マネージャーの苦悩

みのりみの

文字の大きさ
31 / 36

3つの約束

しおりを挟む
「大晦日の日に届くように俺とひろこに石岡さんが小川軒のお節送ってくれたみたいだよ。あとでお礼の電話しろよ」

「えー本当に送ってくれたんだ!」

ひろこが髪をセットしてもらう横で俺はスケジュールの確認をしながら言った。

『あの子、本当にキラキラしているね。俺も忘れられないよ。』

電話口で言った大御所の目は節穴ではなかった。
今のひろこはかわいさMAX。
俺はそう確信していた。なので今のうちにと忙しい中わざわざ宣材まで取り直した。

TVには歌番組恒例の年末の総集編番組の再放送が流れ年末の慌ただしさを感じる中SOULの4人が映った。
『大阪の鶴橋って韓国街に行った事ありますよ』
『韓国街?なんで?でも街に出ると騒がれちゃって大変でしょ?』
『いや、マスク外しても誰にも声かけられませんでしたよ。韓国街いいですよね。』

ひろこは無言で見てはクスリと笑う。
TVの中のトークにも自分には記憶がある話、眩しそうに見ていた。その横顔を見て俺はどことなくホッとしていたのが分かった。

「ひろこさ、年始のひろこの番組なんだけど、視聴率良かった2人ゲストだって」
「2人?」
「支倉さんと聖司くん」
アッハッハとひろこは笑った。

「ねぇ、あの2人と一緒?あ、でも面白いかも」

もう今日と明日で年内は終わり。

カウントダウン番組の司会で仕事納め。
ろくに寝れていない、疲れていたりする中、ひろこはどこかテンションは高かった。


「社長と今日ですか?」
「こちらは僕と春でお伺いします。急で大変申し訳ないのですが、お時間押さえられますか?大丈夫ですか?」

秋元さんから連絡があった。
朝から晩までひろこについて忙しくしていたが、今日なら23時に俺と社長は事務所にいると話したら今日行くと言う。
ひろこも同席させようかと聞くとひろこはいいと。
俺はもう予感がした。


その時代理店から電話があった。
あの、アイスのCMでやり取りのあった代理店だった。

「安藤ひろこさんですが、4月からBSで音楽討論番組のレギュラー出演の案件があります。支倉大介さん、SOUL聖司さんとの3人での進行になります。ゲストなし。あくまで3人でのご出演です。」

来た!と思って俺は電話にくらいついた。

「お願いします!!詳細、一度メールで全て送って頂けますか?」

俺は確定したその音楽討論番組を胸に抱いた。

夜23時に春くんと秋元さんがうちの事務所に来るのに俺はひろこの送りが遅くなり着いたのは23時は半を回っていた。
急いで社長室に入ると春くんは仕事帰りのスーツ姿で来ていた。

扉を開けた瞬間、俺は緊張が走った。
なんて話してたんだろう。

「遅れて申し訳ありません。」
「遊井、遅いよ。もう話終わったから」
「え?・・・」

秋元さんも春くんも少し冷静になりながら失礼しますと帰って行った。

結果は春くんに社長が結婚にあたり約束事を3つしたそうだ。

1つはメディアでひろこの話は絶対しない
2つ目はひろこと5年は子供を作らない
3つ目は、ひろこを泣かせて傷物にしたらいくら春くんでも殺すと言ったそうだ。

3つ目を聞いた時、社長がどんなにひろこを大事に思っているかを知った。

みんな、同じ気持ちなんだ。



泣いても笑っても年内最後。仕事納めだ。そんな大晦日の午前中に春くんから着信があった。
ひろこも夕方からのカウントダウン番組のリハで朝からバタバタとする中、春くんも紅白のリハで忙しいだろうそんな最中に。

「今日仕事終わったらひろこと帰ってもいいですか?うちの事務所の車で。まだひろこには言ってないんですけど元旦の朝なんて記者はいないし」

「番組終わるの3時くらいで簡単な打ち上げやったら4時とかになるよ。春くん大丈夫?」

「僕達も打ち上げでそのくらいになりそうです。地下駐車場で拾いますね。」

ずいぶん落ち着いた様子の春くんだった。正月休みだしひろこを独占したいのだろう。

「最近忙しくてひろこ、あんまり飯食ってないんだよ。2キロは痩せたよ。休み中にひろこに何か美味しいもの食べさせてやってくれないか。」

「遊井さん、ひろこのお父さんみたいですね。」

「そうだよ。親の気持ちにもなるよ。」

2人で笑いあって電話を切った。

ひろこの仕事はじめは4日の事務所挨拶から。
その翌日にはひろこの持ち番組の年始特番、聖司くんと支倉大介との収録が待っていた。
春くんには休み中、と言った。このせっかくの正月三が日くらいはふたりきりにしてあげたいなと思った。なんと東京にひろこが戻ってから3日も2人で休みが取れる事はなかった。

「遊井さん、6F行ってもいい?」

ロケ弁も5分くらいで手をつけると残したままひろこはお決まりの衣装へ走って行き、ものの10分くらいで戻って来た。

「買ったのか?」
「うん。ワンピース3枚!しかも安くしてくれた」

顔が女子。

3枚のワンピースは三が日、春くんと過ごすつもりで買ったのだろう。
春くんは何もひろこには言ってなくても、ひろこも春くんと過ごすつもりなんだと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...