人魚姫の結末に腹を立てて転生したら、私がライバル役でした。

ビジ

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stage1 海辺

009 スリーピングビューティー

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 一歩、また一歩と王子様に近づくにつれ、その容姿が明らかになってきた。

 海水に濡れた髪は黒。
 なんとなく、童話の王子様といえばサラサラの金髪のイメージだったので、これは意外だった。
 仕立ての良いロイヤルブルーの装束に身を包み、さらに濃い青をしたマントを肩に絡げている。

 傍らまで近づいて、顔をのぞき込む。

「うわぁ……!すご!」

 思わず感嘆してしまうほどの美形がそこにはいた。
 彫りの深い白い顔。うっとりするほど長い睫毛。洋画に出てくる美少年をさらにレベル高くした感じだ。
 眠れる森の美女ならぬ、眠れる海辺の王子様。

「これは人魚姫が惚れるのも頷けるわね」

 人外の乙女の心さえも奪ってしまう美貌に呆然としつつ、私はさてと途方に暮れた。

「問題はこの王子様をどうするかだけど……」

 誰か人を呼んでくる、というのも手だけれど、そうすると人魚姫本来の話の筋からさらに脱線していきそうな気もする。

「となると運ぶしかないかあ……でもお城ってどこにあるんだろう?あ、あった」

 海岸から背後の丘を振り仰ぐと、おそらく城の一部であろう尖塔が緑の向こうに見えていた。
 ナイス距離感。
 かなり骨が折れそうではあるけども、なんとか王子様を引きずっていけそうだ。

「じゃあ、日が暮れる前にひと仕事しますか」

 はあとため息をこぼして、私は王子様の体に手を伸ばした。
 その時。
 王子様の長い睫毛が、微かに震えた。

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