【完結】秘める華が暴かれる時

七咲陸

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芙蓉の精霊※

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「ははは! カッツェ様、いや、芙蓉の精霊……! 遂に、遂に手に入れたぞ!」

  唾を飛ばしながら笑うミラー伯爵に嫌悪感が走る。何故ここまで自分に執着しているのかは分からないが、これで兄が困ることなく過ごせるのであればどうでも良い事だ。

  興奮したミラー伯爵が馬乗りになって見下ろし、笑いながらブチブチとカッツェの服を破いた。安くはない服を破かれてショックを受けるどころかティコの葉の効力のせいか身体が勝手に反応してしまう。

「や、ぁ……!」

「はぁはぁ、実にいやらしいお姿ですな…!潤んだ瞳にどこに触れても疼く身体、そして何より控えめに喘ぐ声! 神に感謝したいくらいです!」

「……っ、ひ……」

  身体は疼いても心は拒否を示し、小さく悲鳴を零す。

  嫌だ。本当は誰にも触られたくない。誰にも捧げたことの無いこの身体は、兄でなくてはこのまま清く残すつもりだった。

  けれどこの身体で兄に恩を返せるのならば。

「カッツェ!!」

  バン!、と壊れそうな勢いで扉が開く音が聞こえてきた。驚いてギュッと閉じていた瞳を開いて扉の方を見た。

  その瞬間、僕の上に乗っかっていた牛のような巨体がどこかへ吹っ飛んでいった。

  吹っ飛んだと同時にガシャン!と物が割れたり落ちたりする音と、ガンガンと何かを殴る音が聞こえてくる。

「殺す、殺す、殺す」

「っが、あが、ぐ」

  呪詛のような声がする。それは紛れもなく兄の声であり、聞いたことの無い声でもあった。

「お、にい、様…」

「レーヴェ様!落ち着いて下さい! ミラー伯爵を本当に殺してしまいます!」

  ぼんやりとした意識の中でフレイが叫んでいる。どうやら兄を何とか必死に止めているようだ。

「いい。死ねばいい」

「だとしても!今はレーヴェ様がすべきことはミラー伯爵を殺すことではなく、カッツェ様の身を案ずることでしょう!」

  フレイが兄とミラー伯爵を引き剥がして説得し、兄がふらりと自分のいるソファの前までやってきた。

「…あ、おにい、さま、や……ぁ、あっ!」

「カッツェ…帰ろう」

「あああっ!」

  横抱きにされて持ち上げられ、触られた場所が酷くビリビリする。ティコの葉の効力が強くなったからなのか、大好きな兄が触れたからなのかは分からない。
  痛ましくこちらを見る兄を見ても、自分ではこの痺れのような快感を止めることは不可能だった。

「大丈夫、カッツェ。大丈夫だ……」

  移動中も兄は優しく、なるべく揺らさないように歩を進めてくれた。ミラー伯邸を出て馬車に乗り込むと、横抱きのまま兄の膝に乗せられた。
  「大丈夫だ」と繰り返しながら顔中にキスを降らせてくる。甘い刺激に僕の身体はますます興奮したようでキスをされる度に上擦った声が漏れてしまった。

「んっ、ん、や、ぁ……ん!」

「カッツェ…」 

「おにい、様ぁ……っ、は、たすけ」

「……こんな状況は不本意だが、仕方ないか。カッツェ、声を少し我慢できる?」

  手で口元を抑える。コクコクと首を頷かせると「良い子だ」と額にキスをまた一つ落としてくれる。

  兄はいつの間に勃ち上がった僕の中心に触れた。服が押し上げられ苦しそうにしていたソコは、兄の手で外の空気に触れぶるりと身体が震えた。
 
「んっ」

「ああ……やはりあの男、殺しておくべきだった。カッツェのこんな姿を見ただなんて」

「ん、んんんっ! っ、ふ…ん、ぅ」

  まるで世界を呪うような低音を出しているのに触れる手つきは誰よりも優しい。自身の固くなったソコの先端から溢れてくる先走りのせいで、兄が上下に擦る度ににちゃにちゃと音がして羞恥に顔が火照る。
  裏筋もカリ首も掻く兄の手つきは巧みで、茶の成分のせいもあって高みに昇っていくのが分かる。

「あっ、やだ、ぉ兄様…!お兄様が汚れてしまいます……!」

「汚せばいい。そんなことよりもほら、集中して…気持ち良いんでしょう?」

「っ、ひ、ぁ……んっ、ふ、だめ、ダメぇ…!」

  何一つ穢れない兄を汚したくなくて、涙を流しながらイヤイヤと首を振る。けれど兄の手は攻めを緩めることなくにちゃにちゃと音を激しくさせながら擦り続けた。
  気持ちいい。おかしくなる。
  茶の成分のせいだけでなく、兄の手だからという事実が背徳感で更に己を掻き立てた。

「っひ、い、んんんっ!んん~~っっ!」

「我慢できて偉いね、カッツェ…」

「っは、は…ふ…」

  乱れた息を整えているとチュッチュとキスの雨をまた降らせてくる。まるで赤子を安心させるような行動に、瞼が自然と下りてきた。

「愛してるよ…カッツェ。絶対に私以外の誰にも侵させたりなどしない」


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