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はじめに
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「先生、恋愛小説書いてみません?」
「は?無理に決まってる」
「いやいや、先生なら書けますよ。俺はそう思いました」
「どこからその自信は出てくるんだ。私は恋愛したことないんだぞ。そんなやつが書いた話に臨場感なんて出ないだろ。普通に考えたら駄作もいいところだ」
「先生!俺としては、先生の書く作品はどれもとても好きですが、先生が恋愛小説書いたら、もっと面白い作品ができるような気がするんです。だからお願いします」
「お願いされても、無理なものは無理だ。何度も言ってる。私は恋愛感情がどんなものかわからない。わからないものは書けん」
「えっ?じゃあ先生、恋愛感情がわかれば、書いてくれるんですか?」
「うっ、わかれば書く気になるかもしれんが、はっきり言って、今のところ私にそんな気はないぞ」
「じゃあ、俺で試してみてください」
「はあ?」
三日前
比較的、新しい造りの一軒家。
新緑の緑を基調とした、落ち着いた色合いの何処にでもある一軒家だ。
その一軒家の前に、肩まである黒髪を1つに結んだ、鋭い美貌の男性がいた。
男性の名前は、月島幸(つきしまゆき)、大手出版社に勤めている、24歳の青年だ。
彼が担当している、小説家、室井那賀(むろいなか)こと、本名、氷室香奈(ひむろかな)
世間では、室井那賀は男性だと思われがちだが、女性である。
室井那賀は、賞などは取っていないが、人の内面を写すような作風で若年層にとても人気がある。
だが、賞などを取っていないため、露出が少なく、作者の性別、年齢が表に出ていない。
作風や、読者に対する受け答えなどで男性のような振る舞いが目立つことから男性に思われていた。
月島幸はそんな室井那賀こと氷室香奈の担当として、今日は彼女の家に来ていた。
「先生、お邪魔します」
月島が彼女の家に入ると、中からぐーと言うまるで腹のむしのような声が返事をする。
「先生!また仕事に集中し過ぎて食事を忘れていました?」
「ふあー幸くんかおはよう。今何時?」
月島の質問を丸ごと無視して、彼女は大きな欠伸をしながらどこか抜けた質問を返した。
「いや、僕の質問に答えてくださいよ。まあどうせ答えはわかってますけど」
月島はとてもあきれながらも、慣れたように彼女の家の台所に向かった。
「とりあえず、テーブルにすぐ食べられるもの置いたんで、食べてください。俺はサラダ作って置くんで」
月島幸は家庭的な男性であった。
彼女は言われたとおりに、テーブルに置いてある、おにぎりを食べ始める。
月島は一緒に買ってきた、野菜をサラダにし、彼女がいるテーブルに運んだ。
「はい、サラダです。ついでに紅茶」
「ん、ありがとう。いい香りだ」
サラダと一緒に月島は紅茶を入れて出す。
「はあ、本当に先生は集中すると食事も忘れるんだから。そのうち倒れちゃいますよ」
「まあ、その可能性もあるが、幸くんが私の担当である限りは大丈夫だろう」
(うわあすげえ殺し文句だ。この人まじで無自覚たらしだよ)
月島が内心でそんなことを考えてるとは露知らず、彼女は紅茶まで飲み干し、食事を終えた。
「そういえば、どうしたんだ?まだ締め切りではないだろう。何か新しい企画でもあるのか?」
「ああそうでした、先生、恋愛小説書いてみません?」
その言葉が、氷室香奈こと、室井那賀の執筆人生を大きく変えることになる。
「は?無理に決まってる」
「いやいや、先生なら書けますよ。俺はそう思いました」
「どこからその自信は出てくるんだ。私は恋愛したことないんだぞ。そんなやつが書いた話に臨場感なんて出ないだろ。普通に考えたら駄作もいいところだ」
「先生!俺としては、先生の書く作品はどれもとても好きですが、先生が恋愛小説書いたら、もっと面白い作品ができるような気がするんです。だからお願いします」
「お願いされても、無理なものは無理だ。何度も言ってる。私は恋愛感情がどんなものかわからない。わからないものは書けん」
「えっ?じゃあ先生、恋愛感情がわかれば、書いてくれるんですか?」
「うっ、わかれば書く気になるかもしれんが、はっきり言って、今のところ私にそんな気はないぞ」
「じゃあ、俺で試してみてください」
「はあ?」
三日前
比較的、新しい造りの一軒家。
新緑の緑を基調とした、落ち着いた色合いの何処にでもある一軒家だ。
その一軒家の前に、肩まである黒髪を1つに結んだ、鋭い美貌の男性がいた。
男性の名前は、月島幸(つきしまゆき)、大手出版社に勤めている、24歳の青年だ。
彼が担当している、小説家、室井那賀(むろいなか)こと、本名、氷室香奈(ひむろかな)
世間では、室井那賀は男性だと思われがちだが、女性である。
室井那賀は、賞などは取っていないが、人の内面を写すような作風で若年層にとても人気がある。
だが、賞などを取っていないため、露出が少なく、作者の性別、年齢が表に出ていない。
作風や、読者に対する受け答えなどで男性のような振る舞いが目立つことから男性に思われていた。
月島幸はそんな室井那賀こと氷室香奈の担当として、今日は彼女の家に来ていた。
「先生、お邪魔します」
月島が彼女の家に入ると、中からぐーと言うまるで腹のむしのような声が返事をする。
「先生!また仕事に集中し過ぎて食事を忘れていました?」
「ふあー幸くんかおはよう。今何時?」
月島の質問を丸ごと無視して、彼女は大きな欠伸をしながらどこか抜けた質問を返した。
「いや、僕の質問に答えてくださいよ。まあどうせ答えはわかってますけど」
月島はとてもあきれながらも、慣れたように彼女の家の台所に向かった。
「とりあえず、テーブルにすぐ食べられるもの置いたんで、食べてください。俺はサラダ作って置くんで」
月島幸は家庭的な男性であった。
彼女は言われたとおりに、テーブルに置いてある、おにぎりを食べ始める。
月島は一緒に買ってきた、野菜をサラダにし、彼女がいるテーブルに運んだ。
「はい、サラダです。ついでに紅茶」
「ん、ありがとう。いい香りだ」
サラダと一緒に月島は紅茶を入れて出す。
「はあ、本当に先生は集中すると食事も忘れるんだから。そのうち倒れちゃいますよ」
「まあ、その可能性もあるが、幸くんが私の担当である限りは大丈夫だろう」
(うわあすげえ殺し文句だ。この人まじで無自覚たらしだよ)
月島が内心でそんなことを考えてるとは露知らず、彼女は紅茶まで飲み干し、食事を終えた。
「そういえば、どうしたんだ?まだ締め切りではないだろう。何か新しい企画でもあるのか?」
「ああそうでした、先生、恋愛小説書いてみません?」
その言葉が、氷室香奈こと、室井那賀の執筆人生を大きく変えることになる。
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