真夜中の柑橘系

艾凪 來

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夏祭り [中編]

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駅前から数分歩くと、浴衣を来た人が沢山いた。パッと見ただけで数えても多分100人以上は確実にいると思った。夏祭りとはいえ、こんなに集まる物なのか。と関心しつつ歩き続ける。すると少し高いとこまで来たので、振り向いて見る。そこには浴衣は来た人が沢山いた。赤・水色・緑・黄色。ユニークな物でカラフルな色合いがあった。街の外灯などに照らされ、少しばかりキラキラしていた。
「綺麗…」
つい本音を漏らしてしまう。けど、深弥は何も言って来なかった。手を握る力に少しだけ力がこもった気がしただけだ。
……ん?手を握る…?
「ッッッ!?」
そうして初めて気がつく。自分の右手が深弥の左手と繋がっていた事に。
(深弥の手って…こんなに大きかったんだ…)
自分の手と比べたら、大きくてしっかりしてるたくましい手だった。感じた事の無い感触に、つい顔を赤らめてしまう。体温が上がってくるのが分かる。こんなにドキドキする物なのか。
「柚紀?汗凄いね?どっかで休もうか?」
「ひゃ!?え、ううん。大丈夫」
汗かく程だったのかと凄く恥ずかしくなって、自分でも驚く程の奇声を上げてしまったように感じる。もしかしてボクは今ドキドキしているのか?いや、ない。手ごときでドキドキなんて無い。普段だって、よく抱きついたりしてきてるではないか。それなのに今更になって手を握られてるだけでドキドキなんてする訳がない。きっと不意を疲れたから驚いただけなのだろう。……これ以上考えると頭がどうにかなりそうだ。少し落ち着かせよう。
「柚紀顔真っ赤だよ?暑いんなら少し飲み物でも飲んでやすもうか」
「え?あ、大丈夫。飲むなら、お祭りでがいい」
少し火照ってきてる気がする。多分歩いてるからだと思う。そうとしか考えたくない。
「あ、柚紀アレ見て」
ふと深弥が指を刺した方向を見ると、祭り会場はまだ先の方らしい。光すら見えてない。
「違う違う。そっちの方」
訂正された、手の方向を見ると「日本和服店・浴衣レンタル可能」とある。
「折角だから浴衣レンタルしていこうか」
「え!?で、でも高そうだし…こんなの借りたら遊ぶお金が…」
「大丈夫大丈夫。俺が払うし」
大丈夫。と言われて手を引かれてしまっては、もう抵抗のしようがない。

手を引かれるまま、店に入り、店員の薦めるまま浴衣を選び、着かたを知らないというと、店員に着付けて貰っていた。
初めて見る自分の浴衣姿は、どこかぎこちなくて、少し…可笑しかった。
「いやー初めてだから緊張するね」
そういって試着室から出てくる姿は、着こなしてる。としか言いようが無かった。恐ろしく似合っていた、元から高身長の為、来ている服は大半似合っていた
「あの…その…よ、よく似合ってる…ね」
「ありがと!柚紀に言われると嬉しいね。柚紀こそとってもよく似合ってるよ」
あぁもう本当恥ずかし目もなく笑顔で言えるな。
慣れない下駄を履いてる為か、とてつもなく歩き辛い。ふらつきながら歩いていると、そっと深弥が体を支えてくれる。
「下駄って慣れてないと辛いよね。俺は草履だからさ、普段のサンダル見たいで楽だけど」
そうした支えられながら店を出ると、人の数が増えていた。さっきより遥かに多くなった人混みを見ると、やはり半数以上は浴衣を来ていた
「やっぱり浴衣着て正解だったね。みんな浴衣着てる」
「こ、これなら恥ずかしくない…かも」
おかしい。さっきから妙に落ち着かないのだ。浴衣を着ているからだと信じよう。うん。じゃないと疲れてしまいそうだ。
深弥に支えられながら数分歩くと、お祭り会場が見えた。何かを焼く匂いや甘い匂いがどんどん香ってくる。それだけで少し童心に帰ってハシャギたくなる。しかし。今ボクの横にいるのは彼氏としての男だ。そんな子供っぽいところは見せれない。少し大人ぶって冷静になろう。
「わぁ柚紀見て、綿あめ売ってるよ。大きいね、食べる?」
「綿あめ…たべ…久しぶりに食べようかな」
危ない危ない。言ってるそばからハシャギかけた。久しぶりにいいところを見つけれたかもしれない…けど
「柚紀人多くなってきたからちゃんと付いて来てよ。あんまり離れないで。それとあんまり生モノ系は頼まないでね。お腹壊しちゃうから」
「その過保護すら無かったらなぁ…」
「ん?どうかしたの?」
「なんでもないよ。きをつけます」
ほんとに…台無しだ
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