迫文のようだった。
俺は震える手のまま社長にそのFAXを見せた。
しばらく黙っている社長にもうかける声がなかった。
ひろこにはずっとついていたハズだ。休みは1日もなかった。
春くんは分かるとして一般人だか分からない男は誰なんだと回想した。
2度、地元の病院へ送った事がある。あの帰りかとふと思い出していた。
「ひろこ、モテるねぇ。いい女だからしょうがないか。でも2人はヤバイね。」
FAXを見ながら社長はやっと声を発した。
「バーター、出してもいくらかお金取られるかもね。」
「俺の監視不足です。申し訳ありません。今後はもっと監視します。」
俺は頭を下げたら社長はいいよ、と言った。
「ひろこ、稼いでるから。またCM決まりそうなんでしょ?ひろこにはもっと稼いでもらうから。でも監視は完璧にしててよ」
想像以上にお咎めを食らわなかったのが意外だった。
事務所に朝からひろこを連れて来て写真を2枚見せた。
「2枚ってどうゆう事だよ」
多分金融の取立てみたいな言い方だったかもしれない。ひろこは2枚の写真を見て硬直していた。すると涙がポタリと写真に落ちた。
「ひろこ、泣くな」
社長が見るに見かねたのかひろこの肩を叩いた。
「HARUくんとこと、どうにかして潰すから。」
泣いたままのひろこがかわいそうに思えたのか社長はそのままひろこの肩をさすった。
「HARUくんだけなら超絶スクープだけど、一般人とも撮られたらひろこのイメージはガタ落ちだからな」
「・・ごめん、なさい」
ひろこは下を見て絞り出すかのようなか細い声で言った。
「この、一般人は誰だ?地元の友達か?」
「・・有月、慶」
ケイだ。
ひろこが大阪行くきっかけとなった失恋の相手だ。俺はすぐさま思い出した。
「この子の電話番号教えて。一般人だから目に帯は入るけど、写真に撮られましたよ、うちの事務所は記事潰すから心配しないでくださいね、って確認しなきゃならない」
「・・そうなの?」
「ひろこは来なくていいから、俺1人で今日会ってくるよ」
「春は?春の事務所は並行して慶との記事も知るの?」
「これ、セットで来てるから。そのままSOULにも認知されるよ」
俺もこれがキツかった。
ひろこもさすがに2枚も撮られたとは思っても見なかっただろう。
このケイとの写真を見て春くんがどう思うか。そこだった。
代理店から電話が来た。
言わずと知れた有名アイスクリームメーカーからのCMオファーだった。
「ありがとうございます!」
また俺は前のめりになって代理店と打ち合わせをした。
合わせて、白部兄が言っていた某大手企業とはどこなんだろうと日々思っていた矢先だった。このアイスクリームの事なのだろうか。でも支倉氏と一緒とは代理店は言っていない。これは別の案件だ。
「さすがひろこ。すごいね。」
社長はご満悦だった。
ノリに乗ってこのあと白部兄の大手企業ともCMが決まればもうひろこはグループ会社全部のタレントで3本の指には入る稼ぎ頭だ。
でもひろこはまだまだいけるまだいける。そう思っていた。
「お兄ちゃん?って呼んでもいいんですか?遊井さんがよくお兄ちゃんって言うから」
白部兄を目の前にしてひろこが目をパチパチとさせて言っていた。
「遊井さんは編集長とも兄ともお兄ちゃんとも言うからね。こないだお兄さんって言ってたよ」
「ひろこ!編集長って呼びなさい!」
白部兄目の前にしてひろこは笑っていた。彼もひろこがかわいいのかいつもより穏やかに笑う。
「ひろこちゃーん!何笑ってんの?今日は僕だけ見てよ」
支倉氏がスーツ姿で現れひろこもまた大笑いする。
「はい、2人ともくっつかなくていいから直立不動なかんじで立ってみて。ひろこちゃんもっと右。」
「カメラマンさん、くっついちゃダメなの?俺、ひろこちゃんにくっつきたいんだよ」
「今は、くっつかないで!」
笑いに包まれながらも、撮影は支倉氏の都合もありものの1時間ほどで終わった。
「うん。やっぱりお似合い」
2人が並ぶポラを見て白部兄は頷いている。
「こないだの弟の、SOULのSEIJIさんとの番組見たんですけど、ひろこちゃんってSEIJIさんと並んでもお似合いでしたね。雰囲気あって。」
俺がまさしく思っていた事を白部兄が言った。
「そうそう。そうだよね。俺も思ったんだよ」
「なんか雰囲気ありますよね。支倉さんともいいけどこの中にSEIJIさん入ってもサマになりそう。」
白部兄が嬉しそうにポラを見ている時、俺は気になってる事を聞いた。
「お兄ちゃん、ところでこないだの、気になっちゃってさ。大手企業って何?」
「ビールの会社、だけ言っておこうかな。」
「えええええー!」
俺は絶叫寸前だった。
売れっ子とはこうゆうものかと思った瞬間だった。
大阪の頃とは嘘のようにどんどん仕事が入ってくる。もうオーディションなんて行かない。どんどん声がかかる。
ギャラは跳ね上がり、上積みで提示しても受けてもらえる。飛ぶ鳥を落とす勢いとはよく言ったものだと思った。
いい事が続くと嫌な事も入ってくるものだ。浮き足立つのはやめようと思っていた矢先に俺宛に事務所で1枚のFAXが届いた。
机の上に置かれたFAXには春くんとキスする瞬間のドラマのワンシーンさながらのような写真と誰だか分からない男とひろこが公園らしきところで抱き合ってる写真だった。
『弊社記者がこちらの写真を所有しております。安藤ひろこさんの交際相手と兼ねてから噂されておりますSOULのHARUさんと一般人の男性でしょうか。期日までにご回答宜しくお願い申し上げます』
まるで脅迫文のようだった。
俺は震える手のまま社長にそのFAXを見せた。
しばらく黙っている社長にもうかける声がなかった。
ひろこにはずっとついていたハズだ。休みは1日もなかった。
春くんは分かるとして一般人だか分からない男は誰なんだと回想した。
2度、地元の病院へ送った事がある。あの帰りかとふと思い出していた。
「ひろこ、モテるねぇ。いい女だからしょうがないか。でも2人はヤバイね。」
FAXを見ながら社長はやっと声を発した。
「バーター、出してもいくらかお金取られるかもね。」
「俺の監視不足です。申し訳ありません。今後はもっと監視します。」
俺は頭を下げたら社長はいいよ、と言った。
「ひろこ、稼いでるから。またCM決まりそうなんでしょ?ひろこにはもっと稼いでもらうから。でも監視は完璧にしててよ」
想像以上にお咎めを食らわなかったのが意外だった。
事務所に朝からひろこを連れて来て写真を2枚見せた。
「2枚ってどうゆう事だよ」
多分金融の取立てみたいな言い方だったかもしれない。ひろこは2枚の写真を見て硬直していた。すると涙がポタリと写真に落ちた。
「ひろこ、泣くな」
社長が見るに見かねたのかひろこの肩を叩いた。
「HARUくんとこと、どうにかして潰すから。」
泣いたままのひろこがかわいそうに思えたのか社長はそのままひろこの肩をさすった。
「HARUくんだけなら超絶スクープだけど、一般人とも撮られたらひろこのイメージはガタ落ちだからな」
「・・ごめん、なさい」
ひろこは下を見て絞り出すかのようなか細い声で言った。
「この、一般人は誰だ?地元の友達か?」
「・・有月、慶」
ケイだ。
ひろこが大阪行くきっかけとなった失恋の相手だ。俺はすぐさま思い出した。
「この子の電話番号教えて。一般人だから目に帯は入るけど、写真に撮られましたよ、うちの事務所は記事潰すから心配しないでくださいね、って確認しなきゃならない」
「・・そうなの?」
「ひろこは来なくていいから、俺1人で今日会ってくるよ」
「春は?春の事務所は並行して慶との記事も知るの?」
「これ、セットで来てるから。そのままSOULにも認知されるよ」
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ひろこもさすがに2枚も撮られたとは思っても見なかっただろう。
このケイとの写真を見て春くんがどう思うか。そこだった。
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