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34,ヴィークの下心
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やっとエリィが学園に入学してくる!
その日は朝から気分上々だった。
入学式を終えた新入生の中で一際目を引く少女がいた。小さいのに目立っている。オーラが他の者とは違うのですぐにわかる。
(いた。エリィだ。制服姿もすごく可愛いな。今日は少し緊張してる?)
「エリィ!入学おめでとう!これからオリエンテーションだよね?」
「えぇ」
「ではその後、高等部を案内するよ。」
と言うと、
「いえ、学園は私が案内しますよ。先に約束しましたし。」
カイルが割って入ってきた。
(またカイルか。でもここは負けるわけにはいかないな。)
「そうなのか?でも高等部なら私の方が詳しいと思うよ。」
「じゃあ3人で行きましょうよ。」
…まさかの提案。
「あぁそうだな。」
カイルが頷く。これでは私が心が狭いみたいじゃないか。仕方ない、3人で行くか。
オリエンテーションが終るくらいの時間にエリィのクラス行くと、すでにエリィがいなかった。カイルの姿も見えない。
学園を探していると仲良く歩いている姿を発見する。
(距離が近いな。エリィ、そんな顔を私以外の人に見せないで。私だけを見てほしいのに。もしかしてエリィはカイルのことが好きなのか?)
少し泣きそうになりながら、声をかける。
「エリィ、こんなところにいたんだね。」
「ヴィーク!どこで合流するのかと思っていたのよ。忙しいところごめんね。」
私の声に振り返ったエリィの笑顔を見ると、さっきまで感じていた黒い感情は霧散した。
思わずカイルを見ると、バツが悪そうに目をそらされた。
まぁいい、こっちにも考えがある。
学園内の案内を終え、帰ろうとするエリィを帰り道だから一緒に帰ろうと誘い、無理矢理一緒に帰る。
やっと二人になれた。
「エリィ、もしよかったらお昼は一緒に食べない?」
と誘ってみる。
エリィは快諾してくれたが、きっとそこに下心があるなんて微塵も思ってないんだろうな。
馬車の中、誰にも邪魔されない二人の時間はとても幸せな時間だ。
エリィ可愛い。抱き締めたい。そんな欲求が強くなってくる。好きだと認識してからはこの気持ちが抑えきれない。
エリィにそろそろ言わないといけないな、と思い本名を言う。言ってしまったら何かが変わってしまうかもしれないと今までできなかったのだ。
しかしそんな不安は無駄なものだった。
今まで通りにしてほしいという私に、
「どうして変える必要があるの?」
と言ってくれた。それは第二王子としての私ではなく私という個人を見てくれているようでとても嬉しかった。
家にはすぐに着いてしまう。
(この時間がもっと続けばいいのに。)
先に降りてエスコートをする。
「私は社交的ではないから、お昼のお誘いはとても嬉しかったわ。ありがとうヴィーク。」
そう言うエリィを思わず抱き締めていた。
(エリィ、エリィ、エリィ。大好きだ。)
抱き締めるととてもいい香りがする。
小さくて私の腕の中にすっぽり入ってしまうエリィは、とんでもなく柔らかい。この生物はなんなのだ。
「エリィいい匂いがする。」
「恥ずかしいわよ、ヴィーク。匂いを嗅がないでよ。」
その言葉にはっと我に返る。
(まずい。世界に入ってしまった。ゴメンね、エリィ。嫌いにならないで。)
そう思いながらエリィの髪を撫でる。
「また明日ね。」
と言うことしかできなかった。
◆
翌日、予約した個室でエリィを待っていたら、カイルも一緒にやってきた。
(なんでお前が来るんだよ!)
と目で言うとカイルも、
(二人きりになんてさせませんよ。)
と目で言ってくる。
少し興が醒めたがあんまり雰囲気を悪くするとエリィが可哀相だから、大人になろうではないか。
「エリィは何を食べる?」
「えっと軽いものがいいわね。」
「軽いもの?」
「ここでは何が食べられるの?」
「これがメニューだよ。」
「えっと…、コース料理なの?」
「貴族向けはこんな感じだよ。」
とメニューを渡すと少し悩んで
「ヴィークと同じものにするわ。」
と言った。
エリィと同じものを食べられるなんて嬉しいな。
そう言えば一緒に食事をするのは初めてだ。
食事をしているエリィも可愛いな。
そして所作が美しい。
そう思って見ていたのだか、メインにはほとんど口をつけない。
「もしかして口に合わなかったかな?」
不安に思い聞いてみる。
「違うの、なんかもうお腹いっぱいになっちゃって。」
(本当か?!スープとパンとサラダしか食べてないじゃないか!しかもサラダも半分くらい残ってるし!それでお腹いっぱいなの?)
「屋敷では夜しっかりしたメニューが出てくるから、お昼は簡単なもので済ませていの。」
あぁそういうことか。
「確かに騎士はお腹が空くからな。」
「そうなの。みんなすごい食べるなーって思っていたけど、男の人ってみんなそうなのね。ふふっ。」
「なにかおかしかった?」
「ううん、いい食べっぷりだなぁって思ったの。」
「はは。成長期だからね。エリィももっと食べないと大きくなれないよ?」
「うっ、私これでも子供の頃から毎日牛乳だけは飲んでいたのにどうして大きくなれないのかしら。…でも今日はもういいわ。」
(それは多分胸にいったのでは?)
視線がどうしても胸にいってしまう。
エリィって小さいのに胸が大きくて、昨日抱き締めた時なんて小さくて柔らかいその身体に興奮してしまった。
そんなことを思い出しているとカイルもエリィの胸を見ているのに気がつき、何見てるんだよ、と睨む。
その日は朝から気分上々だった。
入学式を終えた新入生の中で一際目を引く少女がいた。小さいのに目立っている。オーラが他の者とは違うのですぐにわかる。
(いた。エリィだ。制服姿もすごく可愛いな。今日は少し緊張してる?)
「エリィ!入学おめでとう!これからオリエンテーションだよね?」
「えぇ」
「ではその後、高等部を案内するよ。」
と言うと、
「いえ、学園は私が案内しますよ。先に約束しましたし。」
カイルが割って入ってきた。
(またカイルか。でもここは負けるわけにはいかないな。)
「そうなのか?でも高等部なら私の方が詳しいと思うよ。」
「じゃあ3人で行きましょうよ。」
…まさかの提案。
「あぁそうだな。」
カイルが頷く。これでは私が心が狭いみたいじゃないか。仕方ない、3人で行くか。
オリエンテーションが終るくらいの時間にエリィのクラス行くと、すでにエリィがいなかった。カイルの姿も見えない。
学園を探していると仲良く歩いている姿を発見する。
(距離が近いな。エリィ、そんな顔を私以外の人に見せないで。私だけを見てほしいのに。もしかしてエリィはカイルのことが好きなのか?)
少し泣きそうになりながら、声をかける。
「エリィ、こんなところにいたんだね。」
「ヴィーク!どこで合流するのかと思っていたのよ。忙しいところごめんね。」
私の声に振り返ったエリィの笑顔を見ると、さっきまで感じていた黒い感情は霧散した。
思わずカイルを見ると、バツが悪そうに目をそらされた。
まぁいい、こっちにも考えがある。
学園内の案内を終え、帰ろうとするエリィを帰り道だから一緒に帰ろうと誘い、無理矢理一緒に帰る。
やっと二人になれた。
「エリィ、もしよかったらお昼は一緒に食べない?」
と誘ってみる。
エリィは快諾してくれたが、きっとそこに下心があるなんて微塵も思ってないんだろうな。
馬車の中、誰にも邪魔されない二人の時間はとても幸せな時間だ。
エリィ可愛い。抱き締めたい。そんな欲求が強くなってくる。好きだと認識してからはこの気持ちが抑えきれない。
エリィにそろそろ言わないといけないな、と思い本名を言う。言ってしまったら何かが変わってしまうかもしれないと今までできなかったのだ。
しかしそんな不安は無駄なものだった。
今まで通りにしてほしいという私に、
「どうして変える必要があるの?」
と言ってくれた。それは第二王子としての私ではなく私という個人を見てくれているようでとても嬉しかった。
家にはすぐに着いてしまう。
(この時間がもっと続けばいいのに。)
先に降りてエスコートをする。
「私は社交的ではないから、お昼のお誘いはとても嬉しかったわ。ありがとうヴィーク。」
そう言うエリィを思わず抱き締めていた。
(エリィ、エリィ、エリィ。大好きだ。)
抱き締めるととてもいい香りがする。
小さくて私の腕の中にすっぽり入ってしまうエリィは、とんでもなく柔らかい。この生物はなんなのだ。
「エリィいい匂いがする。」
「恥ずかしいわよ、ヴィーク。匂いを嗅がないでよ。」
その言葉にはっと我に返る。
(まずい。世界に入ってしまった。ゴメンね、エリィ。嫌いにならないで。)
そう思いながらエリィの髪を撫でる。
「また明日ね。」
と言うことしかできなかった。
◆
翌日、予約した個室でエリィを待っていたら、カイルも一緒にやってきた。
(なんでお前が来るんだよ!)
と目で言うとカイルも、
(二人きりになんてさせませんよ。)
と目で言ってくる。
少し興が醒めたがあんまり雰囲気を悪くするとエリィが可哀相だから、大人になろうではないか。
「エリィは何を食べる?」
「えっと軽いものがいいわね。」
「軽いもの?」
「ここでは何が食べられるの?」
「これがメニューだよ。」
「えっと…、コース料理なの?」
「貴族向けはこんな感じだよ。」
とメニューを渡すと少し悩んで
「ヴィークと同じものにするわ。」
と言った。
エリィと同じものを食べられるなんて嬉しいな。
そう言えば一緒に食事をするのは初めてだ。
食事をしているエリィも可愛いな。
そして所作が美しい。
そう思って見ていたのだか、メインにはほとんど口をつけない。
「もしかして口に合わなかったかな?」
不安に思い聞いてみる。
「違うの、なんかもうお腹いっぱいになっちゃって。」
(本当か?!スープとパンとサラダしか食べてないじゃないか!しかもサラダも半分くらい残ってるし!それでお腹いっぱいなの?)
「屋敷では夜しっかりしたメニューが出てくるから、お昼は簡単なもので済ませていの。」
あぁそういうことか。
「確かに騎士はお腹が空くからな。」
「そうなの。みんなすごい食べるなーって思っていたけど、男の人ってみんなそうなのね。ふふっ。」
「なにかおかしかった?」
「ううん、いい食べっぷりだなぁって思ったの。」
「はは。成長期だからね。エリィももっと食べないと大きくなれないよ?」
「うっ、私これでも子供の頃から毎日牛乳だけは飲んでいたのにどうして大きくなれないのかしら。…でも今日はもういいわ。」
(それは多分胸にいったのでは?)
視線がどうしても胸にいってしまう。
エリィって小さいのに胸が大きくて、昨日抱き締めた時なんて小さくて柔らかいその身体に興奮してしまった。
そんなことを思い出しているとカイルもエリィの胸を見ているのに気がつき、何見てるんだよ、と睨む。
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