26 / 31
学園編
過去を悔いても意味は無い
しおりを挟む
「申し上げます。私の見解ではお二人とも、複数の毒を盛られていると思います」
そう言った瞬間、王子が冷静に否定の言葉を投げかける。
「いや、待て、モルト伯爵は知らないが、宰相はこの国の最高権力者の一角だ、食事の際は毒見を何度もされる。その状態で複数の毒を盛るのは無理があると思うが?」
「はい、確かにそうです、父も代表的な毒を身体に馴染ませるために少量ずつ摂取することがありますので、ある程度は毒に耐性があります。でも、私が見たときの症状でそう判断できてしまいました。これでも私、学園に入学する前までヒオウギ学習院にいまして、薬学の博士免許を所有してますので、毒や薬の知識はそれなりにあります。そのときに、ある特定の毒を複数と薬を混ぜるとこのような症状を起こして最後絶命してしまう毒を発見しました。本来は、万能毒消しを調合していたときの副産物だったので、公表はせずにいたのですが、万能毒消しの調合式は学習院に提出していました。この調合式をある程度の調合の知識があるものが見ればこの反応を起こす毒を作ることはできると思います」
引っかかっていた。なぜか2人の症状を診たとき、毒かもしれないと。
帰って解析してみたら案の定、それも自分が調合した毒消しに少し手を加えることによってできてしまう毒かもしれないとわかってしまった。
もしも、本当にあの調合式を使った毒だったら、、私のせいで父も宰相も死んでしまうかもしれない。
自分の言葉で恐怖を感じた。
私は恐怖で自身の身体を腕で抱く。
震えが止まらない。
私の反応に嘘ではないと思ったのか、王子が震えが止まらない私の肩に手を置いて落ち着くように話しかけてくる。
「モルト嬢、落ち着きたまえ。もしも君の調合したものが盛られていたとしても、君のせいではない。それに助かる術がないわけではないだろう?君が作ったというならば解毒剤も作れるのではないか?」
王子の肩を置かれて多少恐怖が和らいだので、思考を巡らす。
そう、王子の言う通り、解毒剤の調合式は頭の中で構築はできた。
でも、問題がある。
私が構築した調合式では複数の薬草が必要だけど、その半分はこの国には自生してない。
それどころか、ヒオウギでも自生しているものは稀で、学習院で栽培しているものも数えるほどしかなかったはず。
今からそれを入手するのにどれほど時間がかかる?
父は一度自発呼吸が止まってた。
人工呼吸でなんとか持ち直したけど、あとどれくらいもつ?
宰相様は様子を見るに、父よりは摂取した量が少ないっぽいけど、父より耐性はないだろう。
薬草の確保は、一応一つ思いついたことはあるけど、それまでもたせられるか。
いや、もたせられるかは私達の行動にかかっている。
であれば、今は思いついたことを実行すべきだよね。
考えがまとまったので、王子達に進言する。
「殿下、申し訳ございません。取り乱してしまいました。解毒剤は作ることはできますが、問題があるんです」
「問題とは?」
「はい、解毒剤に必要な薬草のうち、30種ほどこの国にないものがございます。調合には合計64種の薬草が必要になるのですが、ヒオウギでも数えるほどしか無いものがあるので入手が難しいのです。なんとか集めることに成功しても、それまでお二人がもつか、、」
「なるほど、それは難しいな」
「はい、しかし、50種の薬草は、私に入手の心当たりがあります。王宮の皆さまには、残りの14種を集めてもらえないでしょうか?また、お二人の容態を診せていただきたいです。解毒剤とは違いますが、多少は症状を抑える薬を調合してきたので、それで時間を稼げると思います」
王子の言葉に被せるように言葉を紡ぎ、ギリギリの可能性ではあるけど解決策を提案し、そのための第一歩として、2人の診察を申し出る。
「メイシェル大臣、私はモルト嬢の言葉を信じよう。話が終わり次第、2人がいる医局に案内してくれ。それで、モルト嬢、こちらが用意すべき薬草の名称を聞きたい」
王子の言葉によって、私の考えた解決策が使われることになった。
スターズ国の重鎮達がなぜ、一貴族令嬢の言葉をここまで信用するか。
それはヒオウギ国の学習院の存在があった。
彼の国は学門の国と言われ、その国の学習院の頂点、ヒオウギ学習院では各学門で免許試験を設けている。
その免許を取得できるものは、ほんのわずか。
試験を受けるだけでもかなりの関門があり、そこで挫折をするものが後を絶たない。
だが、この免許を取得できたものはヒオウギで一定以上の地位に就くことができるのだ。
例えヒオウギに留まらない選択をしても、他国から引く手あまたになる。
そして、件のリアが取得した、博士免許は別格である。
ヒオウギ学習院が創設されておよそ500年、この薬学の博士免許は取れたものが50人もいないことで有名であった。
取れたものはすべからく、歴史に名を遺す天才薬師になっている。
現在はヒオウギ学習院の薬学担当の教師が取得しているのみ。
この博士免許は、各学年で毎年行われる進学試験と別にある、薬学の特別試験を卒業年次まで受け続け、2000点満点中最低1850点以上を保つのが博士免許の試験を受ける条件である。
そして条件を満たして受ける試験の内容が、古今東西のありとあらゆる薬物、毒物、症状、薬草の種類を丸暗記しないと合格できないような内容だ。
ちなみに、リアは適当に教師の勧めで試験を受け続け、条件を達成したので博士免許の試験を受けて合格していた。
本人は全くその凄さをわかっていなかったが、当時はかなり大騒ぎをしていた。
知らぬは本人ばかり、である。
そう言った瞬間、王子が冷静に否定の言葉を投げかける。
「いや、待て、モルト伯爵は知らないが、宰相はこの国の最高権力者の一角だ、食事の際は毒見を何度もされる。その状態で複数の毒を盛るのは無理があると思うが?」
「はい、確かにそうです、父も代表的な毒を身体に馴染ませるために少量ずつ摂取することがありますので、ある程度は毒に耐性があります。でも、私が見たときの症状でそう判断できてしまいました。これでも私、学園に入学する前までヒオウギ学習院にいまして、薬学の博士免許を所有してますので、毒や薬の知識はそれなりにあります。そのときに、ある特定の毒を複数と薬を混ぜるとこのような症状を起こして最後絶命してしまう毒を発見しました。本来は、万能毒消しを調合していたときの副産物だったので、公表はせずにいたのですが、万能毒消しの調合式は学習院に提出していました。この調合式をある程度の調合の知識があるものが見ればこの反応を起こす毒を作ることはできると思います」
引っかかっていた。なぜか2人の症状を診たとき、毒かもしれないと。
帰って解析してみたら案の定、それも自分が調合した毒消しに少し手を加えることによってできてしまう毒かもしれないとわかってしまった。
もしも、本当にあの調合式を使った毒だったら、、私のせいで父も宰相も死んでしまうかもしれない。
自分の言葉で恐怖を感じた。
私は恐怖で自身の身体を腕で抱く。
震えが止まらない。
私の反応に嘘ではないと思ったのか、王子が震えが止まらない私の肩に手を置いて落ち着くように話しかけてくる。
「モルト嬢、落ち着きたまえ。もしも君の調合したものが盛られていたとしても、君のせいではない。それに助かる術がないわけではないだろう?君が作ったというならば解毒剤も作れるのではないか?」
王子の肩を置かれて多少恐怖が和らいだので、思考を巡らす。
そう、王子の言う通り、解毒剤の調合式は頭の中で構築はできた。
でも、問題がある。
私が構築した調合式では複数の薬草が必要だけど、その半分はこの国には自生してない。
それどころか、ヒオウギでも自生しているものは稀で、学習院で栽培しているものも数えるほどしかなかったはず。
今からそれを入手するのにどれほど時間がかかる?
父は一度自発呼吸が止まってた。
人工呼吸でなんとか持ち直したけど、あとどれくらいもつ?
宰相様は様子を見るに、父よりは摂取した量が少ないっぽいけど、父より耐性はないだろう。
薬草の確保は、一応一つ思いついたことはあるけど、それまでもたせられるか。
いや、もたせられるかは私達の行動にかかっている。
であれば、今は思いついたことを実行すべきだよね。
考えがまとまったので、王子達に進言する。
「殿下、申し訳ございません。取り乱してしまいました。解毒剤は作ることはできますが、問題があるんです」
「問題とは?」
「はい、解毒剤に必要な薬草のうち、30種ほどこの国にないものがございます。調合には合計64種の薬草が必要になるのですが、ヒオウギでも数えるほどしか無いものがあるので入手が難しいのです。なんとか集めることに成功しても、それまでお二人がもつか、、」
「なるほど、それは難しいな」
「はい、しかし、50種の薬草は、私に入手の心当たりがあります。王宮の皆さまには、残りの14種を集めてもらえないでしょうか?また、お二人の容態を診せていただきたいです。解毒剤とは違いますが、多少は症状を抑える薬を調合してきたので、それで時間を稼げると思います」
王子の言葉に被せるように言葉を紡ぎ、ギリギリの可能性ではあるけど解決策を提案し、そのための第一歩として、2人の診察を申し出る。
「メイシェル大臣、私はモルト嬢の言葉を信じよう。話が終わり次第、2人がいる医局に案内してくれ。それで、モルト嬢、こちらが用意すべき薬草の名称を聞きたい」
王子の言葉によって、私の考えた解決策が使われることになった。
スターズ国の重鎮達がなぜ、一貴族令嬢の言葉をここまで信用するか。
それはヒオウギ国の学習院の存在があった。
彼の国は学門の国と言われ、その国の学習院の頂点、ヒオウギ学習院では各学門で免許試験を設けている。
その免許を取得できるものは、ほんのわずか。
試験を受けるだけでもかなりの関門があり、そこで挫折をするものが後を絶たない。
だが、この免許を取得できたものはヒオウギで一定以上の地位に就くことができるのだ。
例えヒオウギに留まらない選択をしても、他国から引く手あまたになる。
そして、件のリアが取得した、博士免許は別格である。
ヒオウギ学習院が創設されておよそ500年、この薬学の博士免許は取れたものが50人もいないことで有名であった。
取れたものはすべからく、歴史に名を遺す天才薬師になっている。
現在はヒオウギ学習院の薬学担当の教師が取得しているのみ。
この博士免許は、各学年で毎年行われる進学試験と別にある、薬学の特別試験を卒業年次まで受け続け、2000点満点中最低1850点以上を保つのが博士免許の試験を受ける条件である。
そして条件を満たして受ける試験の内容が、古今東西のありとあらゆる薬物、毒物、症状、薬草の種類を丸暗記しないと合格できないような内容だ。
ちなみに、リアは適当に教師の勧めで試験を受け続け、条件を達成したので博士免許の試験を受けて合格していた。
本人は全くその凄さをわかっていなかったが、当時はかなり大騒ぎをしていた。
知らぬは本人ばかり、である。
0
あなたにおすすめの小説
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる