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そして魔女の森
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「ま、あの王子も反省は出来たらしいな」
「もう王子ではなくてよ、元王子、もしくは侯爵と。……あれだけ貴方が脅かすからでしょう」
しれっと宣うフォレストに彼の淹れたお茶で喉を潤しながらセイラは気のない様子で応じた。
ここは魔女の森。彼女が住処とし、彼が守護する地だ。元の、ハーリット侯爵領に隣接していた場所ではないが此処はあの場所以上に実り豊かな、そしてその分住まう魔獣も多くなかなか人の入らない森である。
だがこの二人にとっては故郷と呼んでも差し支えない土地だ。そこに棲むモノもまた、彼等の眷属であり慈しむべき家族である。
「蒼水仙の育ちはどうかしら」
「だいぶ芽が出たところだ。水薬には間に合うだろうな」
思い出したように問い掛けたセイラにフォレストも頷いて状況を教える。
「では鷹獅子の髭ももらって来なくては」
「あー、だが鷹獅子は、今向こうに行っているだろう?」
「……あら、ではついでに向こうの様子も聞いてきましょうか」
向こう、とは二人の間では元の『魔女の森』、今は前ハーリット侯爵が治めている(ことになっている)土地を指す。
「何、その必要はない。様子を聞きたいならちょっと呼べば、すぐ帰ってくるさ」
鷹獅子はこの世界では一二を争う強大な魔獣だ。だがそれなりの知性も有し、セイラにとっては可愛い眷属でもある。もっともフォレストにとっては、手下とか配下という方が近い存在のようだが。
程なく彼等の住処の前、清らかな泉の畔に降り立った鷹獅子は、その大きな図体で一生懸命セイラに甘えてきた。牡牛より二回り程大きな、鷹より強い翼を備えた生き物がすらりと細身の彼女にじゃれつく様は、何処か危なっかしいが当人達は馴れたものだ。
「ああ、いい子いい子。貴方達にも面倒を掛けるわね」
鷹獅子は人の言葉は話せないが、思念で意思をある程度伝えることが叶う。それで言うには。
当初、王宮からつけられた監視人がいた間は元侯爵トビアス・ハーリットもしおらしくしていたらしい。だが彼等が去ると、早速隣国に連絡し、そちらの人間を引き入れようとした。だが最初にやってきた隣国の冒険者達は鷹獅子始めとする魔獣に全く歯が立たなかった。
「まああの国はそもそも大した魔獣がいないからな。火蜥蜴やら蛇雄鶏くらいじゃないか」
「あら、そうなの?だったら貴方達の相手は荷が重いわね」
セイラの眷属にも火蜥蜴や蛇雄鶏はいるが、その中では中級以下の魔獣だ。更に言うならセイラの魔力を受けた眷属達は他の同種より強い。最弱級の角兎でも、野良の蛇雄鶏と同等に戦える。
『魔女』のいない隣国でしか経験がない冒険者等、まともにやりあえるはずもない。それを理解しない辺り、トビアスの認識の甘さが浮き彫りにされている。更に言えば、それ故招かれた冒険者達も嫌気がさしてどんどん離脱しているそうだ。
「もう王子ではなくてよ、元王子、もしくは侯爵と。……あれだけ貴方が脅かすからでしょう」
しれっと宣うフォレストに彼の淹れたお茶で喉を潤しながらセイラは気のない様子で応じた。
ここは魔女の森。彼女が住処とし、彼が守護する地だ。元の、ハーリット侯爵領に隣接していた場所ではないが此処はあの場所以上に実り豊かな、そしてその分住まう魔獣も多くなかなか人の入らない森である。
だがこの二人にとっては故郷と呼んでも差し支えない土地だ。そこに棲むモノもまた、彼等の眷属であり慈しむべき家族である。
「蒼水仙の育ちはどうかしら」
「だいぶ芽が出たところだ。水薬には間に合うだろうな」
思い出したように問い掛けたセイラにフォレストも頷いて状況を教える。
「では鷹獅子の髭ももらって来なくては」
「あー、だが鷹獅子は、今向こうに行っているだろう?」
「……あら、ではついでに向こうの様子も聞いてきましょうか」
向こう、とは二人の間では元の『魔女の森』、今は前ハーリット侯爵が治めている(ことになっている)土地を指す。
「何、その必要はない。様子を聞きたいならちょっと呼べば、すぐ帰ってくるさ」
鷹獅子はこの世界では一二を争う強大な魔獣だ。だがそれなりの知性も有し、セイラにとっては可愛い眷属でもある。もっともフォレストにとっては、手下とか配下という方が近い存在のようだが。
程なく彼等の住処の前、清らかな泉の畔に降り立った鷹獅子は、その大きな図体で一生懸命セイラに甘えてきた。牡牛より二回り程大きな、鷹より強い翼を備えた生き物がすらりと細身の彼女にじゃれつく様は、何処か危なっかしいが当人達は馴れたものだ。
「ああ、いい子いい子。貴方達にも面倒を掛けるわね」
鷹獅子は人の言葉は話せないが、思念で意思をある程度伝えることが叶う。それで言うには。
当初、王宮からつけられた監視人がいた間は元侯爵トビアス・ハーリットもしおらしくしていたらしい。だが彼等が去ると、早速隣国に連絡し、そちらの人間を引き入れようとした。だが最初にやってきた隣国の冒険者達は鷹獅子始めとする魔獣に全く歯が立たなかった。
「まああの国はそもそも大した魔獣がいないからな。火蜥蜴やら蛇雄鶏くらいじゃないか」
「あら、そうなの?だったら貴方達の相手は荷が重いわね」
セイラの眷属にも火蜥蜴や蛇雄鶏はいるが、その中では中級以下の魔獣だ。更に言うならセイラの魔力を受けた眷属達は他の同種より強い。最弱級の角兎でも、野良の蛇雄鶏と同等に戦える。
『魔女』のいない隣国でしか経験がない冒険者等、まともにやりあえるはずもない。それを理解しない辺り、トビアスの認識の甘さが浮き彫りにされている。更に言えば、それ故招かれた冒険者達も嫌気がさしてどんどん離脱しているそうだ。
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