推しのために私がなんとかすればいい!

ライ

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学園編

過去を悔いても意味は無い

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「申し上げます。私の見解ではお二人とも、複数の毒を盛られていると思います」
そう言った瞬間、王子が冷静に否定の言葉を投げかける。
「いや、待て、モルト伯爵は知らないが、宰相はこの国の最高権力者の一角だ、食事の際は毒見を何度もされる。その状態で複数の毒を盛るのは無理があると思うが?」
「はい、確かにそうです、父も代表的な毒を身体に馴染ませるために少量ずつ摂取することがありますので、ある程度は毒に耐性があります。でも、私が見たときの症状でそう判断できてしまいました。これでも私、学園に入学する前までヒオウギ学習院にいまして、薬学の博士免許を所有してますので、毒や薬の知識はそれなりにあります。そのときに、ある特定の毒を複数と薬を混ぜるとこのような症状を起こして最後絶命してしまう毒を発見しました。本来は、万能毒消しを調合していたときの副産物だったので、公表はせずにいたのですが、万能毒消しの調合式は学習院に提出していました。この調合式をある程度の調合の知識があるものが見ればこの反応を起こす毒を作ることはできると思います」
引っかかっていた。なぜか2人の症状を診たとき、毒かもしれないと。
帰って解析してみたら案の定、それも自分が調合した毒消しに少し手を加えることによってできてしまう毒かもしれないとわかってしまった。
もしも、本当にあの調合式を使った毒だったら、、私のせいで父も宰相も死んでしまうかもしれない。
自分の言葉で恐怖を感じた。
私は恐怖で自身の身体を腕で抱く。
震えが止まらない。
私の反応に嘘ではないと思ったのか、王子が震えが止まらない私の肩に手を置いて落ち着くように話しかけてくる。
「モルト嬢、落ち着きたまえ。もしも君の調合したものが盛られていたとしても、君のせいではない。それに助かる術がないわけではないだろう?君が作ったというならば解毒剤も作れるのではないか?」
王子の肩を置かれて多少恐怖が和らいだので、思考を巡らす。
そう、王子の言う通り、解毒剤の調合式は頭の中で構築はできた。
でも、問題がある。
私が構築した調合式では複数の薬草が必要だけど、その半分はこの国には自生してない。
それどころか、ヒオウギでも自生しているものは稀で、学習院で栽培しているものも数えるほどしかなかったはず。
今からそれを入手するのにどれほど時間がかかる?
父は一度自発呼吸が止まってた。
人工呼吸でなんとか持ち直したけど、あとどれくらいもつ?
宰相様は様子を見るに、父よりは摂取した量が少ないっぽいけど、父より耐性はないだろう。
薬草の確保は、一応一つ思いついたことはあるけど、それまでもたせられるか。
いや、もたせられるかは私達の行動にかかっている。
であれば、今は思いついたことを実行すべきだよね。
考えがまとまったので、王子達に進言する。
「殿下、申し訳ございません。取り乱してしまいました。解毒剤は作ることはできますが、問題があるんです」
「問題とは?」
「はい、解毒剤に必要な薬草のうち、30種ほどこの国にないものがございます。調合には合計64種の薬草が必要になるのですが、ヒオウギでも数えるほどしか無いものがあるので入手が難しいのです。なんとか集めることに成功しても、それまでお二人がもつか、、」
「なるほど、それは難しいな」
「はい、しかし、50種の薬草は、私に入手の心当たりがあります。王宮の皆さまには、残りの14種を集めてもらえないでしょうか?また、お二人の容態を診せていただきたいです。解毒剤とは違いますが、多少は症状を抑える薬を調合してきたので、それで時間を稼げると思います」
王子の言葉に被せるように言葉を紡ぎ、ギリギリの可能性ではあるけど解決策を提案し、そのための第一歩として、2人の診察を申し出る。
「メイシェル大臣、私はモルト嬢の言葉を信じよう。話が終わり次第、2人がいる医局に案内してくれ。それで、モルト嬢、こちらが用意すべき薬草の名称を聞きたい」
王子の言葉によって、私の考えた解決策が使われることになった。



スターズ国の重鎮達がなぜ、一貴族令嬢の言葉をここまで信用するか。
それはヒオウギ国の学習院の存在があった。
彼の国は学門の国と言われ、その国の学習院の頂点、ヒオウギ学習院では各学門で免許試験を設けている。
その免許を取得できるものは、ほんのわずか。
試験を受けるだけでもかなりの関門があり、そこで挫折をするものが後を絶たない。
だが、この免許を取得できたものはヒオウギで一定以上の地位に就くことができるのだ。
例えヒオウギに留まらない選択をしても、他国から引く手あまたになる。
そして、件のリアが取得した、博士免許は別格である。
ヒオウギ学習院が創設されておよそ500年、この薬学の博士免許は取れたものが50人もいないことで有名であった。
取れたものはすべからく、歴史に名を遺す天才薬師になっている。
現在はヒオウギ学習院の薬学担当の教師が取得しているのみ。
この博士免許は、各学年で毎年行われる進学試験と別にある、薬学の特別試験を卒業年次まで受け続け、2000点満点中最低1850点以上を保つのが博士免許の試験を受ける条件である。
そして条件を満たして受ける試験の内容が、古今東西のありとあらゆる薬物、毒物、症状、薬草の種類を丸暗記しないと合格できないような内容だ。
ちなみに、リアは適当に教師の勧めで試験を受け続け、条件を達成したので博士免許の試験を受けて合格していた。
本人は全くその凄さをわかっていなかったが、当時はかなり大騒ぎをしていた。
知らぬは本人ばかり、である。


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