この手が生み出すキセキ ~ハンクラ魔女のお店にようこそ~

あきづきみなと

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カブトピン・2

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森で会った魔女は、ヴィオラを弟子にとることをすぐ了承した。彼女によれば、ヴィオラの錬金術スキル自体はよくあるものだとしても、そう使い方やレベルはかなり貴重だという。
「特にあんたが屋敷で使用人達と使ってたこのピンとかね」
「あ、それは」
ヴィオラが前世の記憶を頼りにスキルを使って創造したそのピンは、前世ならカブトピンと呼ばれていたものだ。一本の針金を曲げて作るそれは、他の素材を必要としない。作りも単純だが細かいので(そもそも全体として小さなものだ)、ある程度のスキルもしくは技術が無ければ制作できない。
「どこから思い付いたのかは聞かないよ。だがあんたには他にも色々タネがありそうだ。こき使ってやるから覚悟おし」
にやにや笑う老婆にヴィオラは深々頭を下げた。
「よろしくお願いします」
家から出た以上、魔女の弟子として生きていくのが一番無難だ。増してどうやら気に入ってもらえた手応えも感じる、ここで食いつかなければどうする。

偽悪的な振る舞いはするものの、魔女は気前が良かった。ヴィオラを引き取ると同時に、元執事とメイド長の老夫妻にも住み込み仕事を斡旋してくれた。
それが魔法街全体の事務職で、魔女や魔法使い達の苦手とするところを埋める人材を探していたのだという。
「まああの二人じゃいつ死ぬかわからん老いぼれだけども、下っ端もつけたし、死ぬまでに仕事を叩き込んでくれりゃあいいさ」
「また師匠、そういうことを……」
魔女や魔法使いは、特殊なスキルの持ち主が多い。調薬や効果の付与、呪いや先見等多種多様だ。
ヴィオラの師匠である魔女が得意とするのは調薬と呪い。共に内容は多岐に渡る。
調薬一つとっても滋養強壮からある種の病を起こさせるもの、気力を増すもの削ぐものや容姿に関わるもの等々。
呪いの方は、薬によらずそれ等を起こさせるものだが、その分効果は曖昧になりがちらしい。
もちろん魔法街の住人の中には、そちらが得意な者もある程度いる。だが色々目をつけられ易いスキルでもあるだけに、それを使うにはちゃんと契約を結ぶべきだということになって、雇われたばかりの老夫婦も重宝された。
「ヴィオラ、あんた5歳のスキルの儀は受けたのかい?」
「?『スキルの儀』ですか?……心当たりがないです」
「……マリサが言ってたが、あんたの親もだいぶイカれてるねえ」
マリサは元メイド長の名で、その連れ合いはヨゼフという。今やどちらも魔法街に無くてはならない人物だ。
『スキルの儀』は子どもの持つスキルを調べる儀式だ。通常5歳で神殿に行き、スキル解析のスキルを持つ神官に調べてもらう。
しかしヴィオラはそれを受けた記憶がない。おそらくリリィもだろう。
スキルを調べるということは、問題になりそうなスキルを発見したら矯正や監視されるということだ。
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