巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと

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美味しいご飯は色々効く

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「こ、これはっ……」
「改良型1号です。ソース(仮)、かな。塩胡椒に加えると一気に美味しくなりますね」
薬師達にも、何にどう使うものか、実践でわかってもらった方がいい、という紗江の意見はマリウス達には意外だったらしい。
魔法使いは基本的に国の管轄だが薬師は民間の仕事、という認識のようなのだ。公務員と自営業、という様子で接点は殆ど無いらしい。
そのせいか、薬師達は魔法使いより年齢の幅が広く、また女性も多い。特にかなりの年齢の、紗江の世界ならお婆さんと言われる年代が意外に活動している。
「ほう、この何に使うのやら、今一つわからなんだ薬がこんな味になるとはねえ」
「味濃いですけど、野菜炒めや粉ものに使うと美味しいんですよ」
話しながら葉物野菜やその他の野菜を刻み、小麦粉と卵を混ぜて焼く。上に豚肉っぽい薄切り肉を乗せ、ひっくり返して更にしっかり火を入れれば、肉の焼ける匂いが食欲をそそる。更にソース(仮)をかけると、いっそう堪らない。つまりお好み焼きだ。
さすがに鰹節は無いが、青海苔っぽい海藻の粉、そしてマヨネーズはお好みで試してもらう。
このマヨネーズも(仮)が付くが、割と早く品質が安定した。酢もやはり薬師達の持つレシピにあり、今まで殆ど顧みられることが無いもののそれなりに知られた物だったらしい。
ソース(仮)が垂れて鉄板に滴り、ジュワワワ、と音をたてる。同時に広がる、香ばしく胃の腑を刺激する……実に腹の減る匂いだ。既に枯れたようなしわくちゃの老薬師も、こくんと唾を呑む程の威力がある。
「味見をしてください、まだまだ改良の余地はあるんですが、どういう方向を目指すのか知っておいていただきたいのです」
紗江が一口大に切って差し出すと、四方八方からフォークが伸びてきた。躊躇いもなく口に放り込んでいくのに、慌てて注意する。
「あの、焼きたてだから熱いですよ、って」
「あつ、あつつ」
「あふあふ」
ちょっと注意は遅かった。はふはふ熱を逃がしながら、それでも皆真剣な様子でそれを味わっている。
「うん、味は濃いけど複雑で美味いね」
「そうかぁ、単体じゃ濃すぎてとても口にできなかったが……こうやって味を付けるのに使えばいいんだな」
「焼いたお肉やお魚に付けるのもお薦めです」
ソースは味が濃いだけに好みが別れるかとも思ったのだが、味自体に忌避は感じないようだ。むしろこの先これをどう生かすか、更に発展させるにはどうすればいいか、とそちらに話は広がっていく。
「かなり味が濃いから、使う量は少しでいいかな」
「食べる人が好みで掛けるのもいいかも」
「食欲が無い時でも食べ易そうだね」
「癖のある肉にもいいかもしれん。臭みを取ってくれそうだ」
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