積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと

文字の大きさ
75 / 78

75,ヴィークの幸福

(ヴィーク目線)


エリィの誤解が無事に溶けてよかった。
ジュエル王女との結婚なんて冗談じゃない。

まったく、とんだ置き土産を残してくれたものだ。
もうこの国にきても相手をするのは止めておこう。エリィにまた変な誤解をされでもしたら大変だからな。

後期に入り、少しずつ距離を詰めることができたと思う。もっと近づきたいが、嫌われでもしたら悲しい。慎重に行かなくては。
なんといってもライバルが多いからな。

そんなある日、生徒会の仕事が終わらず遅くまでエリィと残って仕事をしていた。
集中していて気が付かなかったが、落雷の音で外が嵐になっていることに気がついた。

エリィは帰りたがっていたけど、今帰るのは危険と判断し少し待ってみることにした。

しかし1時間経っても収まることはなかった。

(困ったな。これ、帰れるのかな?)

先程席を立ったエリィはなかなか戻ってこない。
何かあったのかと心配になり様子を見に行こうとドアを開けると、エリィは廊下に座ってお茶を飲んでいた。

なんでそんなところでお茶を飲んでいるんだ?
もしかして僕と一緒にいるのがそんなに嫌になったのかな。

悲しくなりながらも、声をかけてみる。

顔を上げたエリィの顔色が悪い。
体調が悪いのかと思ったが、エリィは

「ちょっと床の汚れが気になって」

などと変なことを言い出した。
思わず、僕と一緒では嫌なのかと聞いてしまっていた。
肯定されたら嫌だな、と思っていたが
エリィは立ち上がろうとしたらよろけてしまったので、咄嗟に受け止めた。

(あれ?エリィ震えてる?)

そこへ雷が響く音が聞こえると、ビクビクとして少し震えていて、目には涙も浮べている。

(え、泣いてる?)

「……もしかして雷苦手なの?」

僕と一緒にいるのが嫌なわけではなかったのだな。
そのことに、ほっとしながらエリィを抱き締めた。あぁ、エリィ。愛しいエリィ。雷苦手だったんだね。初めて知ったよ。もっといろんなエリィを教えて?
数分間ほどエリィを満喫していると、

「もう大丈夫よ。」

と言い離れてしまった。

もう少し一緒にいたいけど、今日は僕の理性がもたないな。そう思い公爵家へ送ろうとした。

しかし嵐で道が洪水となり、馬車が通れなかったのだ。
仕方がないので王宮へ一緒に帰ることにした。
さすがに少し濡れてしまったし、この嵐では今日は公爵邸へ帰るのは難しいだろう。

ひとまず湯浴みをして温まってもらおう。
このままだと風邪をひいてしまうしな。
エリィのために服は用意してあるので何も困ることはない。

そうだ、お腹空いてないかな?
軽く食べるものを用意させよう。

用意してもらったものを運んでくると、エリィは既に出ていてハーブティーを飲んでいた。
気分を落ち着かせようとしているのだろう。

「すごい嵐だね。」

「うん、本当に。」

「明日には止むといいけど。食べるものを持ってきたんだ。お腹は空いてない?」

「ありがとう、ヴィーク。」

「適当につまんでて。僕も少しさっぱりしてくるから。」

僕も湯浴みをする。
さっきまでエリィが入っていたところに入っている。という事実が興奮させる。

部屋へ戻るとエリィは何かを見て考えこんでいた。

「何してるの?」

「この魔道具が何に使えるかを考えていたの。」

「それは?」

「街の魔道具屋さんで買ったものよ。その時はなにかに使えそうだと思ったんだけど、実際何に使っていいかわからなくて。」

「そうなんだ?じゃあ僕も一緒に考えてみるね。」

迷いなく、エリィの隣に座る。

「何に使えるかな?」

「うーん……、なんだろう?」

「ヴィークが考えてくれてる間に髪の毛を乾かしてあげるわ。」

そう言うとエリィはドライヤーの魔法と言って僕の髪の毛を簡単に乾かし、ヘアオイルというものも塗ってくれた。新作らしい。
いい香りだな。ふっと僕の顔にエリィの胸が当たる。…不味い、興奮してしまいそうだ。

その時、雷音が響く。

「今のは落ちたかな?」

「えぇそうね。」

「エリィ、大丈夫?」

「大丈夫よ。さっきはありがとう。変なところを見せちゃったわね。」

(僕の前では素を見せて。)

「ねぇエリィ、僕の前では強がらなくてもいいんだよ?おいで。」

両手を広げると、僕の胸に顔を埋めてきた。
エリィから僕の胸に飛び込んで来てくれた、という事実がとても嬉しい。
温かい。柔らかい。いい香り。愛しい。
エリィを堪能していると、

「こんな嵐の日はね、昔の事を思い出すの。全部覚えているのよ。その時の感情も何をしたかも、されたかも。だから怖いの。」

子供の頃の話をぽつぽつと話すエリィの髪を優しく撫でる。

(あぁ怖かったね。でももう大丈夫だよ。僕がいるからね。)

「全部僕と共有しよう?共有すれば苦しみや悲しみは半分になるし、喜びは倍になるよ。」

そう言って抱き締める。
「愛してる。ずっとエリィだけが好きなんだ。」

そう言って微笑む。

「私もヴィークが好き。」

(え?今なんて?聞き間違いじゃないよね?)

「本当に?」

「うん。」

嵐のような衝撃。本当?!本当に?
嬉しい。こんなに嬉しいことは初めてだ!

そう思い優しく口づけをした。
エリィも応えてくれる。エリィがほしい。
応えてくれるからどんどん深くなってくる。

「エリィ愛してる」

そう言うと、エリィも

「私も愛してるわ、ヴィーク。」

そう言ってくれた。

正式に結婚を申し込むと顔を赤くしながら頷いてくれた。長年の想いがやっと通じたことと、これから先もエリィと一緒にいられる喜びで胸がいっぱいだった。

押し倒しそうになるのを理性で必死に耐えて、エリィを客室に案内した。さすがにここで押し倒したりしたら、公爵に文字通り殺されると思ったから。
感想 7

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!

加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。 カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。 落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。 そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。 器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。 失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。 過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。 これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。 彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。 毎日15:10に1話ずつ更新です。 この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。

必要ないと言われたので、私は旅にでます。

黒蜜きな粉
ファンタジー
「必要ない」 墓守のリリアはある日突然その職を失う。 そう命令を下したのはかつての友で初恋相手。 社会的な立場、淡い恋心、たった一言ですべてが崩れ去ってしまった。 自分の存在意義を見失ったリリアに声をかけてきたのは旅芸人のカイだった。 「来る?」 そうカイに声をかけられたリリアは、旅の一座と共に世界を巡る選択をする。 ──────────────── 2025/10/31 第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞をいただきました お話に目を通していただき、投票をしてくださった皆さま 本当に本当にありがとうございました

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった