真夜中の柑橘系

それぞれの

後日談 柚紀視点

目を覚ますと、枕の代わりに深弥の腕に支えられていた。
いつものノリで起きようと布団から出ようとした瞬間に違和感を感じる。

「あ……。そっか」
昨晩ボクは深弥と…思い出して少し泣きそうになる。
ちょっと痛いかな。その痛みが今はちょっと誇らしい。
お腹当たりをさすってやると、その痛みは自然と引いていく。

初めてだったから、ちょっと怖くあったけど、少し動く度に深弥はボクの体を抱き締めてくれた。ちょっと安心したし、それだけで満足出来た。深弥は満足してくれただろうか。ボクは充分だけど、思い返せば、痛くて全部は無理だったから、深弥は満足出来てないんだろうか。
ちょっとした好奇心で布団を捲る
「え。」
絶句した。なんで…なんで、もう元気なのだろうか。やはり満足できなかったのだろうか…ちょっと申し訳なくなる

「ダメダメ。ご飯食べよ…」
着替えてパンを焼く間、ずっと昨日の事を考えてた。思えば深弥は初めてなのだろうか。やけに慣れていた気もする
そりゃ深弥はボクと違ってモテるだろうから、経験があったとしてもおかしくはない。けどムカつく
今度はちゃんと出来るようにしよ…。そう決心し、パンを齧る

その日のパンの味はちょっと変な味だった