僕の伴侶は最古の竜

ライ

文字の大きさ
34 / 40
学園偏

タイミングの悪い仲裁者(シャルトの解釈)

しおりを挟む
僕が友人達の反応の原因を、考えていると、空から、ワイバーンが降りてきた。
ワイバーンは、僕と貴族たちの間に降りてきた。
どうやら、貴族たちの、親族が出てきたらしい。
僕が槍を向けていた少年が、ワイバーンに乗る、青年を見て涙を流しながら、
「たっ助けて」
と情けない声で青年に助けを乞うた。
本当に情けない。
この程度で、泣くなんて。
そもそもの原因が自分たちにあるのも、理解していないのか?
僕は、氷の槍を、水蒸気に変えた。
不本意だが、邪魔が入っては、興も冷める。
もう少し魔法の練習をしたかったのに。
青年は、僕を最初に見て、次に泣きつく情けない貴族の子供を見た。
あの青年は僕に、怒っているわけではなさそうだ。
なぜならば、青年の目の色には、明確な怒りは含まれていない。
むしろ同情?のような感情が見え隠れしている。
なぜかな?自分の親族がいじめられていたから、来たんじゃないのか?
僕は、疑問に思いながらも、自分たちは悪くない。
と態度に出した。
真実、悪いのはあっちだ。
この場の出来事は、記録した。
方法は内密だが、貴族だからと言って、何でもしていいはずがない。
子供のころに叩きこめば、少しはましになるかな?
僕が、貴族たちの今後を考えていると、青年が、
「すまなかったな、弟が君たちのことを妬んで、こう言う真似に走ってしまうのを止められなかった、本当にすまない」
と言葉とともに青年は、自分の頭を下げて謝ってきた。
意外だ、僕は心の底からそう思った。
この青年は、話の内容からして先ほど僕が槍を向けた、貴族の親族だろう。
この青年が、兄なのにあんな性格の子供がいるなんて。
僕が驚いたのは、そこだ。
それとも、この青年の態度が演技か?
後々面倒になるのもいやだな。
あまり見たくないが、仕方ない。
青年の心の中をのぞくか。
僕は、特殊能力を使って、青年の心の中をのぞいた。
結論から言って、彼の態度に嘘は見られない。
腑に落ちないが、とりあえず今の会話の答えを返さないと、怪しまれる。
「いいえ。こちらこそやりすぎたと思っていました。止めてくださりありがとうございます」
彼女がいたなら、大爆笑するかな?
僕は、愛しい彼女のことを、思い出しながら嘘を吐いた。
本当は、死なない程度に痛めつけようと思っていたし。
僕の返答に青年は、安堵したようだ。
「ありがとう、弟はまだ子供だからか分別がついていなくて、家庭教師からも小言を言われるほどの困ったやつなんだ。まだまだ迷惑をかけると思うが、これからも弟をよろしく頼む」
と僕の同意も得ずに、自分の弟を押し付けてその場から去りやがった。
言い逃げとは、さすがに僕も思っていなかった。
だが僕としては、こちらに被害がないならどうでもいい。
頼まれてなんかやるもんか。
僕の答えを聞かずに去ったのだから、期待するなよ。
名乗らずに行ってしまったから、名前の分からない青年竜騎よ。
僕は絶対に嫌だ、やるくらいならこの国ぶち壊すほうが良いと思うほどには。だから任されない。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...