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カレンダーは12月28日。
年内も残り走り続ける事あと4日。
「安藤さんのCMの件ですが、先方と話しまして、ご結婚されても出演OKとの返事を頂きました。その場合4月からの出演になります。如何でしょうか。」
土台は作れた。
あとは社長だけだ。今日の夜にでも社長に相談しようと思っていたら白部兄からメールが来ていた。
『夜、西麻布でお会いできませんか?』
白部兄からの誘い。
これは何かあると思って俺は社長を明日に、先に白部兄に会おうと思った。
また白部兄が何か案件を握っていたりして、それと併せて社長に話すのも話が上底になりいいなと踏んだからだ。
年末の西麻布は通りすがる人みんな酒の匂いがする。
俺と白部兄は夜の23時にいつもの西麻布の店で待ち合わせをした。
こんな時間から個室で飲んでも歩いて自宅に帰れる距離。
西麻布はいつも特別な時間を与えてくれるようで好きな場所だった。
「編集長おつかれさまです!」
白部兄はコートを脱いで笑いながら座敷に座った。
「弟から、聞きましたよ。結婚するんですか?」
俺は固く頷いた。
「はぁぁぁ。僕もショックです。世の男は脱力すると思いますよ。でも相手が相手だから文句は言えないけど。」
ビールが出てきて2人で乾杯した。
「すっごい美人とすっごいブスは結婚が早いって知ってます?」
白部兄はビールを置いて話した。
「すっごい美人は美しすぎて、誰にも取られたくないから男がすぐにかっさらって結婚する。逆にすっごいブスは自分の劣度を理解してるから、早くから結婚してくれる男を探しておいて早めに結婚する。」
一理ある話に俺は黙って聞いた。
「弟から、年始特番に視聴率の良かった2人をゲストにして出すって聞いてそれが支倉さんとSEIJIさんって聞いてます。それなんですけど、」
「あ、なんかそれ聞いたよ。視聴率良かったの、支倉くんだけどもう1人はやっぱり聖司くんなんだね。」
以前から2人の間で話していたこの3人の並びに俺も思い出して相槌を打った。
「何?お兄ちゃん、また何か教えてくれるの?」
白部兄は含みを持たせていやいやと笑っていた。
「期待、持たせるのも悪いからなぁ。聞いた話、ですよ。」
「言って言って!何何!」
俺は楽しみになって前のめりで聞いた。
「この3人でCM、で、この3人で音楽討論番組ってすごくないですか?」
「えええー!」
これはすごい。金になる。しかも3人で番組ができるかもなんて想像しただけでかっこよかった。
「ただ、音楽に精通してる男2人はいいんですよ。ひろこちゃんは大阪で音楽番組の司会をやっていた、じゃ弱いかも。ならHARUさんと結婚すればボーカリストの嫁って立ち位置。それがまたいいと思うんですけどね。この仕事が現実になって受けるなら。」
俺は白部兄の神がかった情報に何か強い力みたいな追い風を得た気がした。
『年末で、遊井さんゆっくり会えませんね。明日夜いつもの店で仕事後に会えませんか?』
秋元さんのメールに今日の夜会うと約束をした。お互い、吉報を抱えて会えるのかは不安だった。
「・・・」
「・・・・」
社長に春くんがすぐにでも結婚したい意思があると話すと社長は黙っていた。
アイスのCMも結婚すればGOが出ること、ボーカリストの嫁になって音楽評論番組に支倉氏と聖司くんと出る事。
まだハッキリしていない話なのに、俺は少しどころかかなり盛って社長に話した。
「ひろこは?ひろこはすぐに結婚したいの?」
「はい。多分春くんからプロポーズされたらすぐ受けると思います。」
「分かんないよ?ひろこはあと1年結婚するの待ってとか言うかもよ?」
「それはないと思います。春くんがすぐ入籍させると思いますよ。」
「・・・」
社長はもう無言だった。
俺もそうだった。気持ちは分かる。
社長も、ひろこが一番大事だったんだ。
「ここからは、あっちの社長と2人で話してもいい?」
そう言って携帯を取り出した。
頼む、話に折り合いがつきますように。
俺は心の中で願いながら社長室を出て秋元さんに会いに行った。
「遊井さぁん!!」
「秋元さん!!」
俺たちは店の前で会うと抱き合った。
通りすがりの人から見ればゲイだと思われたかもしれない。でもそんな事はお構いなしに抱き合っていた。
なんだか分からなかったけど、もうお互い同じ立場で話したい事、いいたい事が山積みにあり何から話していいのか分からなくなった。
お互いの存在意義を確認するようで、自分の立場が分かるのはもはや秋元さんしかいなかったからだ。
「ずっと話したかったんですよ!今日はとことん話し合いましょう!」
秋元さんも同じ気持ちだった。
今日、うちの社長と秋元さんとこの社長が2人で飯を食べに行ったと聞いた。
多分、その結果だろう。
「うちの社長は、ファンクラブ数もかなり増えたしもう結婚させてもいいよって。それは他のメンバーにもファンはついてるし。春くんが歌えなくなる方が困るって。SOULはアイドルじゃないから。でもひろこちゃんはキツいでしょう。」
「キツいも何も、、」
俺は苦労話しをとことん語った。
アイスのCMにまだ未完成な音楽評論番組出演を盛って話した事。そしてひろこを春くんに結婚させようと決めた自分の気持ち。
頷きながら、理解してくれるのはもうこの人しかいないんだと思いながら。
「年始、元旦から三が日休み。ひろこちゃんもでしょ?この3日間で2人は動くと思いますよ。」
「入籍、ですよね。」
「いや、春くんのことだから引越しも入籍も済ませそう。」
たった今、日付変わって12月30日。
あと5日以内か、と思った。
年内も残り走り続ける事あと4日。
「安藤さんのCMの件ですが、先方と話しまして、ご結婚されても出演OKとの返事を頂きました。その場合4月からの出演になります。如何でしょうか。」
土台は作れた。
あとは社長だけだ。今日の夜にでも社長に相談しようと思っていたら白部兄からメールが来ていた。
『夜、西麻布でお会いできませんか?』
白部兄からの誘い。
これは何かあると思って俺は社長を明日に、先に白部兄に会おうと思った。
また白部兄が何か案件を握っていたりして、それと併せて社長に話すのも話が上底になりいいなと踏んだからだ。
年末の西麻布は通りすがる人みんな酒の匂いがする。
俺と白部兄は夜の23時にいつもの西麻布の店で待ち合わせをした。
こんな時間から個室で飲んでも歩いて自宅に帰れる距離。
西麻布はいつも特別な時間を与えてくれるようで好きな場所だった。
「編集長おつかれさまです!」
白部兄はコートを脱いで笑いながら座敷に座った。
「弟から、聞きましたよ。結婚するんですか?」
俺は固く頷いた。
「はぁぁぁ。僕もショックです。世の男は脱力すると思いますよ。でも相手が相手だから文句は言えないけど。」
ビールが出てきて2人で乾杯した。
「すっごい美人とすっごいブスは結婚が早いって知ってます?」
白部兄はビールを置いて話した。
「すっごい美人は美しすぎて、誰にも取られたくないから男がすぐにかっさらって結婚する。逆にすっごいブスは自分の劣度を理解してるから、早くから結婚してくれる男を探しておいて早めに結婚する。」
一理ある話に俺は黙って聞いた。
「弟から、年始特番に視聴率の良かった2人をゲストにして出すって聞いてそれが支倉さんとSEIJIさんって聞いてます。それなんですけど、」
「あ、なんかそれ聞いたよ。視聴率良かったの、支倉くんだけどもう1人はやっぱり聖司くんなんだね。」
以前から2人の間で話していたこの3人の並びに俺も思い出して相槌を打った。
「何?お兄ちゃん、また何か教えてくれるの?」
白部兄は含みを持たせていやいやと笑っていた。
「期待、持たせるのも悪いからなぁ。聞いた話、ですよ。」
「言って言って!何何!」
俺は楽しみになって前のめりで聞いた。
「この3人でCM、で、この3人で音楽討論番組ってすごくないですか?」
「えええー!」
これはすごい。金になる。しかも3人で番組ができるかもなんて想像しただけでかっこよかった。
「ただ、音楽に精通してる男2人はいいんですよ。ひろこちゃんは大阪で音楽番組の司会をやっていた、じゃ弱いかも。ならHARUさんと結婚すればボーカリストの嫁って立ち位置。それがまたいいと思うんですけどね。この仕事が現実になって受けるなら。」
俺は白部兄の神がかった情報に何か強い力みたいな追い風を得た気がした。
『年末で、遊井さんゆっくり会えませんね。明日夜いつもの店で仕事後に会えませんか?』
秋元さんのメールに今日の夜会うと約束をした。お互い、吉報を抱えて会えるのかは不安だった。
「・・・」
「・・・・」
社長に春くんがすぐにでも結婚したい意思があると話すと社長は黙っていた。
アイスのCMも結婚すればGOが出ること、ボーカリストの嫁になって音楽評論番組に支倉氏と聖司くんと出る事。
まだハッキリしていない話なのに、俺は少しどころかかなり盛って社長に話した。
「ひろこは?ひろこはすぐに結婚したいの?」
「はい。多分春くんからプロポーズされたらすぐ受けると思います。」
「分かんないよ?ひろこはあと1年結婚するの待ってとか言うかもよ?」
「それはないと思います。春くんがすぐ入籍させると思いますよ。」
「・・・」
社長はもう無言だった。
俺もそうだった。気持ちは分かる。
社長も、ひろこが一番大事だったんだ。
「ここからは、あっちの社長と2人で話してもいい?」
そう言って携帯を取り出した。
頼む、話に折り合いがつきますように。
俺は心の中で願いながら社長室を出て秋元さんに会いに行った。
「遊井さぁん!!」
「秋元さん!!」
俺たちは店の前で会うと抱き合った。
通りすがりの人から見ればゲイだと思われたかもしれない。でもそんな事はお構いなしに抱き合っていた。
なんだか分からなかったけど、もうお互い同じ立場で話したい事、いいたい事が山積みにあり何から話していいのか分からなくなった。
お互いの存在意義を確認するようで、自分の立場が分かるのはもはや秋元さんしかいなかったからだ。
「ずっと話したかったんですよ!今日はとことん話し合いましょう!」
秋元さんも同じ気持ちだった。
今日、うちの社長と秋元さんとこの社長が2人で飯を食べに行ったと聞いた。
多分、その結果だろう。
「うちの社長は、ファンクラブ数もかなり増えたしもう結婚させてもいいよって。それは他のメンバーにもファンはついてるし。春くんが歌えなくなる方が困るって。SOULはアイドルじゃないから。でもひろこちゃんはキツいでしょう。」
「キツいも何も、、」
俺は苦労話しをとことん語った。
アイスのCMにまだ未完成な音楽評論番組出演を盛って話した事。そしてひろこを春くんに結婚させようと決めた自分の気持ち。
頷きながら、理解してくれるのはもうこの人しかいないんだと思いながら。
「年始、元旦から三が日休み。ひろこちゃんもでしょ?この3日間で2人は動くと思いますよ。」
「入籍、ですよね。」
「いや、春くんのことだから引越しも入籍も済ませそう。」
たった今、日付変わって12月30日。
あと5日以内か、と思った。
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